2017年11月16日 第46号

 10月12日、JCCCで開催された戦後カナダ50周年記念式典のゲストスピーカーとして、「花嫁移住ブラジル生活50年」を語られた長崎県佐世保市出身の松本富子さんは、日本航空羽田空港事務所で英文タイピストをされてた方です。6年前に移住されてた幼馴染の住むブラジル東北海岸最大の都市レシーフェに1966年に嫁入りされました。1967年当時、たまたまレシーフェに滞在してた僕は、裏通りの片隅で、店に日本航空のカレンダーの掛けられた二坪ほどの小さなパステラリア「東京ランシ」で働いてた富子さんと二言三言、言葉を交わしたと記憶します。それはそれは美貌の若奥様でした。なんのなんの50年後の今もますますチャーミングになられ、お綺麗です。英語のランチは昼食ですが、ランシと発音するブラジルでは軽食を意味します。旧宗主国ポルトガルではパステルは甘いケーキですが、ブラジルでは揚げ餃子です。ブラジル東北地方は17世紀にオランダが統治しており、オランダ系ブラジル人の僕の妻マリアの実家は奥地の農家で、高校と大学がレシーフェでした。  

 10年後に妻の里帰りに付き合い、この熱帯の港町を訪れたら東京ランシは都心の一等地に移転し、マクドナルドの様な円形のモダンな店に様変わりしてました。そのまた10年後には高級住宅街にタベルナ(居酒屋)を開店され、フトゥーラ街の角にあるので通称「未来の街角」が店名になってます。その後も、富子さんの経営手腕が功を奏し、同じ通りにパティオレストラン「相撲」と「東京カフェ」も開店され、海岸沿いの「寿司よし」も含め4軒の日本料理レストランのオーナー。この熱狂的な相撲ファンである女性店主の生き様に感嘆した次第です。  

 リタイアして以来、僕は熱帯生まれで熱帯育ちのマリアの里帰りに付き合い、寒いカナダの冬の3ヶ月間はレシーフェで暮らしてます。その都度、トロントの無料雑誌トルジャ、ビッツ、弁当ボックスを持って行って富子さんに差し上げてたので、今年は語学学校で、英語の勉強のために半年間トロントで暮らされました。月極めアパートメントホテル入居前の3週間は我が家に居候されたので、着かれた週に早速「トロント元気かい」に案内したらケーキに『ウェルカムトミコ』と英語でデザインされており感激。念願の野球メジャー観戦も3度、「トロント歌声喫茶の会」ではオタワから参加されてる同年の女性メンバーがオタワ観光に連れて行かれたり、「歌おうネットカラオケ」の女性陣から誘われ、仏教会館での夏のカラオケパーティーに出演、JCCC夏のカラオケパーティーでも歌われ、とても曽孫がいるとは思えない若々しい美声を披露されました。「JSS歌の会」の仲間とは各国の夏祭りやサウザンドアイランドまで遠足を楽しまれ、カナダ生活を満喫されホームシックにかかる暇もなかったとか。  

 高校時代には卓球選手としてインターハイや国体に出場された富子さんはマーカムのユニオンビルでの卓球女子ワールドカップを観戦された後、去年バルセロナでの卓球マスターズ世界選手権大会に出場されたトロントの馬場選手とラーメンを食べに行かれ親交を深められました。「歌おうネットカラオケ」の常連になられた富子さんと、このカラオケを主宰されてる岡栄三さんとは、お互い高2の時にインターハイ(全国高校卓球選手権大会)徳島大会に出場されてたことがわかり奇遇を懐かしんでおられました。もちろん、出場された当時は17歳ですから旧姓「米森富子」。昔の名前で出ておられたと記録に残ってます。米森選手は長崎県代表の佐世保商業高校、山梨県代表の岡選手は甲府工業高校。

 50周年でのスピーチを終え、ステージを降りた富子さんのもとに駆け寄りハグされたのは佐世保出身で同郷の柳田孝子さん。言わずと知れた、トロントの誇る世界的オペラ歌手。僕は来年カーニバル直後の2月にレシーフェから空路3時間のサンパウロまで行き、毎月第3土曜に日本人町で開催されてる「叙情歌の集い」で富子さんと一緒に参加の予定です。3月には毎月第1土曜にサンパウロの日本人町にあるブラジル日系老人クラブ連合会で開催されてる「なつメロ合唱の集い」にも出席します。富子さんのレコーディングされたCDはブラジル全土で好評発売中で、老人クラブ連合会会長の五十嵐司さんは日系歌姫として人気者の富子さんの歌唱力を「なつメロの女王」と絶賛されてます。末筆になりましたが、カナダの同胞の活動に感動された富子さんはカナダドル残金全額をJCCCに寄付され、楽しかったカナダでの思い出を胸に半年ぶりのブラジルへ元気に帰って行かれました。

 


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