ギネスブックに挑戦中

黒いシルクハットに赤いマントを羽織って登場した昇地三郎氏は1906年8月16日生まれの105歳。耳が少し遠いのを除いては至って健康だという。
99歳から毎年世界一周旅行を開始し、今年は9か国12都市を訪問する。国際心理学会・南アフリカ、ケープタウン大会に参加し、知的障がい児の回復研究論文を発表するのが主な目的だ
また、ギネスの世界記録に挑戦していることも注目されている。応募した種目は『公共交通機関を利用して世界1周をする最高齢者』。7月16日、報道陣に囲まれ福岡空港で出発式をした。帰りの機中で106歳の誕生日を迎え、8月16日に福岡空港へ戻る。「105歳の最後の1か月、新しい目標を定めて挑戦です」と自信に満ちた笑顔を見せた。

手作りおもちゃの効用

「子どものとき虚弱児でございまして、小学校ではいじめに遭いましたが、母親が『三郎は頭が悪い。けれども腕がある』と私を励ましてくれました」
教師を目指して師範学校に通っていたときには緊張からどもりになったものの、矯正塾へ通いながら独自の発声方で困難を克服した。
3人の子どものうち、ふたりが脳性小児麻痺。いじめのない学校を目指して1954年、日本初の知的障がい児学校『しいのみ学園』を創立。それまで硬い表情だった子どもたちが1年後には明るい表情になり、自立していく姿を身をもって体験。著書『しいのみ学園』はベストセラーとなり、映画化された。
「障がい児というのは劣等感、ひっこみから凶暴、暴力へと変わることもあります。日本では今、70万人が引きこもりと言われています。“必ず出来るようになる”といつも励ますことが大切です。希望を失わないように」
95歳から手作りおもちゃを開発。トイレットペーパーの芯や牛乳パックを再利用して作るクルマやタコつりは“知恵がつく、ものを大切にする、感謝の心が育つ”とコロンビア大学博士のお墨付きだ。
3歳までにしっかりと子育てすることが大切と話す昇地氏は、月1回親子でのおもちゃ作りを勧める。このとき子どもが抱く“お母さんてすごいな”という尊敬の気持ちが、その後の躾に役に立つという。

10大習慣健康法

学会出席や講演など国内外で精力的に活動する昇地氏は、福岡県から任命された健康長寿マイスター。「今はもう100歳以上が4万7000人以上も日本にいるんですから、めずらしくないわけですが」と言うものの、参加者が知りたいのは長寿の秘訣。次のスライド『サブちゃんの10大習慣健康法』では、昇地氏がひとつひとつを説明した。

1)まず笑顔:人の輪に入る術。孤独は病気の原因
2)冷水摩擦
3)棒体操
4)祈る:感謝の心、願いごと
5)1口30回噛む
6)語学講座を聞く
7)新聞をよく読む
8)口八丁手八丁足八丁
9)日記を(外国語で)書く
10)硬いマットに寝る

 

長生きの秘訣は小食。「30回噛めという母親からの教えを100年以上も守っているのでございます」。75歳から総入れ歯。噛むことで刺激されるためか、昇地氏の脳は70代に相当、脳反応力は30代、記憶力を司る海馬は普通の人の2倍もあると診断されている。
65歳から韓国語、95歳から中国語、100歳からロシア語、ポルトガル語、フランス語を習い『1日1知』を実践。規則正しい生活も長生きの秘訣という。
「余生を楽しむ、と言われますが、人生には余りはない。これからはみんなが長寿になるわけです。後半人生をいかに元気に生きるかということでございます」
日本心理学会のメンバーとしてソ連時代にモスクワ大学を訪問した際、クレムリン宮殿で紋付袴姿で黒田節を踊った。「2016年に開かれる国際心理学会では、110歳で黒田節を舞えるように頑張っています。いくつになっても目的を持つことが大切です」とパワー溢れるメッセージを伝えた。

 

(取材 ルイーズ阿久沢)


曻地三郎(しょうち・さぶろう)氏プロフィール

旧姓、山本三郎から改名。広島文理科大学(旧制)文学博士、九州大学医学博士。(旧制大学制度で医学・文学両博士号を有するのは森鴎外と2人だけ)。日本最初の知的障がい児学校『しいのみ学園』の創立者。福岡教育大学名誉教授。中国・長春大学名誉教授、上海・華東師範大学名誉教授、モスクワ心理教育大学名誉教授。2010年、韓国政府より国民勲章を受章。同年、福岡県後期高齢者医療広域連合から『健康長寿マイスター』に任命された。

曻地三郎先生自己紹介ブログ

http://blogs.yahoo.co.jp/shiinomi104/
(8月16日までの世界一周旅行中も随時アップデート。バンクーバーを含む各地の様子を見ることが出来る)

 

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