2016年10月13日 第42号
10月は注意欠陥・多動性障害(ちゅういけっかん・たどうせいしょうがい)認知月間です。この機会に少しこの病気について掘り下げてお話をしたいと思います。
そういわれると「なるほど…」と言われる方もいるかと思いますが、注意欠陥・多動性障害とは海外でADHD - Attention Deficit Hyperactivity Disorderのことを指しています。つまり、多動性(過活動)、不注意(注意障害)、衝動性を症状の特徴とする脳の神経発達障害もしくは行動障害と医学的に説明されています。
ところが多くの人がこれを認知しておらず、かならずしも子供だけに発症するものではなく、大人になっても症状を持ったまま、社会で生活している人がいるのが現状です。現在、全世界で病気として理解され始めていますが、認められたのはつい最近のことで、診断されることなく大人になっている人は、自分がADHDであるとは知らずに社会で活躍しています。また両親にADHDについての知識がなかったことから、厄介な子供だった、手のかかる子供だったとの苦労話もよくあります。早くは3歳からADHDと診断される子供もいるほどです。
最近では日本でも、この病気であるといわれている某俳優が事件(不起訴)を起こしたこともありました。以前には『学級崩壊』といわれ、日本の学校でも、授業中に席を立って抜け出る生徒がクラスに数人いることが話題になったこともありました。カナダではよく話題に取りあげられている病気ですが、日本ではまだ認識が低い病気でもあります。
簡単に言ってしまうと、下記の3つの症状が常に現れている子供や大人がADHDと診断されます。
・じっとしていられない(多動)
・常にハイパーテンションである
・集中できない
周りから、大人気がない、感情を上手にコントロールできない、といわれている人は、ADHDだったりするのです。カナダでは人口の4〜5%が、この病気であると診断されています。
カテゴリー上はADD(Attention Deficit Disorder)はADHDと同一であるといわれていますが、『多動』だけが症状として現れず、そのほかの2つの症状が現れていればADDであると診断されます。HD-Hyperactivity Disorderに関しては、シュガーハイやチョコレートハイとして片付けられることもよくあります。
ADHDとして診断されることは、本人にとっても、診断される親にとっても大変なことですが、その病気を知り、どのように対応していけばいいかということを学び、周りの環境にも理解してもらうことがとても大切です。
ADHDは遺伝する病の一種なのですが、自然医療医学の見解においては、下記が原因で起こっていると考えられています。
・食品添加物のアレルギー (フードカラーリング、アーティフィシャルフレイバーや防腐剤など)
・食物アレルギー
・低血糖症
・ビタミンB群欠乏症
・鉛中毒症
似たような症状は、カフェインやニコチンの過剰摂取でも見受けられます。毎日の食事を見直し、特に、子供に与える食事やお菓子などに気をつけることでADHDのような症状を緩和できるので、これを心がけてみるのも良いのではないでしょうか。
草野明美 自然医学博士/Naturopathic Doctor
1989年にカナダオンタリオ州に父親の転勤で引越しをし、2002年にトロントにあるCanadian College of Naturopathic Medicine にて修業後、2年ほどバンクーバーの指圧学校で講師/カウンセラーとして自然治癒力の素晴らしさを教えていたが、日本でも同じことができないか一度帰国。その後日本で結婚、出産をし2013年7月に再度家族を連れてバンクーバーに戻ったあと、カルガリーMarket Mall内のNutrition Houseにてサプリメント健康アドバイザーとして勤務。現在は2児の母としてバンクーバーに在住。