「無の境地」への憧れ。座禅入門

日加ヘルスケアでの座禅は2012年の3月よりはじまり、今回で13回目となるが、初めての人もいるため、正しい座禅の組み方から始まった。
足を組んで姿勢を正す(調身)。座禅専用の丸くふっくらとした座布団の3分の1ぐらいの所に尻がくる位置に座る。(自宅では2つ折りにした座布団でもよく、この場合、尻の中心が来るように座る)。右足を左太ももに深く乗せ、次に左足を右太ももに乗せる。きつい場合は片足を太ももの下に入れてもよい。背筋をしっかり伸ばすと、肩と耳、鼻とへそが一直線につながる。尾てい骨が反り、横から見ると「く」の字を描く状態。目線は、半畳先の床に落とす。目はつぶらず、自然に開いた状態。手は、右手の上に左手を置き、4本の指が重なるようにする。両方の親指は触れる程度の状態で半円を描く。楽な状態で、下腹部に置く。
呼吸を整える(調息)。鼻で大きく吸って、腹を膨らませる。口でゆっくり息を吐きながら腹を凹ませていく。つまり、腹式呼吸をする。そんな深呼吸を数回繰り返した後は、ゆっくりと鼻呼吸をする。座禅は「呼吸に始まり、呼吸に終わる」といわれるぐらい大切なこと。
そして、心を整える(調心)。「明日、どうしよう」「あの人が、あんなこといっていた」などなど、雑念は誰にも浮かぶが、それを追わないこと。追いかけそうになったら、深呼吸をして、思いを断ち切る。その繰り返しをしていくうち、リラックス感が増し、頭の中がクリアになる感じがあるという。
もちろん、座禅は一人で、どこででも組めるが、なれるまでは指導者の元、グループで行うほうが身に付きやすく、理解しやすい。すぐさま無の境地になれるもではないが、確かに初めての者でも、座禅の後、何か、さわやかな感覚に包まれる不思議を実感した。
*座禅の組み方については、紙面での説明不足が否めないため、実体験をおすすめする。今後も継続実施の予定があるようなので、関心のある方は「日加ヘルスケア事務局」へお問い合わせいただきたい。

 

「怒り」は負のスパイラルに堕ちて行く

アンガー・マネジメントの座談会に移り、まずは参加者が「怒りを感じた体験」を発表。原田先生のメンタルヘルスケアの手法によって解き明かされていく。
怒りは「反感」↓「恐怖」↓「自責」というように負のスパイラルに堕ちて行く。参加者の体験のすべては「反感」のレベルであるものの、それがカギとなって深い部分に入って行くので、早めに取り去ってしまう必要がある。深みにはまれば、うつ病を誘うこともあるそうだ。「反感」というのは、相手に対して自分が期待したこと、予期したことを返してくれないことへの苛立ち。だから、期待や予期を初めからあまり大きく持たない、自分の信じ込みにとらわれた狭い枠をはずしてゆく、心を開く作業が必要になる。日本からの移住年月が浅いと、例えばショップでの店員の態度など、日本とあまりの違いにムッとすることがあるが、これなど、その適例だろう。また、日本では『以心伝心』という言葉があるように、あいまいでも通じ合える面があるが、カナダではそうは行かない。

 

こうしたコミュニケーションのギャップなどが日常にさまざま横たわっている。それは同じ日本人の友人との間でも起こりうる「怒りのもと」ともいえそうだ。
原田先生のメンタルヘルスケアの手法のひとつに、「筋反射テスト」がある。これは、ストレス状態にあるとき、筋力も力を失い、弱くなっている、この原理を応用したもの。「筋反射テスト」によって、ストレスのほんとうの原因になっているものを特定できる。そしてそれを、神経生理学の理論にもとづいた内分泌ホルモンのバランスを整える、中国医学の経路のツボのタッピング、インド・アーユルヴェーダ医学の理論や精神分析的な理解、顔の構造機能(人相)から来る行動パターンの理解などで開放する。
(原田先生のホームページhttp://www.equinespirit.ca/より)

 

この筋反射テストの一環として紹介されたのが、次のような簡単な方法。怒り=ストレスは、どこか体の一部に痛み、あるいは痛みの感覚をもたらすことから考え出された方法。
①まず、片方の手の平を額に当て、②もう一方の手の平を痛みの場所に当てる。③そして、集中し、怒りの原因、相手の顔を思い浮かべる。④次にその原因に色をつければどんな色かを想像する。⑤最後に、自分の好きな明るい色を思い浮かべる。それぞれのタイミングは原田先生のソフトな合図で知らされるが、終わった瞬間、不思議な感覚にとらわれたのは、筆者ばかりではなかった。参加者が一様に、「体が軽くなった」、「痛みがなくなった感じ」、「気分がよくなった」などの感想を述べていた。

 

「怒り」への東洋医学からのアプローチ

東洋医学からのアプローチは、お馴染みの杉原義信先生。いつものにこやかな語り口調で、難しい東洋医学による「アンガー・マネジメント」をやさしく解説してくれた。

 

春は生物の成長が活発な時期。勢いがある。だから、「怒りやすい」季節

人間の体は、肝臓、心臓、脾臓、肺、肝臓の5つの臓器「五臓」、そして、胆のう、小腸、胃、大腸、膀胱、三焦の「六腑」。よく言われる『五臓六腑にしみわたる』の表現は、体全体に…という意味。
さらに、5臓は5季に関連している。春に活発になるのは肝気(=怒り)、夏は心(=喜び)、長夏は脾(=思い)、秋は肺(=憂)、冬は腎(=恐)というように、気持ちの在り様と関連づけられている。人間が、大自然に抱かれ、大自然の変化に適応して生きていることを示している。
時は、春。肝気=怒りやすい季節、とも言える。本来、肝気は伸びやかに全身をめぐるが、気の流れが滞ると、「肝気鬱結証」をきたす。すると、「精神抑鬱」や、「易怒」が生じたり、女性では乳房痛、月経痛、閉経を生じる。また、「肝気犯脾」によって、脾臓の障害が生じ、食欲不振、過食、下痢、便秘が生じる。これが進めば、「肝火上炎証」に。イライラ、易怒、不眠を生じる。「肝陽上亢証」に至れば、イライラ、易怒に加え、頭が重く、ふらつく。さらに、「肝陰虚証」、「肝風内動証」に至っては、めまい、ふるえ、痙攣などの重篤な症状に移行する。
上記のような症状があるときは、できるだけ早めの診察を受けることをおすすめする。
東洋医学での診察は、脈を診る「脈証」、舌の色などを見る「舌証」、そして、治療法「治法」を導き出し、鍼灸や漢方薬による治療が行われる。

春先の、やや怒りっぽい程度であれば、多くの場合、脈や舌に特別な所見はなく、ツボの指圧で解消できるとのことだが、正確な説明は困難。毎回実施されるワークショップで体験して学ぶのが最適なのではないだろうか。実際、杉原先生の指導のもと、参加者同士でツボのタッピング行った直後、「気持ちいい」、「あ〜、すっきり」という笑い声が会場を包んでいた。

 

取材 笹川守

 

日加ヘルスケア協会
日本語を話す人々、日系人、そしてその他の一般の人々の健康の維持・増進を目指して設立された非営利団体。BC州で利用可能な医療・健康サービスを十分活用し、さらに世の東西を問わず予防的健康管理に役立つ知識を身につけ、健康を増進し、疾病を予防する援助をすることを目的に、講演会やワークショップなど様々な活動を行っている。詳しい活動内容は日加ヘルスケア協会のウェブサイトで確認できる。
http://nikkahealth.orgg

 

杉原義信医師 プロフィール
1948年生まれ。名古屋市立大学卒業後、慶応大学病院、東海大学病院、東海大学大磯病院を経て、杉原産婦人科医院を開設。妊娠・出産や婦人科疾患を主体に地域医療に従事。2009年1月、大自然に抱かれたカナダ・バンクーバーに遊学。日加ヘルスケア協会理事。

 

Dr.ウィンザー原田直子 プロフィール
Dr. Naoko Harada Winther, R.C.C. 東京医科歯科大学医学部において、精神医学の研究で医学博士号取得。 アメリカ、カナダで、従来のカウンセリングの方法を超える、Three In One, BodyTalk, などのApplied Kinesiology(筋反射テスト)に加え、Quantum-Touch のエネルギーワークのトレーニングを受ける。心理学と神経生理学に基礎をおき、さらに<魂>の統合をめざす新しい健康概念<統合医療 >を臨床において実践している。BC州公認クリニカルカウンセラー、False Creek にカウンセリング・オフィスを持つ。

 

今週の主な紙面
2月20日号 第8号

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