2018年6月28日 第26号

「求めても、ないものはない。お前がいま持っているものは何じゃ」

世界的にも人気な日本のアニメーション『ワンピース』の中で、海賊王をめざし海での道標であった兄を失って、失意から立ち直れない主人公のルフィーに、魚人族のジンベイが問いかけた言葉です。

 小学校の管理職を退職して、現在はセラピストやカウンセラーの仕事についてライトワーカーを名乗られるメグさんは、 お母さんを選んで産まれてきた胎内記憶の持ち主です。母親を病気で失くして毎日泣いているお母さんを上からみて、このひとを幸せにしてあげる、と産まれてきたメグさんは、気がついたらすべて母親の望み通りの人生を送っていました。 次第にメグさんの心に、コントロールされてきた人生への葛藤が芽生え、母親との関係に疲れて、「適応障害」とメンタルクリニックで診断され、家族を置いて一時家を出ることになってしまいます。そして自分らしい人生を生きようとヒーラーの勉強を始めました。

 そんなメグさんがノベル・セラピーで作られた物語、『エイミーの帰還』をご紹介します。

 

 「エイミー、エイミーったら、どこにいるの?」

 「まったく、あの子ったら、宿題もせずに、また、遊びにいったのかしら」

 ママは、エイミーがお利口さんでいることが好きです。ママの言うことをよく聞いて、なんでもさっさとやって、ママを困らせない子でいることが好きなのです。ママは、エイミーのお洋服もぜんぶ選びます。紺のスカート、白いブラウス。紺のカーディガン。そして髪型もママが決めたショートカットです。

 いつもいつも命令ばかりのママに、エイミーは「こんなに口うるさくて優しくない人は、ほんとのママじゃないに違いない」と思うようになりました。どこかにいる本当のママは、「私が本当のママよ!」 とぎゅっとハグしてくれるの。ママを探す旅に出よう!

 エイミーが広い野原を歩いて行くと犬に出会いました。犬は鼻が利くのでママの居る場所をさがせるといいます。次にインコに出会いました。インコは遠くまで見通せるのでママのいる場所をさがせるというのです。さらに仲間に加わった馬は、エイミーが疲れたら乗せてくれるというのです。エイミーはたくさん歩いて、ママを探しましたがどこへ行っても見つけることができませんでした。でも途中で疲れきったときも、病気になったときも一緒に歩いてくれる仲間のおかげで、ちっとも苦しいとは思いませんでした。

 エイミーはママ探しの旅を終わりにすることにしました。そこにこだわっていることよりも、もっと大切なことが見つけられたからです。それは、辛いときにそっと寄り添ってくれた大切な仲間たちです。そしてエイミーは元気よくお家に帰っていきました。

 「ただいまー!!!」

 

 メグさんはこの物語を書き終えて、自分の理想とする母親を追いかけていて、本当の幸せは母親に愛されることにある、と思い込んでいたことに初めて気づいたと言います。

 「母親からの愛を渇望するあまり、周りにいる友人や自然などのたくさんの恩恵に気づきませんでした」

 物語を通してお母さんとの関係の呪縛から解かれたメグさんは、家に戻り、自分の自然な気持ちを伝えるようになると、お母さんも急速に変わっていったそうです。そして大反対していたセラピールームの建設を「あなたは、あなたのやりたいことをしなさい」と認めてくれるという大進展に繋がりました。

 メグさんのライトワーカーとしての新しい人生がスタートしたのです。

 


Ojha Emu Goto ノベルセラピスト

 日本で雑誌,広告制作者として活躍していたが、98 年にカナダに移民。光の色波動を用いるZenith Omega Healing( ゼニス・オメガ・ヒーリング)のマスターティーチャーヒーラー。月刊ウェブ・マガジン “Cradle Our Sprit! ” www.ojha-angel-vancouver.net / 編集長。しらゆきのゆめ出版代表。

 著書に「アカシック・レコードの扉を開ける〜光の鍵」明窓出版(2010 年)。 ノベル・セラピーのテキストを兼ねた小説集「しらゆきのゆめ」を昨年末出版した。同時に 『しらゆきのゆめ』出版を設立し、バンクーバーの日系社会のみなさまの自費出版をお手伝いさせていただいている。

 今春3月に日本縦断ノベル・セラピーワークショップツアーを行い、現在ノベル・セラピーで誕生した物語を Pod Cast での世界に向けたインターネット配信を準備中。ノベル・セラピーワークショップは随時開催している。自費出版及ノベル・セラピーのお問い合わせはThis email address is being protected from spambots. You need JavaScript enabled to view it. まで。 

 

読者の皆様へ

これまでバンクーバー新報をご愛読いただき、誠にありがとうございました。新聞発行は2020年4月をもちまして終了致しました。