2018年7月26日 第30号

 イギリスの数学者チャールズ・ラトウィッジがルイス・キャロルの筆名で書いた 『不思議の国のアリス』は、聖書やシェイクスピアに次ぐといわれるほど多数の言語に翻訳されている児童小説ですが、この作品で、それまで英国の児童文学を支配していた教訓的な主義から児童書を開放したと評価されています。創造の世界を自由にする枠をとり払った物語の主人公アリスのこの言葉は、さすがに時代や世代を超えて、ハッとさせる力強さがあります。

 今月は、東京でネイリスト(ネイル施術者)をしているユメカさん(仮名)が作られた“キラキラ光るエネルギー”を見つけるために、人間になってみたライオンの子供、トトの物語をあらすじでご紹介します。

 

 主人公トトはライオンの仔。人間だったら3才くらい。金色の毛並みをたずさえて尻尾の先はふさふさしています。大草原で暮らしていたのですが、家族とはぐれてしまい、数日間ろくに食事も出来ず、歩き疲れ、もうダメだと思ったところに偶然出会ったのがサーカスの一団でした。独りで生きていくことに疲れたトトは、自然とサーカスの皆と一緒に生きようと思ったのです。

 毎日芸を教えてもらうのですが、他の動物たちのように上手にすることができません。すっかり自信を失くしたトトでしたが、雨の夜に助けたガマ蛙にお礼に教えてもらった魔法で、一週間だけ人間の男の子になることができました。

 自信がなくて心の芯が疲れはててしまったトトは、自分が輝いてサーカスを観に来るひとたちの喝采を浴びたい!そういう強い思いを抱いて、“自分だけが持てる特別なエネルギー”を探しに、ニューヨークの街に出て行きます。そして街中で出会った人間の男の子ジョンと友達になりました。ふたりは一緒に壁に絵を描いたり、積み木をしたりして楽しく遊び、アッという間にお別れの日がやってきます。トトはジョンに告げます。

 「あのね、僕は本当はライオンなんだ。いまは魔法で人間になっているけど明日にはライオンに戻ってしまってこんな風にキミとお話もできないんだよ」

 トトにはジョンにわかってもらえたかどうかわかりませんでしたが、ジョンの「会いに行く」という言葉を信じて、サーカス団に戻ります。そしてもう他の動物の真似をするのをやめて、いつジョンが見に来ても、トトがライオンの姿をしていてもわかるようにいつも自分らしくしている事に専念しました。

 トトはだんだん人気者になってきました。スポットライトがトトを照らします。「トト!」観客席から声がしました。「ジョン!」声を上げる事はできませんでしたが、ジョンは見つけてくれたのです。ライオンの姿のトトを。その日のトトの目は涙できらきらがもっと光って見えました。

 

 ユメカさんはノベル・セラピーに参加した頃、長年勤めていた大手のネイルサロンを辞めて独立することを考えていました。彼女はそのサロンでトップの指名を受ける三ツ星ネイリストでした。サロンの名前から個人になったとき、果たして自分の実力を新しいお客様が認めてくれるかどうか悩んでいたそうです。しかしこのトトの物語を書いたことで、人間からライオンの姿になったトトをジョンが見つけてくれたように、自分らしくあれば、必ず道は開けると確信し、まわりのひとたちの反対を押し切って、独立。自分のサロンを持ち、斬新な個性派のネイルアーティストとして現在注目されています。

 ひとは、これが私だ!という強い信念と自分らしさを大切にする気持ちを持った時、人生の枠を外すことができます。あなたが自分にかけているリミテーションを外すのはいつですか?自分の本当の道を探すトラッキングをノベル・セラピーでやってみませんか?

 


Ojha Emu Goto ノベルセラピスト

 日本で雑誌,広告制作者として活躍していたが、98 年にカナダに移民。光の色波動を用いるZenith Omega Healing( ゼニス・オメガ・ヒーリング)のマスターティーチャーヒーラー。月刊ウェブ・マガジン “Cradle Our Sprit! ” www.ojha-angel-vancouver.net / 編集長。しらゆきのゆめ出版代表。

 著書に「アカシック・レコードの扉を開ける〜光の鍵」明窓出版(2010 年)。 ノベル・セラピーのテキストを兼ねた小説集「しらゆきのゆめ」を昨年末出版した。同時に 『しらゆきのゆめ』出版を設立し、バンクーバーの日系社会のみなさまの自費出版をお手伝いさせていただいている。

 今春3月に日本縦断ノベル・セラピーワークショップツアーを行い、現在ノベル・セラピーで誕生した物語を Pod Cast での世界に向けたインターネット配信を準備中。ノベル・セラピーワークショップは随時開催している。自費出版及ノベル・セラピーのお問い合わせはThis email address is being protected from spambots. You need JavaScript enabled to view it. まで。 

 

読者の皆様へ

これまでバンクーバー新報をご愛読いただき、誠にありがとうございました。新聞発行は2020年4月をもちまして終了致しました。