2020年1月30日 第5号
2020年の幕開け、早速日本語上級者と新年会を行なった。先ずは新年に乾杯、そして特製お雑煮のお出ましである。「さあー、冷めないうちに食べよう」と言うと、ある生徒が、「冷めないあいだに食べよう」はダメですか、である。うーん、「うちに」と「あいだに」の違い、確かに日本語学習者にはややこしい表現の一つである。
この「冷めないあいだに食べる」であるが、意味は通じる。でもやはり不自然であり、「冷めないうちに食べる」のほうがぴったりする。でも「お風呂に入っているうちに、地震があった」は逆に不自然であり、「お風呂に入っているあいだに、地震があった」のほうがぴったりする。確かに「うちに」と「あいだに」にはかなりの違いがあるが、説明するとなるとなかなか難しい。
早速勉強会の始まりである。「あいだに」は時間の範囲がはっきりしている場合によく使います。例えば「お風呂に入る」という行動は時間的にはっきりしているので、この場合は「お風呂に入っているあいだに、地震があった」のほうが自然です。一方「うちに」は時間的な始まりや終わりがはっきり分からない場合に、例えば「冷める」は料理によっても異なるし、時間的な決まりがはっきりしないので、この場合は「冷めないうちに、食べましょう」の方が自然。だから、「午後1時から2時のあいだに来てください」のような文には「うちに」はダメですよ、である。
しかし、上級レベルになるとそう簡単にはいかない。「子供が寝ている」は時間の範囲がはっきりしているので「あいだに」を用いるほうがよく、「子供が寝ているあいだに洗濯する」である。でも「うちに」を使って「子供が寝ているうちに、洗濯終わらせたい」などの場合は「うちに」のほうがいいかも。後ろに続く文の内容によっても違ってくるのである。特に「うちに」はその期間中にある行動をやり遂げるというニュアンスがあり、希望や喜びそして後悔などの気持ちを述べようとする場合には「うちに」のほうがふさわしい感じがする。
更に、時間的な長さも絡んでくる。「あいだに」は長く、「うちに」は短いイメージがある。「しばらく見ないあいだに、大きくなったね」であり、「少し見ないうちに、大きくなったね」である。なるほど。でもなぜこのようなこと習った覚えもないのに、個人差もあるが、我々日本人は分かるのであろうか?母語の感覚とはいえ、なんとも不思議である。
最後にこんな問題を、「冬休みのあいだに」と「冬休みのうちに」を使って、後ろの文を作らせた。するとある生徒が、冬休みは時間的なことがはっきりしているので、「冬休みのあいだに、運転免許をとりました」ですが、「短い冬休みのうちに、運転免許を取ったよ、すごいでしょう」はいいですよね、うーん、さすが上級者。すると最初の質問者が、だから「冷めないうち」のほうがいいんですね。その通り。しゃべっているうちに、お雑煮は冷めてしまったが、有意義な新年会であった。
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