バーレーンから赴任

赴任先のほとんどが中東地域であったという伊藤氏の前任地は、バーレーンの日本大使館。砂漠の国から緑多いバンクーバーへの赴任だった。
当地総領事館の管轄地はBC州とユーコン準州。赴任したときの目標は、より良い領事サービスの提供、日本についての正しい情報の発信、日本とBC州、ユーコン準州との経済関係の強化の3つだった。
「2年めあたりからカナダの資源への日本からの投資、またクラークBC州首相の訪日など、BC州政府の中にある日本の存在感、両国の経済関係の回復、持ち直しといった感じが見られました。目標に少しでも近づき貢献できたのだとすれば、皆さまのご支援とご協力によるものと感謝しています」

震災後の温かな支援

任期中にはバンクーバー五輪ほか、東日本大震災後に多くの支援イベントが開催された。
「印象に残っているのは東日本大震災後に、本当にいろいろな形でファンドレージングを行っていただいたことです。日系だけでなくカナダの方からもたくさんの支援を受け、勇気づけられました」
BC州北部のキチマットからは、スーツケースいっぱいの千羽鶴を受け取った。生徒が昼休みに折ったものを先生が飛行機でバンクーバーに来て一泊し、総領事館まで届けてくれたものだ。
バンクーバー島のポート・アルバーニでは6歳の女の子が誕生日プレゼントの代わりに募金をし、同市の姉妹都市である網走市を通じて宮古市に送られ、被災した子どものおもちゃ購入に使われた。昨年、姉妹都市25周年式典出席のためポート・アルバーニを訪れた伊藤氏は、その女の子と対面。お礼に折り紙セットをあげると『今年の誕生日の分の募金です』とまた寄付金を渡された。「こうした心温まる逸話、小話がたくさんあります」と話す。

姉妹都市35市を訪問

カナダ国内には日本各地と提携する姉妹都市が70ある。そのうちBC州に34、ユーコン準州に1つ、つまりカナダ全体の半分にあたる姉妹都市がバンクーバー総領事館の管轄内にあるわけだ。
伊藤氏は任期中、35の姉妹都市への訪問を網羅。イースト・クートニーのキンバリーとスパーウッドを訪問したときには、同じ州内でもバンクーバーと1時間の時差があることを知り、改めてカナダの広さを感じたという。「訪問したことでそれぞれの関係に何らかの弾みがつけば幸いです」
最後に残ったバンクーバー島のポート・ハーディーでは、震災関連のお礼を伝えた。バンクーバー島沿岸には日本からのがれきが漂着し始めているため、日本政府はカナダへ100万ドルのがれき処理支援金を送ることを決定した。
「私はゴルフもしませんしスキーも出来ません。カナダ人が好きなホッケーのことも良く知りません」と話す伊藤氏だが、着任後すぐにグラウス・グラインドに挑戦。バンクーバー・サンラン(10K)には個人で2回出場して完走するなど、地元で人気のスポーツにもチャレンジ。カナダ人の生活に興味を持って過ごした3年だった。
10月初旬帰国後は、国内で業務する予定とのこと。

130人が出席した歓送会

9月26日にコースト・コールハーバーホテルで行われた総領事歓送会実行委員会主催による歓送会には日系・日加諸団体や有志など130人が参加。アンジェラ・ホリンジャーさんの司会で伊藤氏がこの3年間を振り返り、謝辞を述べた。日系文化センター・博物館会長の林光夫氏が乾杯の音頭を取ったあと、立食形式のレセプションでは、日系社会の行事に積極的に参加した伊藤氏に感謝や挨拶をする人が後を絶たなかった。
「真面目な印象を受けますが、話してみると気さくな方だった」「地元のイベント、サンランに個人で2度出場して完走したと聞き、驚く反面うれしい発見をしたと感じています」「アラブ諸国ほか日加経済の講演をしていただき、参考になりました」「春の生け花ショーでは毎回真剣に作品を鑑賞していただきました」「『県人会のピクニックは私にとって夏の定番行事となり、ピクニックに来ないと夏が来た気がしません』と挨拶していただき光栄でした」など、ビジネス関係、文化関連、県人会ほか個人からたくさんの感謝と別れを惜しむ声が聞かれた。
この席で、池田洋一領事の後任の冨(とみ)義之領事、高橋章領事の後任の生田目(なまため)尚美領事(経済関係)が紹介された。

 

(取材 ルイーズ阿久沢)

 

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