2016年7月7日 第28号

 すっかり夏になりました。どこに住んでいても夏はイベント盛りで楽しい時期です。

 我が家では馬が大好きな娘のために、今年はRCMP(Royal Canadian Mounted Police)隊員が騎乗して馬術を披露するミュージカルライドに行きました。RCMPはご存知の通り、カナダ連邦政府の警察で、日本語名では王立カナダ騎馬警察となります。その名が示す通り、馬に乗った警察というイメージから国民の間ではMountie(マウンティー)という愛称でも親しまれています。それにしても、RCMPはどうして騎馬警察なのでしょうか。

 ちょっと歴史を振り返ってみましょう。今から約145年前、カナダが西部の土地を購入しました。その際この地域の秩序を維持するため、初めて警察隊の設置が必要となりました。1873年のことです。当時は北西騎馬警察(North West Mounted Police-NWMP)と呼ばれ、赤のチュニック姿で馬に乗ってプレーリーを巡回していました。もちろん広大で人口がまばらなプレーリーを巡回するには、熟練した乗馬力が必要です。隊員たちは技術の向上のため練習を重ね、暇あれば互いの馬術を競いあっていたようです。そして1876年に初めてアルバータ州フォートマックラウドでその鍛錬された馬術を一般公開したのが、現在に至るミュージカルライドの始まりだと言われています。

 現在では馬での巡回はメインではありませんが、過去の歴史を風化させないためにも毎年5月〜10月にカナダ国内を含め海外でもミュージカルライドが行われています。嬉しいことに、アジア初のRCMPミュージカルライドは1970年の大阪万博と、日本とカナダ間の距離をまた身近に感じされてくれる歴史的発見となりました。 

 

馬術に長けたRCMP隊員32人のみが美しい黒馬を操ってミュージックライドで騎乗する

(小倉マコ)


 ■ 筆者プロフィール

カナダ在住ライター。新聞記者を始め、コミックエッセイ「姑は外国人」(角川書店)で 原作も担当。

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