2019年3月14日 第11号

 今回は添加物、着色など、食品表記に関するお話をしたいと思います。

 最近の日本食材の食品表記をじっくりと見たことがあるでしょうか。“無添加”と記載されているから安心だと思っていませんか?昆布エキスや鰹エキス、魚介エキスなどもエキスと記載されているから安心だろうと思っていませんか?オーガニックと記載されているから安心だと思っていませんか?

 それぞれの記載事項の意味を少し掘り下げてみたいと思います。

・無添加について

 日本の食品衛生法第4条では、「添加物」を食品の製造の過程において、または食品の加工もしくは保存の目的で、食品に添加、混和、浸潤、その他の方法によって使用する物をいうと定義しています。

 特定の物質の何が添加物なのかという規定がないので、記載の意味は“ただ何も添加(追加)をしていない”ということなのです。ゆえに、完全に安全な食材を使って作られた食品であるという表記ではないので、簡単に安心して購入または使用するのは危険だということです。 

・エキスについて

 エキスとはExtract-エクストラクト、濃縮、圧縮して摂った物質であるということであり、それを作る工程で化学物質を使っているか否かについては全く表記や説明がされていないので、これもまた安心できる食材ではないということになります。

・オーガニックについて

 以前は“無農薬”や“有機”と呼ばれる食材が、“オーガニック”と呼ばれることがあったのですが、化学農薬などを使わず育てた“無農薬”食材の中から微量の農薬が発見されたことが発端で、“オーガニック”に関する規定が日本国内でも作られました。“有機-オーガニック”とは、有機(物)-「炭素」を含む物、または生物だけが作り出せる炭素の化合物を使用し、育てられた食材のことを指します。そのため化学化合物を使用して育てられた食材は自動的に有機食材ではなくなり、有機またはオーガニックとしての記載を一切することができなくなります。それと同時に、遺伝子組み換えされている食材も有機にて育てられていたとしても、自動的にオーガニックとして記載することができません。カナダではCanadian Food Inspection Agency(CFIA)と呼ばれる機関により、“オーガニック”食材として認定をしています。アメリカのオーガニック認定を受けている食材も自動的にカナダで認可されます。またその逆もあるのですが、1つだけ例外があります。その例外とはカナダ産のオーガニックミルクです。カナダ育ちのカナダの抗生物質を与えられた乳牛から摂取したオーガニックミルクは認可を受けていても、アメリカではオーガニック認可を与えないという規則があります。

 カナダの酪農家は、たとえオーガニックミルクを搾乳するための乳牛であろうが、病気の乳牛に対し搾乳までは必ず抗生物質を使って治療をしなければならないという規定があるので、完全な抗生物質Freeの乳牛からのミルクを提供していません。ですが、最低でも治療後の数日は搾乳、配給をしないというルールがあり、オーガニックミルクに関しては、その保留期間の2倍以上または2週間以上、搾乳、配給をしないという規定になっています。乳牛に対してのホルモン剤投与に関しては、カナダは完全に認めていないので、普通のミルクでも、成長ホルモンなどを食するという心配はありません。

 簡単にオーガニック認可を受けることができないので、記載も簡単にできないのが“オーガニック”の特徴です。その分安心して摂取をすることができるので、消費者としてはとても心強い記載事項です。

 このようにいくつかの例について話をしましたが、次回ももう少し記載事項について掘り下げてみたいと思います。

 


草野明美 自然医学博士/Naturopathic Doctor

1989年にカナダオンタリオ州に父親の転勤で引越しをし、2002年にトロントにあるCanadian College of Naturopathic Medicine にて修業後、2年ほどバンクーバーの指圧学校で講師/カウンセラーとして自然治癒力の素晴らしさを教えていたが、日本でも同じことができないか一度帰国。その後日本で結婚、出産をし2013年7月に再度家族を連れてバンクーバーに戻ったあと、カルガリーMarket Mall内のNutrition Houseにてサプリメント健康アドバイザーとして勤務。現在は2児の母としてバンクーバーに在住。

 

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