2017年4月6日 第14号
常夏の島、ハワイ。ヤシの木と美しく輝く青い海、オレンジ色に空が染まる。ハワイに行くと、明るく気分が踊ります。マウイ島の町を歩いていると、看板に日本人の姓がたくさん目につき、その経緯を調べたくなり、図書館に向かいました。ハワイに日系人が多いのは1900 年前後に、日本からハワイにおける移民がサトウキビ畑や製糖工場で働く労働者を確保するため急増し、1902 年にはサトウキビ労働者の70% が日本人移民で占められるほどになったからだそうです。いわゆる出稼ぎでハワイに渡った日本人が多く、私たちには想像もつかない猛暑のなか、長時間、重労働で、大変な苦労をしたそうです。
伝統料理とは、その地域に根付いた産物を使い調理され、地域で広く伝承されている地域固有の料理のことをいいますが、ハワイではタロイモをペースト状にし、数日間おいて食べるポイ、豚、鶏肉、魚等をタロイモの葉に包んで蒸したラウラウ、その他、ご存知の方も多いハンバーグと目玉焼きがご飯にのったロコモコ、スパムむすび、そして、近頃バンクーバーでも話題になっているポケ。日本人も大好きなお刺身を味付けしたもの。ポケはハワイ語で「切り身」を意味し、主にアヒツナやたこが使われます。アヒとは「まぐろ」を意味します。ハワイのスーパーのお惣菜売り場をはじめコンビニエンスストアーにも、しょうゆで味付けしたしょうゆポケ、オイスターソース味、キムチとムール貝を合わせたもの、たこポケ、トーフポケ、とたくさんのポケが並んでいて、ポケがハワイの家庭、そして伝統料理なのだということが分かります。
インターネットでハワイアンポケのレシピを検索すると、日本のまぐろの漬けとほぼ同じ、お刺身にしょうゆベースのたれにごま油を混ぜたレシピがほとんどですが、実は伝統的なポケは、まぐろの切り身にハワイの塩をたっぷりかけ、粗く切った玉ねぎ、薬味ねぎ、リムと呼ばれる赤い海藻、そしてククイナッツを混ぜたもので、試食すると私には少し塩辛いかなと思いました。日本からの他にも中国やアジアからのサトウキビ労働者が、もともとなじみのあったお刺身を材料とするポケに、その国々の伝統的調味料である、しょうゆ、オイスターソースやキムチを加えたのが、しょうゆポケ、オイスターソースポケ等ができた由来で、それが地元の人にも受け入れられ、今では立派なハワイの伝統料理になったわけです。
今回は日本人も大好きなしょうゆベースのたれで味付けし、Ocean Wise に指定されているAlbacore Tunaをつかったポケ丼をご紹介します。
ポケには主に赤みのマグロが使われますが、Albacore Tuna の他にサーモンを代用したり、アボガドを加えてもおいしいです。
まぐろしょうゆポケ丼レシピ
材料:
・まぐろのさしみ 400 g たれ
・しょうゆ、みりん 各大さじ5
・砂糖 大さじ1薬味
・薬味ねぎ
・大葉の千切り
・いりごま
・もみ海苔
・ごま油
・ごはんどんぶり4杯分
作り方
①、小鍋にしょうゆ、みりん、砂糖を入れ火にかけ、とろみがつくまで煮て、冷ます。
②、一口大に切ったまぐろのお刺身に①で作ったたれを大さじ3杯加え、軽く混ぜ15 分程度冷蔵庫で味をなじませる。
③、温かいご飯をどんぶりにつぎ、4分の1の量の②をご飯に盛り付け、好みの薬味、ごま油、①の残りのたれをかけていただく。
鈴木 公子(すずき きみこ):和歌山県出身。ノースバンクーバーを拠点に旬の野菜、地元の食材を使った和食を発信。
母親から本当の家庭料理を学び、ミシュラン一つ星、京都とり料理瀬戸の女将さんから『おもてなしの心』を学ぶ。
Cook Culture及びWell Fed Studioの和食インストラクター。UBC Farmにて和食のワークショップ開催予定。edible Vancouver wine and country にて記事掲載。
www.kimikoskitchen.wordpress.com