2017年7月13日 第28号

 皆さん、御無沙汰致しました。ボク、忙しかったんだ。でも今日は、また、お隣りのバッツ小母さんの近況をお知らせします。小母さんは、二年程前に運転停止になっちゃったんだ。眼はとても良いんだけど、ペレフィアルとか何とかが悪いんだって。小母さんは出好きだからがっくりなったんよ。でもそこは、小母さんの小母さんたるところ。バス、タクシーを使って出て歩いているんよ。で、タクシーは、大体インド人のドライバーが専用じゃない。で、小母さんは大いに、インド人について知識を深めたんよ。小母さんが好きなのは、ターバンした男の人なんよ。ターバンしてる人は、シーク教の信者だからね。神を信じている人を小母さんは信用するんよ。カトリックだって、シークだって、神は神だよ。で、いつかカトリックの教会に行くのに、シークのタクシーの運転手がつれて行ってくれたのよ。とても親切で、車を降りるのに手を取って教会まで連れて行ってくれたのよ。そしたら数分後、また、帰って来たのよ。小母さん、呆けて財布を席に置いたまま出ちゃったのよ。しっかりしてよ。それを持って来てくれて、うやうやしく小母さんに渡してくれたんだ。もう一人のシークの信者は、小母さんに「どこへ行かれるんです。教会ですか?教会、良いですねえ。僕も教会好きです」と、大いに張り切っちゃったんだ。

 小母さんは、毎月一回、前田多枝氏の主催する独唱会で歌うために、タクシー使うのよ。そしたらドライバーが、「何しにいらっしゃるんです?」ときいたのよ。そこで小母さん「歌いに行くのよ」と云ったら、ドライバーは、「うそっ!」って云うのよ。だって、インドの小母さん達は、小母さん位の年だったら、子供や孫やらの為にせっせと働いて、歌なんか唱っていられないよね。「本当よ」と云ったら、「じゃ、歌ってみせて下さい」って云うから、小母さん、小声で唱ったら「around the world」、今度はすっかり感心して、「凄いな。マドンナのようだ」と張り切っちゃったのよ。

 「貴女、日本人の血が入っているんですか?」ときいたのもいるよ。「え?どうして?」ときいたら、「最初の印象では、カナダ人だと思った。だけど僕は、日本に行ったことがあるんで、日本人の血が入っているのかなと思った」。うん、賢いね。小母さんが気に入ったのは、「僕たちは老人を尊敬するんです。年取った人々は、我々よりかしこく、人生経験があり、カルチャーがあります」。その通り。で、小母さんは今でもますます知識を深めて、かしこくなっているんよ。で、僕は、その報告をしますから待ってて下さい。

 


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