2018年1月25日 第4号

 「見つけた!」10年前のファイル。最近、老婆は暇さえあれば「死ぬ準備」「死んで人様にご迷惑をかけないように」とか言いながら、何やら毎日身の回りの整理をしている。まあ、ガラクタの多い事。79年間、断捨離なんて考えなかった。そんな家だからこそ、見つかった懐かしいファイルでもあった。それはちょうどひと昔前、老婆所属のある会で毎年行う講演会で、仲間とその年、この老婆が講演をした。その時の原稿なのだ。

 書き出しは「名もなく、金なく、学歴なく」、「隙間産業を始め13年で成功(?)」更に告白すれば容姿不端麗、字を書けば小学生低学年並み、歌を歌えばもう最悪、カラオケなんて間違ってもできない、その上、性格は根暗で僻みっぽく、嫉妬深い。「さそり座の女」ただ、当時4年制大学つまり学士号が無いと自分の希望職に就けない時代、でも勉強嫌い、しかし、持つべきものは良き「友」、彼女たちに助けられて、「なんとか」大学は卒業させてもらえ、これまた、「なんとか」希望職にもつけたわけではありますが…。

 それから50数年、時は流れ、老婆もいつの間にか学びに学び、そして、見つけたこのファイル「本質的成長の4つのステージ」について読み返した。半ページ読み終わると、ごちゃごちゃ説明が面倒くさい、結局人間は

第一段階:イライラ生きて
第二段階:ギラギラ生きて
第三段階:イキイキ生きて
第四段階:キラキラ生きる

 以上が人間成長の四段階、簡単でしょう? そして、今老婆はこの年だ、もうイライラ、ギラギラから抜け、イキイキ、キラキラ状態で生きたい。でもねぇ、最近不思議と第一、第二段階の人に会わないのは世代が変わったからなのだろうか? 今の若人達、IT生活で生き方が変わり、既に第一、二を飛び越え第三に行ってしまったのかもしれない。

 あの時、私は「隙間ビジネスとは、不便だから、そこにビジネスが始まる」大手がカバーできない部分、つまり隙間に上手に入り込み、結果的にオンリーワンになる産業と言っていた。麹町三番町、当時の海部総理のお住まいのすぐ隣り、お巡りさんがいつも入り口に立っているコンドを借りて出発。①過去の経験とコネクションを活用し、②「カナダと日本」という自分の生活圏を土台にできる仕事、③利益の分配「3−3−3−1」(各プロジェクトの純利益30%はまず自社、次の30%は客に割引、最後は仕事の受注人に30%多く支払う。残りの10%は何かの為の準備金。結局、これで客は離れない。仕事の受注は1回終わると、すぐ来期の予約が入った。カナダの請負人は他社より多い代金と感謝で終わる弊社の仕事にやりがいを感じ、更に客にサービスする。私の会社収入は随分減るが広告代も掛からず、人件費も節約でき、とにかく、人間関係が気持ちよい。結局、1988年に出発のこの会社、2001年老婆が卒中で倒れ、両手麻痺になるまで継続した。タロットカードの美人占い師「マリア」の言ったとおりの13年間だった。そして、開業から30年、閉業後18年の今も、当時のイベント参加者やオーガナイザーと連絡が取りあえるのだ。金に換算できない素晴らしい、それは老婆心へのご褒美/収益だ。そして、この2018年正月に今95歳くらいになる当時のEY元教授(キャピラノカレッジと日本の女子大との交換留学を始めた人)からの美しい手書きの手紙がまた届いた。老婆はただ嬉しくてサイババ様へ「嬉しい、ありがとう!」とつぶやく。(他に聞いてくれる人は誰もいないからねぇ)

許 澄子

 

読者の皆様へ

これまでバンクーバー新報をご愛読いただき、誠にありがとうございました。新聞発行は2020年4月をもちまして終了致しました。