2017年1月26日 第4号

 新年に入り、今年の目標は何かと聞かれることがある。子供ができてからというもの、新年の目標なんて考えている暇がなかったのだけど、去年の暮れあたりから密かに実践していることはある。それは「自分のコンフォートゾーンから抜け出して、挑戦したいなと思うことがあればとりあえずやってみる」ということだ。

 私は2年前に歯医者での治療で長時間口を大きく開けその結果顎関節症になってしまった。酷い頭痛や肩こりに悩まされ、ファミリードクターに理学療法にマッサージに顎関節スペシャリストにと通い詰めた心身ともに辛い2年間だった。それに加え、去年の春には中学の時に仲良くしていた友達が亡くなった。また同じ時期に別の知人の死。ふたりともまだ30代と若かっただけに、死は誰にでも訪れること、そして健康に生きていることがどれだけ幸福なことか再認識した年となった。だったら、生きているうちに、自分の体が動くうちに、「自分のしたいことはしなきゃ」と、そういう気持ちが自然と芽生えてきたのだ。

 私の場合、普段したいことがあっても、「旦那は一緒にしたくないし、自分一人でするほどの勇気もない」という理由であきらめることがある。今、その殻を打破する時期が来たんだと思う。早速、年末に大雪のなかスキー用具を揃えにひとり買い物へ出た。その後すぐ、スキー経験のない子供たち(4歳の娘と7歳の息子)を連れてスキーに行くことにした。インターネットで、スキー用具専門店もスキー場も探した。方向音痴なだけに携帯の地図に頼っての迷いながらのアドベンチャーだったけど、自分一人で計画し、運転し、スキーに行った後には、あたかもグラウスグラインドを終えた後のように、何ともいえない達成感を久々に味わった。

 「ひとりで子供連れてスキーに行けたんだから、今度はあんなこともこんなこともできるんじゃないかな?!」こんな小さなことだけど、この経験は確実に自分への自信につながったと思う。ひと殻破って、またひと殻。こうやって前進していきたい2017年です。

 

マジックカーペットで子供たちにスキーを教えたんだけど、結構キツかった(汗)

 


■小倉マコ プロフィール
カナダ在住ライター。新聞記者を始め、コミックエッセイ「姑は外国人」(角川書店)で原作も担当。 
ブログ: http://makoogura.blog.fc2.com 

 

 

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