2017年3月2日 第9号

 ブリティッシュ・コロンビア州バーナビー市にある、中古家具販売・買い取りや引越しサービスなどを手がける日系企業、QICの店舗兼オフィスの建物が火事で焼失した。

 火事が起きたのは、2月24日午前2時ごろ。消防によると、火元は建物の裏に止めてあったトラックとみられている。出火時には建物内には誰もおらず、けが人は出なかった。

 家具を保管していたこともあって火の勢いは強く、たち上る煙は何キロ先からも確認できたという。そのため消防隊は、この建物に隣接する一般住宅2棟にも予防的放水を行ったが、これにより住宅の地下が水浸しになるなどの被害も発生した。

 この建物の所有者は、浸水被害の修復を専門とするミラニ・レソトレーション(Milani Restoration)のオーナーでもあるアレックス・ミラニさん。彼は従業員を呼び集め、浸水被害の後片付けに当たり、この火事による被害と苦境にさいなまれている人を少しでも助けたいと取材に語っていた。

 QICが受けた被害は、何百万ドルに及ぶとみられている。

 

 

2017年3月2日 第9号

 アメリカの調理用品メーカー、カルファロンが包丁、および包丁セットをリコールすると発表した。

 アメリカとカナダで販売されたおよそ200万本が対象となる。通常使用時や、包丁を落としたときに刃が壊れ、裂傷を負う危険性があるという。

 同社と米国消費者製品安全委員会とともに、カナダ保健局が共同で出した消費者情報によれば、対象製品は2008年9月から2016年12月まで販売されていた、5インチ三徳包丁(5-inch Santoku)、7インチ三徳包丁、8インチシェフ包丁、フルーツ・野菜包丁セット、カービング包丁・セット、包丁17点セット、包丁21点セット、および皮むき包丁セット。カナダ国内ではおよそ2280本あまりが売られた模様。

 カナダ国内からは2月中旬までに同社に、刃が壊れたという報告が43件寄せられているが、これらに伴うけがは発生していない。

 もし該当する商品を使用していたら、すぐさま使用を中止してメーカーに連絡、無償交換してもらうよう、保健局では呼びかけている。

(リコール対象商品についての詳しい情報は、『Calphalon』、『knives』、『recall』で検索)

 

 

2017年2月23日 第8号

 ブリティッシュ・コロンビア(BC)州議会が14日再開した。議会再開初日には副総督が開会の式辞で政権政党の政策を読み上げる。今回の式辞内容は今年5月に予定されている選挙直前となることから、選挙を意識した内容となった。

 経済政策では好調な州経済を反映して、州民に還元することを約束。ただどういう形で還元するのか詳細は一切含まれなかった。今週にも発表される予算案で示すものとみられている。

 所得税や消費税の減税、電気料金、保険料、自動車税の値下げなどが考えられると伝えられている。

 その他、教育、住宅、公共交通機関、環境問題対策での自由党のこれまでの功績に言及。さらに深刻な薬物問題への解決に力を入れると約束したほか、アメリカとの間で交渉が続いている製材に関する協定への解決に、2006年協定締結時に連邦政府国際貿易大臣として関わったデイビッド・エマーソン氏を任命したと発表した。

 野党新民主党(NDP)ジョン・ホーガン党首は、選挙80日前に有権者を囲い込もうとしていることが見え見えと批判。これまで、保険料や自動車保険、電気料金などを値上げし、富裕層からの献金を抱え込んで行ってきた政策に、もう州民は騙されないと語った。

 今回の式辞には、昨年から問題となっているクラーク州首相の献金問題や献金制度改革については一言も触れられていなかった。献金制度については、連邦政府、オンタリオ、ケベック州などが改革に乗り出しているが、クラーク州首相は改革する必要がないと主張している。BC自由党はクラーク州首相への5千ドルの献金パーティー券や、不動産や、天然資源会社などからの巨額の献金受け取りが明らかになり問題視されている。

 

 

2017年2月23日 第8号

 ジャスティン・トルドー首相は16日(現地時間)、フランス・ストラスブールの欧州議会で演説。自由貿易の重要性を強調した。

 同議会では前日、議員58パーセントの賛成でカナダ欧州連合自由貿易協定(CETA)が批准。8年間の交渉を経てようやく実現する。

 「この協定を実現することがどれほど重要なことかを控えめにいうことは、とてもできない」とトルドー首相。「国際社会が直面している困難に取り組むために欧州は非常に重要な役割を果たしている。世界が強い欧州を必要としている」と語った。「我々はこの協定を成功させる必要がある。成功すれば今後の世界貿易にとって、この協定が青写真となる。もし成功できなければ、おそらくこの協定は世界の自由貿易協定の最後の一つとなるだろう」と、協定を実現させることの意義を語った。

 世界では保護貿易主義が台頭している。アメリカのドナルド・トランプ大統領は就任後すぐに、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)からの脱退や、北米自由貿易協定(NAFTA)の見直しを掲げた。13日のトルドー・トランプ会談後の記者会見では、カナダとのNAFTAについては「多少の変更」という表現にとどまったものの、カナダにとって安泰というわけではない。

 今回のEUとの協定合意はカナダにとって輸出アメリカ依存から脱却するための1歩であり、今後、日本、中国、インドとの自由貿易を目指す準備ともなる。EUにとっては初めての主要7カ国との自由貿易実現であり、イギリスの欧州離脱やアメリカとの自由貿易協定交渉凍結への光であり、今後、日本、ベトナム、メキシコとの交渉への弾みにしたい考えだ。

 トルドー首相は、カナダとEUは民主主義の信念を共有し、透明性、法の原則、人権、多様性の受け入れが重要であると信じる関係であり、「現代のような時代には、国際経済を引っ張ることを選択する必要があると我々は信じている」と保護主義を暗に否定した。

 

 

2017年2月23日 第8号

 欧州議会での演説後、ジャスティン・トルドー首相は16日にドイツ入り。アンゲラ・メルケル首相と会談した。翌日には記者会見に臨み、北大西洋条約機構(NATO)での役割について記者の質問に答えた。

 米ジェームズ・マティス国防長官が欧州を訪問した時、トランプ政権がNATOを重要視していることに変わりはないが、加盟国には規則通り費用を負担するよう求めた。NATO各国の軍事費用負担はGDP(国内総生産)の2パーセントとなっている。ドイツは現在1・2パーセント、カナダは0・99パーセントしか負担していない。

 これについてトルドー首相は、カナダはNATOではカナダ兵を重要任務に送り、同盟国の負担を軽くする役割を果たしてきた。カナダとドイツはNATOの中では常に重要な役割を果たしてきた、と費用負担以上の役割を果たしていることを強調した。

 カナダの国会ではNATOへの負担増についてほとんど議論されていない。一方、ドイツは負担増を実行する予定があることを示唆した。

 トルドー首相とメルケル首相が初めて会談したのは2015年11月トルコでのG20(20カ国・地域首脳会談)。この時がトルドー首相初めての国際舞台デビューでもあった。それから1年3カ月。ヨーロッパでは右翼政党の台頭、イギリスの欧州連合離脱、アメリカでのトランプ政権誕生と世界は大きく変化している。緊縮財政のドイツと経済政策では違いがあるものの、自由貿易や移民問題など共通する政策も多い。今後のG7(先進7カ国首脳会議)やG20では、この2国がカギとなるとみられている。

 

 

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