2019年6月20日 第25号

ブリティッシュ・コロンビア州・バンクーバー市の隣組で5月31日、コスコ・シニアヘルス&ウェルネス協会(COSCO SENIORS HEALTH & WELNESS INSTITUTE/以下『コスコ』に省略)から、ハウジングスペシャリストのバーブ・ミキュレックさんと、アシスタントのマーガレット・イングさんを迎え、BC州政府によるシニア援助についてのセミナーが行われた。今回のトピックは主に、住居と介護に絞られた。

コスコはシニアサポートのために40種ものワークショップを提供している非営利団体である。セミナーは英語で行われたため、隣組ボランティアの犬塚真琴さんが日本語への通訳と解説を担当した。シニアやその家族、そして介護に携わる39人が参加し、セミナー終了後には多くの質問もあがった。(メディアスポンサー:バンクーバー新報)

 

COSCO講師のバーブ・ミキュレックさん(中央)、セミナーでアシスタントを務めたCOSCOボランティアのマーガレット・イングさん(右)、日本語への通訳を担当した犬塚真琴さん(左)

 

BC州でのシニアの住居

 BC州に住むシニアの平均年収は現在、約2万4千ドルで、賃貸住宅に住むシニアの35パーセントが2万ドル以下の年収を持つ。同州のシニア人口中、独立生活(Independent living)を送る人が93パーセント、リタイアメントホームなどの生活サービス付き住宅(Supportive Housing)や介護付き住宅(Assisted Living)に住む人が3パーセント、看護付きの介護施設(Residential Care)に住む人が4パーセントの割合を占める。

 

「独立生活」を送るシニアのホームサポートプログラム

 自宅やシニア向けの住宅(日系の「新さくら荘」もこれに当てはまる)で独立生活を続けるシニアには、さまざまなホームサポートプログラムが用意されている。

 簡単な掃除や食事の用意(基本的に調理はサービスに含まれず、冷凍食品や宅配サービスを利用)、洗濯、外出への同行が必要なときは、民間のサービスを利用する。費用は依頼先のエージェンシーによって異なるが、1時間15〜30ドル程度が目安。

 入浴や着替えなどの生活介助も必要な場合は、ホームサポートワーカーによる介助を申請する。GIS受給者は無料でこのサービスが受けられる。主治医か医療関係者で資格のある人、あるいは家族による紹介書(Referral)を用意し、地域のヘルスサービス機関に申し込む(*下記参照)。ケースマネージャーのアセスメントによって、どの程度の介護が必要なのかが判断され、そこからケアプランが立てられる。

*BC州政府によるシニア向けのプログラム、サービス、公営の介護付き住宅や施設を利用するにはまず、バンクーバー・コースタルヘルス(Vancouver Coastal Heath :1-866-884-0888)に、バーナビー市から東の地区ではフレイザーヘルス(Fraser Health:1-877-935-5669)に連絡し、担当になったケースマネージャーから連絡が来るまで待つ。この連絡が来るまでには通常2〜3カ月かかるが、必要に応じて緊急な対応も望めるようだ。

*比較的健康なシニアでも、介護付き住宅や施設に入居の必要が生じた場合、すでに政府によるこれらのホームサポートプログラムを利用していることが条件になることがある。

 

 『コミュニティ・フードプログラム』では、『ミールズ・オン・ウィールズ(Meals on Wheels)』 (以下MOW)と呼ばれるボランティアによる温かいランチの宅配サービス(食事代のみ有料)や、買い物代行サービスが依頼できる。

 シニアが健康に生活でき、コミュニティとの繋がりが保てるようなプログラムが用意されているコミュニティセンターもいくつかある。その例として、バンクーバー市西部に位置するケリスデールのシニアセンターでは、55歳以上のシニア会員を対象に安価な『ランチプログラム』(月曜〜土曜、11:30am〜1:30pm)をはじめ、フィットネス、音楽、その他様々なプログラムが用意されている。

 隣組にも、水曜にボランティアスタッフ手作りの日本食宅配サービス・MOW(バンクーバー市内のみ)やアダルト・デイプログラム、水曜と金曜にランチプログラムがある。リッチモンドとバーナビー地区のMOWは火曜で、レストランやお店からの食事がボランティアにより宅配される。

 『アダルト・デイプログラム』はシニアを対象とした介護、昼食付きのプログラムで、24時間のサポートが必要なシニアを抱えた家族の負担を減らせるようにと企画されている。費用も手頃で10ドル前後から。ウェイティングリストは長いが、必要性の高いシニアについてはケースマネージャーによってリストの上位に移動してもらえることもある。

 

 歩行困難・その他の障害を持つシニアは、グレーターバンクーバー内で『ハンディダート(Handy Dart)』や『タクシーセイバー・プログラム(Taxi-saver program)』を利用できる。低所得・無所得のシニアは、年間のトランジットパスを低価格で購入でき、医療検診のための送迎サービス『ボランティアドライバー・プログラム』も利用できる。

 

 また、自分の所有する住居に住みながら車椅子を利用しなければならず、自宅の壁にレールを付けたり、浴室を改装する必要が生じた場合などには、『HAFI(Home Adaptation for Independence)』改装費支給制度の利用も考慮に入れたい。シニアに限らず、どの世代であっても申請ができ、州政府から認可されると2万ドルを上限に支給される。

 

住居関連の援助制度

 住居を所有する人は、『固定資産税延期制度(Property Tax Deferral)』が利用できる。

 BC州では土地の値上がりに伴い固定資産税の支払いも高額になるが、この制度を利用すると税の支払いを住居の売却時(あるいは自身の死亡時)にまで延期できる。55歳以上、配偶者を亡くした人、障害を持つ人が対象で、利率は低いが住居の価値に下限が設けられている。

 住居を所有しているが収入が低い人は、住居を手放すことなく収入が確保できる『リバースモーゲージ(Reverse mortgage)』と呼ばれる自宅を担保に入れた融資(一括でも月々の分割でも)を受けることも可能だ。ただし、手数料・その他の費用が生じ、利率や条件にも違いがあるので、サービス機関は慎重に選びたい。

 

 住居をレンタルしている低所得のシニア(55歳以上)には、レンタル料が収入額(総収入額の30パーセント)で決まる公営のシニア向け住宅がある。しかしながら、BCハウジングには現在約6千人のウェイティングリストがあり、緊急な事情がある人たちの入居が優先されるので、申請してから順番がまわってくるまでに大変時間がかかるというのが現状のようだ。

 60歳以上のシニアは、家賃が収入の30パーセントを上回る場合の差額補助が出される『SAFER』プログラムを利用することも可能だ。

 

「独立生活」が困難になったら…「介護生活」のための住居へ

 『支援・援助住宅/サポーティブハウジング(Supportive Housing)』には、公営と私営がある。公営では収入の50パーセント(税抜き)の支払いが生じる。1日1食、多少の介護も付き、障がい者、低所得のシニア向けである。24時間の緊急対応が可能でリクリエーションサービスがつく。一方、私営はリタイアメントホームとも呼ばれ、大変高額なところもあり、費用はさまざま。

 

 介護付き住宅(Assisted Living)では、公営、私営とも、常に州政府によるスタンダードが保たれている。こちらも私営のところは、比較的高額で負担額も大きい。重病ではないが、日常生活に介護が必要なシニアを対象とする。入居希望者は、自分がこのタイプの施設に適しているかをよく見極めることが必要だ。収入の70パーセント(税抜き)の支払いが生じ、残りの30パーセントは自由に使える。バーナビー市にある日系ホームは公営の介護付き住宅。  

 

 看護付き介護施設(Residential Care)では、95パーセントの人が、州政府からの補助金を受けて入居している。コンプレックスケア(Complex Care)、ロングタームケア(Long term Care)、ファシリティケア(Facility Care)、ナーシングホーム(Nursing Home)などとも呼ばれており、これらは全てレジデンシャルケアのことを指す。緊急でなければケースマネージャーから最初の訪問を受けるまでに3〜4カ月はかかるが、健康状態が良好なうちから申し込んでおくことはできない。すでに病気にかかっている場合や、その症状が重いほど入居が優先される。24時間のケアが保証され、収入の80パーセント(税抜き)以上の費用がかかる。 介護生活のための住宅・施設のリスト(Seniors Services Society) http://www.seniorsservicessociety.ca/find_housing.html 

 

年金、シニアへの援助金など

 60〜65歳になると年金、援助金制度がスタートする。カナダ・ペンションプラン(CPP)、オールドエイジ・セキュリティ(OAS)、ギャランティード・インカムサプリメント(GIS)、シニアサプリメントなどで、受給資格とその額は掛けてきた額や現在の状況によりさまざまである。所得税申告の結果、低所得とみなされた場合にはGISやシニアサプリメントが支給され、政府による無料のシニアサービスも受けられることが多い。申請して認可が下りるとメディカルサービス・プラン(MSP)のアップグレードもあり、医療保険はプレミアムケアに、処方薬もより広範囲にカバーされるようになる。

 援助金についての詳細は、バンクーバー新報2019年4月11日号の新報リポート・隣組シニアライフセミナー『カナダ政府による援助金&サービスリスト(http://www.v-shinpo.com/special/6233-special190411)』を参照のこと)。 

(取材 中村みゆき)

 

毎月定期的に行われるセミナーには、シニア生活に役立つトピックが満載されている

 

講義中のバーブ・ミキュレックさん。COSCOは「シニアによるシニア援助」を行うボランティア組織

 

 

今週の主な紙面
10月17日号 第42号

バンクーバー新報は毎週木曜日発行です。

あなたにぴったりの学校がきっと見つかる! School Information…V-3
〜大好きな日本に鶴の恩返し〜 リンダ・ホーグランド監督…V-2
Autism Speaks Canada Walk チャリティーウォーク開催…V-14
ヨガと健康・44…V-15
MOVIES TIME OUT…V-11
TIME OUT(イベント情報)…V-16~17
CLASSIFIED…V-19~22
求人情報…V-4

詳しくは10月17日号 第42号
バンクーバー新報をご覧下さい。

配布リストはコチラ