中国から日本、日本からカナダへとやって来た丁江輝(てい こうき)さんは、現在バンクーバーで“日本語・英語・台湾語・広東語・中国語を話す不動産仲介人”として活躍している。日本が大好きだという彼の仕事とバックグラウンドについて伺った。

不動産仲介人にとって大切なのは“人とのつながり”
丁さんの職業は不動産仲介人、英語でいうとRealtor(リアルター)。日本人にはあまり馴染みのない職業だが、カナダの不動産業界では一般的な職業スタイルだ。仕事内容をごくごく簡単に言えば、日本で販売代理会社が行っている不動産物件の売買を個人で請け負うということ。つまり、家を買いたい・売りたい人、もしくは借りたい・貸したい人を見つけ出し、その橋渡しをするのが丁さんの仕事だ。
「実際に売る・買うということだけでなく、不動産の情報を求めている人を見つけ出す、そのために人とのネットワークを構築していくことも大切な仕事です」と話す丁さんは、バンクーバーでこの仕事を始めて今年で4年目。その間に築き上げてきた人とのつながりを基盤に、さらに今、自身のネットワークを広げようとしているところだ。
中国・福建省出身というバックグラウンドに加え、中国の移民エージェントと提携していることから、彼のネットワークには中国人が多い。一見、私たち日本人には関係ないのでは?と思う方もいるかもしれないが、決してそんなことはない。現在のバンクーバーは中国人の人口が多く、その数はカナディアンを上回ると言われるほど。つまり、中国人のネットワークを持っているということは、それだけ大きな市場を抱えているということになる。不動産の売買を考えるとき、バンクーバーにいる日本人にとっても、よりよい物件・買い手とめぐり会う可能性が広がるということだ。

 

日本文化から学んだサービス精神を活かした仕事を
海外で不動産という大きな売買をする場合、仲介人と言葉の壁がないほうがもちろん安心だ。日本語・英語・台湾語・広東語・中国語を話す丁さんは、その点でも頼りになる。日本に約9年滞在していたため日本語が堪能で、実はこの取材もすべて日本語で受け答えしてくれた。「日本語を話すこと自体が楽しいので、ちょっとした疑問や相談があれば気軽に連絡してください」と彼は笑う。
1991年に中国から日本へ移動した彼は、まず長崎の短期大学、その後、福岡で九州大学へ。大学卒業後には、静岡と山口で日本企業の社員として働いた。そして1999年の暮れにカナダ・バンクーバーへ。中国の大学では英語を専攻しており、それを活かして働きたいという夢が移民のきっかけだった。バンクーバーで日本の大手商社等に勤めた後、不動産仲介人としてライセンスを取得し、現在の仕事をスタートさせた。
日本での生活や日本企業で働いた経験から、サービスの精神を学んだという丁さん。提供するサービスのきめ細やかさ、思いやりの心、仕事に対する真面目さ。日本文化のいいところを取り入れながら、個人としての不動産仲介人だからこそできる方法で、お客様に満足してもらうことを目指しているという。実はセカンドビジネスとして鍼灸師の資格も持つ彼。人々の治療に心を傾けることと、不動産業界でお客様のニーズに応えようとすることは、もしかしたら共通項も多いのかもしれない。
取材の最後、「日本の友達に温かい友情をもらったし、日本の皆さんに本当にお世話になったので、今度は自分が不動産という分野で少しでも役に立ちたい。先の話ですが、リタイヤ後は日本に戻りたいなと考えてもいるんですよ」という彼の言葉に、一人の日本人として素直にうれしく思った。


(取材 栗田茜)

 

丁江輝(Jackson Ding)- 不動産仲介人

Cell:604-839-1171

E-mail:This email address is being protected from spambots. You need JavaScript enabled to view it.

URL:http://www.jacksonding.com

所属不動産グループ:Pacific Place Ace Realty Ltd. OAKRIDGE NORTH TOWER
#555-650 West 41st Avenue, Vancouver, BC V5Z 2M9

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