2017年4月27日 第17号
三月四日は、私の88歳誕生日であった。私は他人が私の誕生日を憶えていなくても構わない。だって向こうに憶えていてもらいたかったら、こっちも向こうのを憶えていなくてはいけない。数が多いと大変だから忘れていてくれる方が楽である。
昔はそれでも憶えていてくれた人もいたが、皆もう亡くなってしまった。だが、今でも必ず祝いの言葉を言ってくれる人が二人だけいる。娘と、もう一人は60年近くも前、ドイツの大学で一緒に勉強したハインツである。ハインツは毎年、私の生まれた日に、ドイツから電話をかけてくる。今年は当日、電話がかかって来なかったので、病気かと心配していたら、案の定、眼の手術で入院していたとのこと。「ごめんね。遅くなって。病院で電話がかけられなかったので」と十日遅れてかかって来た。娘と婿の方は無事で、私をディナーに連れて行ってくれた。
88歳にもなって死が近づいて来ると、私は何のために生まれて来たのか、または、神からいただいた使命を果たしたのか心配になるが、近所に住んでいるカナダ人の女性がうつ症であるが、私の顔を見ると「気が晴れる」と喜んだりすると、私の存在もまんざらでもないのかとうれしい。
私は80歳になった時、当時の首相であったスティーブン・ハーパー氏に手紙を書き、自分のやったことを(たいしたことでもないのに)述べたて、「平和な、差別のない国に住めることを幸福に思っており、80歳になったのでお祝いの言葉をいただきたい」と言ったら早速、金の紋章のついた免状を送って来たので、額に入れて飾っている。
今年は88歳。この88という数は中国人にとっては非常に運の良い数。私は中国人と関わりが多いが中国人ではない。90歳になるとエリザベス女王から免状をもらえることになっているが、二年早くいただこうと思ってお手紙を差し上げたところ(ちなみに私は英国籍)、とても親身な、親切なお祝いの言葉をいただいて、非常に喜ばしい誕生日になった。
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