期成同盟からの報告
体制を固め、記念日制定に対応できるグループを維持
2019年1月17日 第3号
2018年5月カナダ国会において、 バンクーバー・イースト選出のジェニー・クワン国会議員により「南京虐殺記念日」制定の動議が提出された。その記念日制定に反対するものとして「カナダの人種和合を促進する期成同盟」が発足した。
同年10月にはブリティッシュ・コロンビア州議会において、リッチモンド・ノース・センター選出のテレサ・ワット州会議員が同様な動議を提出した。
期成同盟は、トルドー首相および各政党の党首、幹部、加えてカナダ全国の国会議員(386名) に反対理由を明記した書簡を郵送し、さらにはBC 州会議員(83名)に対し、同様の反対運動を行った。国会議員、州会議員には直接面接して反対の意を表示した場合もあった。7月にはバーナビー市の日系文化センター・博物館において一般向け公開説明会を開き、一般カナダ日系人及びカナダ市民の協力を訴え、多数の人々がこれに協力し反対表明の手紙を送った。
期成同盟、および日系市民の努力が実って、国会では昨年11月28日にジェニー・クワン議員の動議が否決され、州議会では動議が議題にさえならなかった。期成同盟ではこれらの事を「小さな勝利」としてとらえている。
しかし、記念日制定の運動はこれで終わったとみることはできない。他の方法で記念日制定の申し出があるかもしれず、期成同盟ではますます体制を固め、記念日制定に対応できるグループを維持する所存であり、12月21日に会議を開き、将来の体制を検討し、委員を増員した。
国会、州議会はそれぞれ1月、2月に再開されるので、常に議事進行をモニターして南京問題が議事になった場合は期成同盟で即日対応できる体制を保持している。
(期成同盟)
トルドー首相
「真の和解の精神で臨まなければならない」
2018年12月6日 第49号
12月13日を「南京虐殺記念日」として制定することを望むジェニー・クワンカナダ国会議員は、11月28日、全会一致での可決を求め動議を国会に提出したが否決された。集まった記念日制定に賛成する署名は約4万人分。
また同議員は、トルドー首相に「南京虐殺記念日」制定に関するカナダ政府の姿勢について質問した。これに対しトルドー首相の返答は、これまでの政府の回答を踏襲したものであり、記念日制定の是非には触れず、この問題は真の和解の精神で臨まなければならないとした。
同記念日制定に反対する「カナダの人種和合を促進する期成同盟」委員長ゴードン門田氏は、11月29日「この小さな勝利を喜ばなくてはいけない。なぜ『小さな勝利』かというと、同じ動議を提出することはできないが、今後の賛成派の行動は不透明だからだ」と述べている。
11月28日、国会の質疑応答の前にCPAC(保守系政治団体活動協議会)が動画で取り扱った記者会見には、ジェニー・クワン氏のほかに作家のジョイ・コガワ氏、モントリオールのトモエ・オオツキ博士(乗松聡子氏の代理)、カナダ第2次大戦災禍史実擁護会(ALPHA)会長であるジョセフ・ウォン医師、ディビット・チョウ(全国中国系カナダ人協会議長)の各氏のほか、南京虐殺の犠牲者の子孫とされる人たちが出席した。
出席した人たちはアイリス・チャン氏の著作である『ザ・レイプ・オブ・ナンキン』に基づいて虐殺の残忍さ、性奴隷などのことを述べ、歴史から学ぶことの重要性を訴えた。
* * *
経緯
ジェニー・クワン氏が発起し、5月17日にメトロバンクーバーを中心に始まった「南京虐殺記念日」制定を求めての運動は、動議を国会に提出したが11月28日、否決された。
同記念日制定の動きに反対する日系コミュニティでは、ゴードン門田氏ほか有志たちにより6月3日委員会設立のための会議を招集、9人の委員を選出した。
委員会は「カナダの人種和合を促進する期成同盟(委員長ゴードン門田氏、副委員長敬子パーカー氏)」と命名。7月11日、一般向け公開説明会を開催し140名が参加して、日本語と英語で行われた。
同説明会席上、次のような同盟の趣意書が公開された。
「2018年4月17日に、カナダ国会議員ジェニー・クワン(バンクーバー・イースト地区)は12月13日を「南京虐殺記念日」に制定する法案をカナダ連邦議会に提出する旨を発表しました。これは80年前に中国で起こったとされることで、カナダ国またはカナダ市民とは全く関係がありません。
カナダの人種和合を促進する期成同盟は、そのような記念日をカナダの議会が制定することは、カナダに住む特定の人種をさしおいて別の人種に加担することになるばかりでなく、カナダにおける多様民族間の軋轢と不和の源になると考えます。これはカナダを築き上げてきた多様民族、多様文化社会という基礎を揺るがせるものです。このような理由から、期成同盟は先述の法案がカナダの連邦議会に提出されることに反対いたします。」
記念日制定の反対の意志表示の方法としては、9月中旬の国会再開に焦点を合わせ、全カナダの国会議員334名に希望者は異議を申し立てる手紙を送った。その後も国会再開直前にトルドー首相、各党首などにも手紙を送り、手紙を送った人の中には、返信を入手した人もいた。
11月28日、国会に記念日制定を求めた動議はついに否決された。「カナダの人種和合を促進する期成同盟」委員長のゴードン門田氏は『否決』のニュースの後のコメントで、このことは『小さな勝利』と言っている。
先に行われた一般向け公開説明会の際に「配偶者や親類、友人、知人またはビジネスパートナーなどに中国系の人がいる場合もあると思われるが、この反対運動が、中国系カナダ人対日系カナダ人という図式になってしまうのは良くない」という意見が出されたのに対して、同盟委員は、そのような図式は決して望むところではない。むしろこのような法案が制定されることこそ、中国系と日系の対立につながりかねないと強調し、対立は決して問題の解決にはつながらないとした。
トルドー首相が、このたびの政府回答の中で語った「この問題は真の和解の精神で臨まなければならない」この言葉こそ、問題にかかわる一人一人の立ち位置を示してくれる言葉だといえるのではないだろうか。
(編集部)
BC州議会 南京問題議事の予定なし
2018年12月6日 第49号
10月1日に ブリティッシュ・コロンビア州議会においてテレサ・ワット議員(リベラル党、リッチモンド・ノースセンター選出)が「南京虐殺記念日」をBC州でも制定させようと提唱していることに関し、「カナダの人種和合を促進する期成同盟」は、ホーガン州知事および州議会議員全員にメール(郵便ストライキのため)で書簡を送った。それに対しホーガン州知事から「南京問題は議事の予定に入っていない」という返答を受け取った。
BC州議会は11月27日をもって閉会された。
(編集部)
「南京記念日」制定問題
トルドー首相の筆頭書記より書簡を入手
討議は未定
2018年11月15日 第46号
11月13日、「カナダの人種和合を促進する期成同盟」からプレスリリースが発行された。
それによると、カナダ連邦国会議員ジェニー・クワン氏が発起して始められた「南京大虐殺記念日」制定運動に反対する日系人の集まり「カナダの人種和合を促進する期成同盟」は、8月から国会議員やトルドー首相などに「記念日制定」反対の書簡を送付しているが、このたび11月13日付でトルドー首相の筆頭書記より書簡を入手した。
同書簡によると「期成同盟からの反対意見はヘリテージ・多様文化省に回されて同大臣が検討する。またクワン議員の提言はまだ国会の議案になっておらず、討議は未定」と明言している。
また、10月1日にはBC州の州議会議員であるテレサ・ワット議員(リッチモンド・ノースセンター)がクワン議員とほぼ等しい記念日制定を動議すると州議会で発言した。期成同盟では早速、86名の州議会議員、ホーガン州知事、イービー司法長官に記念日制定反対の書面をEメールで送った(郵便ストライキのため)。
ある州議によると、この件もまだ議案になっておらず、嘆願書も出されていないとのことだ。
期成同盟では国会審議、州議会審議を綿密にモニターして、この件が討議される場合には即時対応策を検討するとしている。
カナダ連邦国会議員であるジェニー・クワン氏により5月に発起された同運動に反対して6月に結成された「カナダの人種和合を促進する期成同盟」は7月11日にバーナビー市の日系文化センター・博物館において一般向け公開説明会を開催し、8月には384名の国会議員及びトルドー首相、野党党首、NDP党首などに日系コミュニティの人たちが書簡を送った。これに対して多数の人が返答の手紙を受け取っている。
(編集部)
カナダの人種和合を促進する期成同盟
BC州全議員に反対呼びかけへ
ワット州議会議員発言に対して
2018年10月18日 第42号
10月1日に BC 州議会においてテレサ・ワット議員(リベラル党、リッチモンド・ノースセンター選出)が 「南京大虐殺記念日」(以下「記念日」)をBC州でも制定させようと提唱している件に関し、「カナダの人種和合を促進する期成同盟」(以下「期成同盟」)は本格的にその反対運動を展開している。
期成同盟ではBC州の全ての州議会議員に対して書面にて、ワット議員の提唱する記念日制定運動はカナダ及びBC州における多様性文化、多国籍文化の尊重と人種間の和平に重大な危機を与えるものとし、その旨表明する。また、ワット議員の選出地区はBC州で多くの日系人が住んでいるリッチモンドの中心にあることから期成同盟ではワット議員への直接の働きかけも行う予定だ。
さらに期成同盟としては他の州議会議員への働きかけを含め、反対活動について多面的に取り組んでいく。
カナダにおける記念日問題は昨年のオンタリオ州議会での動議、現在進行中のジェニー・クワン国会議員のカナダでの記念日制定に向けた署名活動、トロント郊外の南京大虐殺記念碑の建立、さらにはトロントでの「南京大虐殺犠牲者記念館」設立計画など南京をめぐる活動が活発になる中、BC州でもそのような動きが出てきたことに多大なる懸念を抱いており、期成同盟として意見表明を継続していく。
(編集部)
BC州議会でも火の手が
「南京大虐殺記念日」制定運動
2018年10月4日 第40号
去る10月1日付のBC州議会議事録によると、BC州議員テレサ・ワット(Teresa Wat)氏(自由党、リッチモンド・ノースセンター選挙区)が、12月13日を「南京大虐殺記念日」としてBC州で認められることを提唱していることが判明した。
全カナダ中国系カナダ人協会(the National Congress of Chinese Canadians)は今年5月バンクーバーで開催された大会で記念日制定を連邦政府に呼びかけるための動議を可決したという。オンタリオ州議会では既に2017年10月に毎年12月13日を「南京大虐殺記念日」と制定することが満場一致で可決された。
ワット州議員は、80年前の日本軍による「30万人の大虐殺、8万に上るレイプ」を挙げて、「現在90歳代になる当時の犠牲者を忘れてはならない、この歴史から学ぶべきだ」とし、記念日制定をなるべく早く提唱する意思を表示し、州議員のサポートを呼びかけている。
国会議員ジェニー・クワン氏(新民主党、バンクーバー・イースト選挙区)が同じく記念日制定を提唱し、それに強く反対して日系人が「カナダの人種和合を促進する期成同盟」を打ち立て反対運動を行っていることは周知の通りであるが、この期成同盟の委員には同じく反対運動を始めるべきだという声も上がっている。 日系コミュニティの早急に効果的な対応が望まれる。
(編集部)
カナダの人種和合を促進する期成同盟 公開説明会開催
「カナダの人種グループに 不和をもたらす動き」に反対
公開説明会に参加した人たち(日系文化センター・博物館で)(撮影 大島多紀子)
2018年7月19日 第29号
7月11日午後7時より、ブリティッシュ・コロンビア州バーナビー市の日系文化センター・博物館において、先にジェニー・クワンカナダ連邦国会議員により発起された「南京大虐殺記念日」を制定することに反対する説明会が行われた。
この説明会は「カナダの人種和合を促進する期成同盟(以下同盟・委員長ゴードン門田氏、副委員長敬子パーカー氏)」が日系コミュニティ向けに初めて行ったもので、同日は約140名が参加し、日本語と英語で行われた。
特に、この地に生活する人達にとってこの運動が日系カナダ人対中国系カナダ人という対立関係の図式を作らないようにとの要望も出された。会場では反対意志の表明方法、運動への要望など多数の意見が述べられ、関心の高さを示した。
同日の会場での参加者からの質疑応答は次の通り。
◆ 反対意志の表明方法について
・法案制定に反対する内容の手紙を、自分の住む地区の連邦政府議員宛てに書く。
・クワン議員に直接手紙を書く。
・トルドー首相に手紙を書く。(手紙は現在作成中)
この説明会に合わせて同盟では法案制定反対の手紙をクワン議員やメトロバンクーバーのそれぞれの地区の議員に送ることができるように、英文の手紙と手紙の内容を理解するための日本語訳をつけて、同日会場で希望者に配布した。しかし6月半ばをもって連邦議会は閉会しており、再開される9月半ばを考慮し、同盟では8月終わりから9月にかけて連邦政府議員全員及びトルドー首相に法案制定に反対の手紙を送ることを考えている。
◆ 署名運動はしないのか
・カナダ国内の日系人と中国系との数の差は大きく、得策かどうか疑問だとし、ネットでの署名も含めて今後検討する。
◆ 全国に広げる予定は
・広げる予定はあり、ウェブの作成も考えている。
◆ 参加者からの意見・要望
中国系カナダ人対日系カナダ人の図式はない
会場から「配偶者や親類、友人、知人またはビジネスパートナーなどに中国系の人がいる場合もあると思われるが、この反対運動が、中国系カナダ人対日系カナダ人という図式になってしまうのは良くない」という意見が出されたのに対して、同盟委員は、そのような図式は決して望むところではない。むしろこのような法案が制定されることこそ、中国系と日系の対立につながりかねないと強調した。
日系コミュニティ内でも記念日制定には反対だが諸々の理由から反対運動を支持しかねると表明しているグループもあり、若い世代の無関心などから、ほうっておけばこのまま法案が通ってしまうかもしれないという危機感を感じるという意見もあった。さらに、反対運動に共鳴する一人ひとりが、自分の家族、友人、知り合いなどに、何が起きているのか、そして何が起きようとしているのかを伝えていき、少しでも多くのサポートを得るようにしていくことが大切だと参加者は語り、多くの日系人に知らしめる必要性も強調した。
「古傷を切り開いて国民を二分したりお互いを闘ったりさせずにしようではないか。我々はカナダの将来に希望を持ち、前向きになり多様主義社会のモデルとして世界に誇ることのできる国になるよう努力すべきである」
同盟の顧問でもあるゲイリー川口氏の「ヒルタイムス」に掲載されたこの一文こそ、今まさにふさわしい言葉と言えよう。 カナダの多様文化主義を揺るがす法案に異議を唱える 「カナダの人種和合を促進する期成同盟」委員 期成同盟は6月10日に結成された。(順不同・敬称略)
委員長 ゴードン門田
副委員長 パーカー敬子
委員 五明明子 デビッド岩浅 ジム小島 ピーター河野 久保克己 ゲイリー・マトソン 岡本裕明 デニス志風 ヘンリー若林 山内昌文
顧問 ゲイリー川口 (トロント日系文化会館会長)
ナショナル アドバイザー デイブ三井 (全カナダ日系人協会(NAJC)会長)
(編集部)
「南京記念日」制定反対委員会 アクションプランを発表
2018年6月14日 第24号
6月10日、ブリティッシュ・コロンビア州バーナビー市の日系文化センター・博物館で「南京大虐殺記念日」制定反対の委員会が結成され、委員長にゴードン門田氏、副委員長に敬子パーカー氏をそれぞれ選出した。
同委員会には10名が出席し、会の命名、各委員の担当部門やアクションプランなどが話し合われた。
同席上、委員会は「カナダの人種和合を促進する日系人期成同盟会」(英語:JAPANESE CANADIAN COALITION FOR ETHNIC UNITY)と命名された。
同日発表されたアクションプラン
・ ジェニー・クワン議員に直接会って意思を伝える(インタビューなども含む)
・ トルドー首相に抗議を申し込む
・ 国会議員全員に手紙を出す
・ コミュニティの一般の人向けに、委員会が何をしているのかの説明会を設ける(7月10日前後を予定)
また、署名を集めるなどについても話し合われたが、日系の総数からいって効果が疑問視され、もし署名を行なったとしてもどこに提出するかなどの意見が出された。
議員に出す手紙の原文など、具体的な事については後日作業が行われ、配置場所についても発表される予定である。
ジェニー・クワン議員への意見提出先
Jenny Kwan MP
Member of Parliament for Vancouver East
Critic for Immigration, Refugees and Citizenship
Critic for Multiculturalism
2572 East Hastings st. Vancouver, BC, V5K 1Z3
Phone: 604.775.5800
Fax: 604.775.5811
Email: This email address is being protected from spambots. You need JavaScript enabled to view it.
Facebook: https://www.facebook.com/JennyKwanVanEast/
Twitter: https://twitter.com/JennyKwanBC
(編集部)
望まれる早急な具体策の提案
個人の活動は自由
2018年6月7日 第23号
連邦議員ジェニー・クワン氏の発起で「南京大虐殺記念日」制定の署名運動が5月17日からメトロバンクーバーを中心に開始された。
この動きに対してメトロバンクーバーの日系コミュニティでは、同記念日制定に反対するための委員会を立ち上げることが6月3日決定した。
委員会設立のための会議を招集
会議招集にあたっては、日系コミュニティで長く活動を続けてきたゴードン門田氏が世話人となり、日系コミュニティ各団体代表および所属個人に連絡し実現した。
会議は6月3日、バーナビー市の日系文化センター・博物館で開催され、約30人が集まった。連絡を受けたコミュニティ団体の中には、さまざまな理由から団体として今回の会議参加を見送った団体もあるが、それらの団体から個人としての参加者が多く出席した。
会議の中では、今回の記念日制定への動きについて、バンクーバーの大多数の日系コミュニティの声として、この会議で立ち上げが決まった委員会が活動をしていくことで参加者に了承された。もちろん個人の自由な活動を妨げるものではないとしている。
また、委員会を設立するにあたり9人の委員を選出。近日中に第1回委員会を招集し、今回選出された委員により、委員会名称の決定、委員長と執行部の選定をすることで参加者が同意した。
今回の会議では、日系コミュニティによる委員会の設立に当たり、委員会は公共性があるものとし、この問題を政治的な問題とせず、カナダ国内における特定のコミュニティ、もしくはコミュニティの人々(今回の場合は日系コミュニティ)に悪影響を及ぼし、カナダ国内での人権問題に発展することが予想される活動に対して反対し、多文化主義というカナダの根幹を成す原則に反する活動への反対表明であり、カナダ国内において問題があることを主張していくことで意見が一致した。
委員会の活動内容については、参加者から多くの意見が出された。記念日制定案発起人クワン議員に直接抗議する、日系コミュニティの主張をメディアを通して公式に発表し、委員会の活動を報告する、連邦新民主党(NDP)の見解を確かめるなどが挙がった。
活動内容の詳細については、今回の話し合いを踏まえ、今後の委員会で具体的に話し合われる。
日系コミュニティへの、反対のための具体策の早急な提案が強く望まれる。
「南京大虐殺記念日」制定運動
連邦議会新民主党(NDP)ジェニー・クワン議員(バンクーバー・イースト選挙区)が発起した運動で、現在メトロバンクーバーで記念日制定に向けた署名運動が行われている。署名は、同議員の公式ウェブサイト(https://www.jennykwanndp.ca/)からも呼びかけているほか、メトロバンクーバーの5カ所以上で行われている。
またこの運動はカナダ第2次大戦災禍史実擁護会(ALPHA : Association for Learning & Preserving the history of WWII in Asia)と全国カナダ華人連合会など100以上の社会団体に呼びかけている。
同議員は今年10月15日までに10万件以上の署名を集めることを目標とし、12月13日を記念日に制定する動議を今秋に国会に提出するとしている。
その他の同記念日の制定の動きについては、オンタリオ州議会で2016年12月に香港系カナダ人スー・ウォン州議会議員が法案を提出。その時はこの法案の採択には至らなかったが、2017年10月に法的拘束力のない動議としてほとんど審議のないまま可決された。
NDPバンクーバー・イースト選挙区ジェニー・クワン議員
香港出身。バンクーバー市議を経て、1996年にブリティッシュ・コロンビア州議会議員にNDPからバンクーバー- マウント・プレザント選挙区で立候補し当選。当時のNDP政権で市政関連大臣などを歴任した。
その後、2015年連邦総選挙で、長年バンクーバー・イースト選挙区で議員を務めていたNDPリビー・デイビス前議員の退職の後を継いで、連邦NDPから立候補し当選した。現在野党連邦NDPの移民・難民・市民権省と多文化省の問題を担当している。
バンクーバー・イーストサイドの住民への人権活動でも知られる。
バンクーバー・イースト選挙区はカナダ全国の選挙区の中でも最も貧困層が多い選挙区の一つとして知られ、戦前、戦後に日系コミュニティがあった地区も含まれている。
ジェニー・クワン議員への意見提出先
Jenny Kwan MP
Member of Parliament for Vancouver East
Critic for Immigration, Refugees and Citizenship
Critic for Multiculturalism
2572 East Hastings st. Vancouver, BC, V5K 1Z3
Phone: 604.775.5800
Fax: 604.775.5811
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Twitter: https://twitter.com/JennyKwanBC
(編集部)
「カナダの人種和合を促進する期成同盟」委員(abc順)
五明明子
ビジネスオーナー、日系文化センター・博物館理事
デイヴィッド岩浅
外務省勤務、隣組事務局長を経て、現在隣組理事長
ゴードン門田
ビジネスオーナー、コンサルタント、公認通訳翻訳士、1953年以来多くのコミュニティー組織の幹部として奉仕。日系コミュニティー及び日加文化交流に寄与し複数の賞を受賞
ジム小島
工場のマネージャー、柔道で国際的に活躍、ガルフ・オブ・ジョージア缶詰工場博物館理事、スティーブストン・コミュニティー・センター理事、ミノル高齢者ホーム理事
ピーター河野
森林学、生物学を学ぶ。ツアーガイド、庭師
久保克己
土木技師。桜楓会会長
ゲアリー・マトソン
法人団体関連の法律家。多くのコミュニティー団体の幹部を務める
岡本裕明
不動産開発、幾つかの日加グループの役員を務める
敬子パーカー
著述家、翻訳家、音楽教師。トロント王室音楽院から第一回Teacher of Distinction賞を受賞(2016年)
ヘンリー若林
土木技師、BC州政府顧問。オーダー・オブ・カナダ、オーダー・オブ・BC受賞。多数のコミュニティー組織に貢献
山内昌文
不動産会社、新移住者の会元会長
顧問:ゲアリー川口
トロント日系文化会館会長
ナショナル・アドバイザー: デイヴ三井
全カナダ日系人協会(NAJC)
会長期成同盟への連絡は委員長ゴードン門田
メール This email address is being protected from spambots. You need JavaScript enabled to view it.
携帯 604-682-7345 にご連絡下さい。
外務省 歴史問題Q&A
2018年5月24日 第21号
オタワの新聞 Hill Timesに2017年10月25日に掲載されたゲアリー・カワグチ氏の論評
2018年5月24日 第21号
バンクーバーで発行されている中国語新聞、星島日報5月16日付のウェブ版によると「南京大虐殺記念日」制定の署名活動が5月17日、メトロバンクーバーを中心に正式に開始された。この運動は、カナダ連邦国会議員ジェニー・クワン氏が発起したもので、同議員は10万以上の市民による署名を10月15日までに集め、カナダの国会に提出するというものである。
これにより12月13日を「南京大虐殺記念日」として制定するよう連邦政府を促し、当時、西側の目撃者から「この世の地獄」と称された歴史を世の人々が銘記し鑑とすることを希望している。
市民の署名は、メトロバンクーバーの5カ所以上で行われ、同運動はカナダ第2次大戦災禍史実擁護会(ALPHA)と全国カナダ華人連合会など100余りの社会団体から支持され、全国各地で積極的に活動が繰り広げられる。
もし「南京大虐殺記念日」が制定されれば、日本人、日系人に虐殺のイメージがつき、特に子供たちが何らかの差別の対象となることは想像に難くない。毎年来る記念日により、その被害は子々孫々にまで及ぶ。日系社会においては、この問題の重大さを認識し、早急に意思の表示をすることが望まれる。
現在、既に、日系コミュニティの各団体のリーダーなどに、世話人としてゴードン門田氏より、書簡が送られている。近日中に、日系社会の重大な問題として協議の場が設けられる見込みだ。透明性と公共性のある委員会のようなものが結成され、反対意思表示の具体的な方法などについて議論されることとなろう。この他、クワン議員宛に個人から意見や抗議を英語で送ることも可能である。
オンタリオ州議会では、2016年12月に香港系のスー・ウォン州議会議員が、南京記念日制定法案を提出。トロントALPHA が、中華料理店や商店街などで大規模な署名運動を繰り広げた。結局、その時「法案」の採択には至らなかったが、2017年10月にオンタリオ州議会で法的拘束力のない「動議」としてほとんど審議のないまま可決されてしまった。この動きに反対する日系社会が挙げた理由は、次の通りである。
Q. なぜカナダにおける南京虐殺記念日制定に反対か?
A. カナダは、様々な人種、国籍、性別、宗教等を受け入れる多様性を強みとした国。これからも色々な背景をもつ人々を迎え入れる、寛容で成熟した社会であり続けてほしいから。
【理由】
1 南京虐殺記念日は、多様性を重んじるどころか、かえって憎悪と不寛容を助長する。カナダ政府が作ろうとしてきた多文化主義に基づく参加型社会の実現に逆行する。
2 二つの外国間で80年前に起き、両国の緊張の種となってきた歴史問題をカナダ国内に持ち込み、一方だけの主張に荷担して論争を激化させることはカナダにとって得策ではない。カナダが関与すべきとしたら両国の和解を促し、未来指向型の関係構築に貢献すること。
3 日本は戦後一貫して平和を愛する国家として国際的にも貢献してきた。日本とカナダは経済、文化をはじめとして緊密な関係を築いてきており、お互い重要なパートナー。両国の市民によって育まれてきた日本との関係を損ねるようなことは非生産的である。
4 日系カナダ人はかつてカナダにおいてひどい人種差別を受けたが、財産没収、強制収容などに対するリドレス(戦後補償)運動を展開し、これを勝ち取った。カナダが、人権を尊重し、多文化主義国家を標榜する平和な国家となる上で、大いに貢献してきた日系コミュニティを再度居づらくさせないで欲しい。
5 再び差別と偏見を生む可能性を憂い、南京虐殺記念日制定に反対する。
トロントでの署名運動では、この歴史問題がなぜここカナダで扇動されているかについて、全く背景知識を持ち合わせないまま、言われるがままに署名してしまった人も数多くいると聞く。コミュニティ間に分断を招くこの署名運動を早期にやめるよう、ジェニー・クワン議員の賢明な判断を期待する。
バンクーバー新報では、記念日制定運動に関する新しい情報があり次第、逐一掲載する予定である。
クワン議員やメトロバンクーバーの各地区の議員に送るための手紙の送り方・用紙のダウンロード
多文化主義で、様々な背景を持つ人々が共存する寛容な国カナダのここバンクーバーで、「南京大虐殺記念日」を制定しようという運動が始まり、日系社会に強い衝撃が走った。
戦時中、日系人は強制移動、財産没収などの不当な処遇を受けた。潜在差別意識を呼び起こしかねないこのような記念日の制定運動に対して、日系社会に迅速な対応が望まれる。
デイビッド・ウェルチ ウォータールー大学教授によるヒル・タイム紙への投稿
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ユネスコ記憶遺産登録時の外務報道官談話のリンク
https://www.mofa.go.jp/mofaj/press/danwa/page4_001450.html(日本語) https://www.mofa.go.jp/press/release/press4e_000887.html (英語)