2018年3月15日 第11号

 前に、伊賀氏の論文からカナダの人口は、1760年までに約6万人に達していたと書いた。今回その続きを氏の本文のままに書いてみようと思う。

 その後、イギリスが海軍力を強め、ヨーロッパ本国とカナダ植民地の間の輸送ルートを制圧した。1759年の『アブラハム平野の戦い』でフランス側が敗れ、ケベックの重要な要塞拠点が陥落した。フランス軍は一年後モントリオールに於いて全面降伏をした。

 かくしてカナダ植民地は全面的にイギリスの支配下に移った。しかしフランス移民とイギリス移民の宗教的文化的相違からイギリス植民地政府はフランス移民の独自の立場と権利を認めざるをえなかった。
(筆者エドのコメント/このことは韓国と北朝鮮の問題にも似る。ただし、北の核の放棄がなければならぬことが必要条件かもしれぬ?)

 1774年ケベック条例により、フランス系ローマカトリック教徒に対してセニョリアル制度による土地保有及びフランス移民の市民法の存続を承認した。1770年中期に始まったアメリカ植民地の反本国抗争の結果、アメリカ独立に反対のロイヤリストと呼ばれる英国系移民達がまだイギリス植民地であったカナダ大西洋地域へ移住して来た。その数は3万人を超えた。その一部はセントローレンス河を北上し、同河及びオンタリオ湖の北岸地域に定住した。彼らはイギリス移民ではあるがフランス市民法とセニョリアル制度の下におかれた。

 1791年にイギリス政府は二つの植民地、アッパーカナダとローワーカナダをそれぞれ別個に公式承認し、各植民地に議会を持つことをみとめた。しかし、同時にローワーカナダに対してはフランス市民法とセニョリアル制度の存続を認めた。この時点でアッパーカナダ(イギリス系)はローワーカナダから分離独立したが、アッパーカナダはローワーカナダも共にカナダ州としてイギリスの植民地であった。1812年に独立国アメリカとイギリスのカナダ植民地の間の戦いがあり、カナダ植民地は何とか危機をしのいだ。その後、イギリス政府はカナダ植民地に住む英国系移民の力を強化すべく多くの移民を送り込んだ。その結果、1815年と1855年の40年間に約100万人のイギリス移民がハリファックス、セイントジョン、及びケベックへ移住した。その中の相当部分はさらにアメリカへ移って行った。(中略)

 1840年代のイギリスの自由貿易政策及び植民地の自治権の増大の結果、1850年代に入ってカナダ植民地自治領とアメリカとの間の相互自由貿易が進展した。この貿易関係は1850年代にアッパーカナダ、ローワーカナダ及びアメリカをつなぐ鉄道網が建設されると共に一層進展した。

 1861年のアメリカ南北戦争の後に、カナダ植民地(ニューファンドランド、ノバスコシア、プリンスエドワードアイランド、ニューブランズウィック)の結束を強めた。
(筆者エドのコメント/1838年にスコットランドにて生誕したトーマス・B・グラバーは1859年に長崎に来ている。1861年の文久元年に貿易商として独立、お茶を主に商うとある。後にオペラのモデルになった思われる人物ツルと1867年に結婚している。)

 1864年に、ジョージ・ブラウン、ジョン・マクドナルド及びジョージ・カーディエル等は植民地の統合を目指す連合組織を結成した。これらの活動の末に、東部沿諸州とカナダ州(ケベック、オンタリオ)の統合を見るに至った。かくて1867年7月1日イギリス本国に於いて英国領北アメリカ条例が議会を通過、立法化し、カナダの独立国家成立が承認された。
(筆者エドのコメント/西部カナダも同じ頃と思われる。詳しくはポートラングレーにあるカナダナショナル博物館とか、バーナビー市の歴史博物館の見学がオススメです。)

 


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