バンクーバー市のカナダプレイスでは、午前10時から、音楽やダンスなど、25の記念イベントが行われ、大勢の人でにぎわった。その中でも、年々盛り上がりを見せるのは、午後7時から行われたパレードだ。今年で5回目を迎えるパレードには、61の団体からおよそ2000人が参加し、沿道には、20万人近くの観客が集まった。午後7時、ブロウトン通りから始まったパレードは、ジョージア通りをまっすぐ南東に向かい、バラード通りで左折して、ペンダー通りまでの、およそ1キロにわたって行われた。

 

日系コミュニティーからは、「バンクーバー音頭アンド神輿」と、「バンシティーソーラン」が参加した。「バンシティーソーラン」の代表、川口リチャードさんは、「今日は、『よさこい』を踊ります。日本の踊りをカナダのみんなに楽しんでほしい」と話し、勢いのある踊りを見せた。『バンクーバー音頭アンド神輿』は、ヤヨイシアタームーブメントの平野弥生さんが中心となり、神輿グループの楽市とともに、総勢およそ200人で参加した。

 

「バンクーバー音頭アンド神輿」では、「楽一」が、寄付金を募り、宮大工の根岸正さんが4年がかりで制作した、バンクーバーオリジナルの神輿のお披露目となった。
高さ2m、金色に輝く鳳凰を頂きに、意匠を凝らした細工が施されている。「楽一」の清野健二さんは、カナダの人に本物の神輿をみて欲しいという気持ちで制作した、と話した。神輿は、頭の山本実さんなど、約100人の参加者による、セイヤッという勇ましい掛け声ともに担ぎ手によって高く掲げられ、バンクーバーの街を練り歩いた。

 

神輿に続いて、パンパシフィック日産の赤堀正明社長の乗る車が先導し、バンクーバー音頭が披露された。実行委員会が大名行列を意識して、手作りした毛槍と、キャンペーンレディースの5人に、色とりどりの浴衣を着た踊り手が続いた。沿道の観客は、鮮やかな模様の衣装にカメラを向けたり、手拍子をしたりして、声援を送っていた。大勢の観衆の中、楽しみながら練り歩く日系の参加者は、日本の伝統の衣装、踊りを誇らしげに披露していた。
移民の国らしく、カナダデーのパレードは、アジア各国、アラブ、ロシアなど、各国の民族衣装や音楽でパフォーマンスしていたのが、印象的だった。

 

バンクーバー音頭代表の平野弥生さんにインタビュー

今年で3回目の参加ということですが?
2011年は震災後に、主催者から打診を受けて、震災を支援してくれたカナダの人たちに、お礼を込めて、日本が元気だ、ということを表そうと思って、参加しました。とても好評だったので、昨年は、東京在住の作曲家、園田容子さんに依頼して、オリジナルの『バンクーバー音頭』を作って踊りました。3回目の今回は、ますます元気な日本人を皆さんに見て頂きたいです。

 

大勢の参加希望があったようですね
2今回は、久富佳苗さん、仁藤帆泉さん、太紅梅さん、小笠原もえのさん、杉浦としみさんの5人が、キャンペーンレディースとして、広報に協力してくれました。フェイスブックも開設し、多くのアクセスがありました。また、今回2回のリハーサルをしましたが、都合の合わない方、自宅で練習したい方も多いので、動画を作ってフェイスブックで見られるようにしました。2011年の阿波踊りでの経験をふまえて、初めて参加した方でも、30分間、1キロの道のりを、簡単に楽しく踊れるように、基本的な盆踊りの4つの動作を繰り返す踊りを振り付けしました。パレードなので、前に進む動きを工夫しました。

浴衣などの衣装も、参加者の楽しみとなっているようですね
スポンサーの、パンパシフィック日産、スカイランドトラベル、リステルホテル、ナオトホリタさん、トーヨータイヤカナダの協力で、今年は日本から、新たに法被20枚を購入できました。バンクーバー日本語学校からも浴衣を借り、全部で70着ほどの浴衣を用意しましたが、全て貸し出されるほどの人気でした。

 

日本人以外の参加者もいたのですか?
参加者の2割ほどは、カナダ人、中国人、韓国人、スペイン人など。みんな、浴衣を着て、踊るのが大好きな人たちです。初めての参加者が、踊りながら歩くのは、なかなか大変です。下駄にこだわらず、歩きやすい靴を履く事などを勧めました。浴衣も、皆さんが気持ちよく使えるように、気を配りました。

 

(取材 大倉野昌子)

読者の皆様へ

これまでバンクーバー新報をご愛読いただき、誠にありがとうございました。新聞発行は2020年4月をもちまして終了致しました。