2016年7月14日 第29号

 7月と言えばカナダデー。それにちなんで今回はメープルシロップについてお話をしたいと思います。

 カナダの国旗にも使われているメープルの葉は、サトウカエデ(Sugar Maple)というメープルシロップの原料になるカエデの葉をモチーフにしています。カナダ開拓時代、冬の間の食料難の際、先住民から教わりカエデの樹液を飲んで飢えをしのいでいたこともあり、カナダにとってメープルシロップとメープルそのものが、厳しい自然の中での生活の象徴として国旗に表現されているのです。海外でも日本でもメープルシロップはカナダの特産物として大変有名ですが、とても身体に良い食べ物であるということを皆さんはご存知でしょうか?

 メープルシロップは冬の間にMaple water(Sap)といわれる樹液を木を傷つけて採取し、煮詰めることによって出来るシロップです。Maple water は97%の水から出来ており、その中に糖分と、アミノ酸、たんぱく質とさまざまなミネラルとビタミンを多く含むとても栄養素の高い液体です。樹木が成長するために必要な栄養素と糖分を樹木が枯れない程度に採取しているので、多くのミネラル、ビタミンやたんぱく質を含んでいるのです。

 バンクーバー近郊ではバンクーバーアイランドなどでメープルシロップを作っているところもありますが、多くのメープルシロップはケベック州やオンタリオ州の北部のほうで作られています。ケベック市に入るとメープルシロップをたっぷりと使ったカナディアン料理を食べさせるお店がたくさんあります。はじめてそれらの料理を見る人はびっくりすると思いますが、昔のカナディアン料理では、パンケーキだけではなく、肉料理からポテト料理などにも大量のメープルシロップがかけられました。いまでも極寒の冬を過ごさなくてはいけない地域では、欠かせない栄養分が摂取できる食材として重宝されています。それに加え、普通の砂糖や蜂蜜と違い、糖尿病の治療にも大変効果があるので、砂糖の代わりに使うのも良いでしょう。

 メープルシロップを見るとそれぞれ色が違ったり、グレードが違ったりと、何がどう違うのかと悩む人も多いと思います。色の違いは摂取された時期の違いを表しています。たとえばExtra Light / Golden(薄い茶色)のものはシーズンが始まって直ぐに摂取したもので、色が濃くなるにつれてシーズンの後のほうに摂取したものとなります。そのためカラメル色が濃いものほど味も濃くなり、もちろんミネラルやビタミンも濃くなります。Grade AAやCategory No1などのグレード法には下記の意味があります。

①Extra light / Golden = Grade AA Category No1 = 透明で不純物なし(色-全種)栄養素 少なめ
②Light = Grade A
③Medium = Grade B
④Amber = Grade C   Category No2 = 透明で不純物あり
⑤Dark = Grade D (色-全種)栄養素 多い

 なぜ色やグレード法で識別しているのかと言うと、カナダ国内だけで2種の識別法があり、アメリカにも識別法もあるので、どの国のどの規定を使用しているかにより表示を変えています。 

 多くの人がパンケーキを食べる際、蜂蜜を使うか、メープルシロップを使うかで悩むところであると思いますが、本物のメープルシロップが簡単に手に入るこのカナダにいるからこそ、ぜひともメープルシロップをたっぷりと使ってみてください。そして砂糖の代用としてメープルシロップを使い、日々の生活の中に栄養価の高いメープルシロップを加えるのも良いのではないでしょうか。

 


草野明美 自然医学博士/Naturopathic Doctor

1989年にカナダオンタリオ州に父親の転勤で引越しをし、2002年にトロントにあるCanadian College of Naturopathic Medicine にて修業後、2年ほどバンクーバーの指圧学校で講師/カウンセラーとして自然治癒力の素晴らしさを教えていたが、日本でも同じことができないか一度帰国。その後日本で結婚、出産をし2013年7月に再度家族を連れてバンクーバーに戻ったあと、カルガリーMarket Mall内のNutrition Houseにてサプリメント健康アドバイザーとして勤務。現在は2児の母としてバンクーバーに在住。

 

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