2019年4月18日 第16号
英語で丁寧に話そうとすれば“Could you”、“Would you”、あるいは“Please”などを使えばいいと思われがちだが、毎日の会話ではもっとソフトな話し方がある。
Could you come here please?
Please come here.
いずれも翻訳すれば「こちらに来てくださいますか」、「来てください」で正解だが、以下のような応用法を用いて言葉を「和らげ」てみよう。
Can I ask you to come over here for a minute? 「ちょっとこっちに来てくれるかな?」
Can I show you something? 「これ見てくれる?」
Do you mind taking a look at this? 「これ見てくれない?」
Can you help me with something? 「少し手伝ってくれるかしら」
Do you have time to help me? 「手伝ってくれる時間ある」
上記のどれをいっても、要するに「(こっちに来て)手伝ってください」といっているのだが、間接的で表現的に穏やかな表現となる。
北米の人は直接的な命令形に対して、即座に反発心を抱いてしまうきらいがある。指図を受けたくないという考えが背後にあるのだろうか。それで、相手に助けを求める聞き方のほうがもっと受け入れられやすいということか。
または、“I'm wondering…”とか、“Do you think…”などの表現で特に自分の言い分を出しすぎずに、相手が選択できることを示す要求をすることにより、要望内容をさらに受け入れられやすい形とする聞き方もある。
Do you think you can help me when you have a minute? 「ちょっと時間あるとき手伝ってくれるかな」
I’m wondering if you could help me with something. 「ちょっと手伝ってもらいたいことがあるんだけど」
そんないちいち回りくどい話し方を!と思われるかもしれないが、実はこれが英語での丁寧な話し方なのだ。命令形的にならずに、相手の気持ちを汲み取りながら話す。よく聞くと、そういう話し方をする人としない人のコミュニケーションの違いに気づくことだろう。
(文・イラスト 亀谷長政)