2016年8月18日 第34号

 7月18日晴れ。胆石の手術は12日夜だった。痛かったなぁ。でも、もう大丈夫。7日間の絶食ですっかり痩せ、目は落ち窪み、しわくちゃになった顔、それでも痛みが取れ至福感一杯で退院。翌々日には、楽しみにしていた世界女子ソフトボール大会日本代表チームの観戦と応援に、サレーまで行った。応援が楽しく、「ぴ、ぴ、ぴっ、ぴー」と笛の音に合わせて思い切り叫ぶ。「頑張れニッポン! ちゃちゃちゃ」と繰り返す。連続2日間、日本が勝つと自分も勝ったような心豊かな気分でいた。

 昨夜また3日目、日本対米国準決勝戦。日本が負けてしょんぼり帰宅すると家中が宝香に包まれている。何だろう? 香りをたどるとなんとサンルームだ。そこには5個の月下美人の花が開花していた。先月、5年ぶりに9個の月下美人が開花、しかし今回は先回に続いてことし「2回目」の新しい蕾だ。年に2回も続けて咲くの? と思っているうちに蕾はどんどん大きくなり、昨夜の開花である。このサンルームに、先日ハミングバードが舞い込んできた。大騒ぎ。砂糖水の大きなボールを用意したり、赤いフウシェの花咲く鉢を高い梯子上に置き、ハチドリがとまって蜜を吸えるようにしたり、なんとか外に出られるようにとドアを広く開けたり、まあ色々やってみる。

 ずっと以前、友人に送って貰ったハチドリを屋内で飼っているYouTubeを見たのを思い出し、「もしかしてこのハチドリ、我が家に住んでくれないかしら?」といった期待も膨らんだ。とにかく、数時間ハチドリ対策に紛争。やがて近くの植木屋へハチドリの水揚げ器を買いに行き、 戻ってくると、ハチドリはもう大きく開けたドアから外へ出て行ったあとだった。私のハチドリをペットにする夢は儚く敗れた! が、今朝はまた、朝食中、サンルームに小鳥が入ってきた。スズメのようだが、何だかもう少し黒と茶色が混じった羽色の小さな鳥。大きな葉影に身を潜めて隠れている。今回もまた、ドアを広げ外に飛んで出て行けるようにした。無事出て行けますように!

 これもずっと以前になるが、ある時、ダイニングルームからサンルームを見ていると大きなラクーンが我が家の猫の餌を食べている。「出て行け!」と窓越しに怒鳴っても、じろりと私の方を見て、全く平気でむしゃむしゃと食べている。食べ終わるとのっそりと出て行った。あれはずいぶん大きなラクーンだったなぁ。先客万来、またある時、2羽の小鳥がこのサンルームにある3個の小鳥小屋の一つに巣を作ろうと、かわるがわる藁を運び丸い入り口に置き始めた。大仕事だった。面白く見ていたが、その後、誰かがサンルームの表ドアを閉めて、この二羽は戻って来れなくなった。小さなサンルームで悲喜こもごも、話はいくらでもある。

 遠くに住む娘が「ママ、一緒に住もうよ」と声をかけてくれる。そして、「ママ、あのねぇ、話し相手のない老人が、花や植木と話しているのですって! 淋しいねぇ」と電話で言っている。そうか、私も淋しい老人かぁ。

許 澄子

 

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