2019年9月19日 第38号

早稲田大学名誉教授の大槻義彦氏と共に科学を語る会サイエンスカフェが、9月7日、今年度の最終回を迎えた。通常、矢野アカデミーの教室で行われるが、最終回では同じビル内の会議室を使い、日本からの特別ゲスト2人を含む17人が参加した。

 

大槻義彦氏(前列左)、日本からのゲスト大野一敏さん(前列右)と田嶋俊一さん(後列左端)、河田叡治さん(後列中央)、矢野修三さん(後列右端)

 

難しい科学の話を身近に

 サイエンスカフェは、2016年から毎年7〜8月に開催されてきた。これは、科学に関するテーマについて、お茶を飲みながら気軽な雰囲気で語り合おうというもの。大槻氏が矢野アカデミー校長の矢野修三さんに話を持ちかけたところから始まったという。始まった当初は、大槻氏がテーマに関する話をすることに重点が置かれていた感じもあったが、回を重ねるにつれて出席者が積極的に質問を投げかける他、意見交換も行われて年々活発になってきているように見受けられた。

 今年は6月22日からほぼ1週間おきに全7回開催された。最終回は「光は波動なの? 粒子なの? いやいやそれは量子です」と題され、光の正体を探るという話題。17世紀に光の本質は波動であるという説が実験を経て証明された。一方、光は粒子であるという粒子説もあった。20世紀に入り、アインシュタインが光電効果の実験から光子という光量子を仮定した。アインシュタインは、この功績で1921年にノーベル物理学賞を受賞している。

 新しい発見がなされて何十年、何百年と経つうちに、それをさらに裏付けるような発見がなされることはままある。その一方で、今までの説を覆すような発見や理論が登場することもあり、こうやって科学は進歩していくのだろう。サイエンスカフェに参加してみると、理系の話題は全然ダメ!という人でも、自分にとって未知の世界を知る手がかりとなり、科学の世界に限らず、いろいろなことについての考え方のヒントになるのではないかと感じた。

 

日本からゲストも迎えて

 日本からの特別ゲストの一人、田嶋俊一さんは栃木県那須塩原市で大槻氏が開いているサイエンスカフェの世話役を担っている。「大槻先生が火の玉の研究をするのに、那須の山の中に住み込んで研究されていたそうです。それがきっかけで当地を気に入り、春と秋は那須に住まわれるようになったそうです。そして那須塩原市の教育委員会に話を持ちかけ、市民大学で科学講座を開こうということになったわけです。それが7〜8年前のことです」。そのうちに、バンクーバーのサイエンスカフェを那須塩原市でも開催しようということになり、昨年から、春は参加者50人ほどの講座、秋は少人数のサイエンスカフェを開催という形になったという。今年は9月28日から開始される。サイエンスカフェの参加者には「詳しい人もいますが、とんちんかんな質問が出ても(笑)、 先生はわかるように説明してくれます。私など理系ではなかったので、話を聞くたび世の中にはこういうこともあるんだ、と興味深いですね」と話す。

 もう一人は千葉県船橋市で漁業に携わっている大野一敏さん。大野さんは日本のサイエンスカフェに参加しているわけではなく、バンクーバーのフォールスクリークやグランビルアイランドなどを行き来するアクアバス(渡し船)の視察を目的に田嶋さんと来加した。船橋港の水路でアクアバス運航を目指しているという。それができることで橋に車が集中せず、交通が緩和されるのではと考える。「あの船の見た目もいいんですよね。ああいうものが走っていることで、周辺地区ににぎわいを呈することもできるんじゃないかな」と話す。アクアバス運航会社の人と会って、運営方法や経費、 さらには中古船を譲ってもらうのは可能かといった話をしたいと思っていたそうだ。残念ながら今回、それは叶わなかったそうだが、「アクアバスのためならいつでもまた来ますよ!」と熱意を見せた。

 

いろいろな人の参加を

 サイエンスカフェの開催当初から参加している河田叡治さんは、「組長とか番長なんて言われてますけど、みなさんと唯一違う点は皆勤賞であるということだけなんです」という。大槻氏とはサイエンスカフェが始まる前から、バンクーバーでのゴルフ仲間だったという。「私は物理を含めて科学というもの全般的に好きですから、話を聞くのが楽しいんです。それに理屈っぽい方だから、なにか先生が変なこと言わないかな、なんて思って顔出している。でもなかなか変なことは言わないですね」と笑いながら話す。「先生はものすごく真面目なんです。(聞いている人に)わからせようとして『嘘も方便』的な話を絶対されない。正しいことしか話されない。それが聞く方からするとわかりづらいこともある。私自身もわからないところがたくさんあります。でも先生が仰っているんだから少なくとも間違ったことではない。(先生が話すような)物差しで世の中を見てみると『おかしいことがあるな』といったことがわかってくる。そういうことがここに来る一番のメリットではないかと思います」と話した。

 大槻氏に今年度の感想をたずねると、「若い人が増えましたね。学生、大学院生、今日なんか中学生も来ておりました。なんか人づてに伝わっているのか、だんだん広がって、前々回あたりも高校生が来たしね。若い人が来てくれるというのはうれしいことです。那須でやっている講座も中学生なんかが来ているんです。非常にうれしいことだと思っています」と語った。

 会の後はラーメン店「小雪」で打ち上げ会も行われた。今年度も和気あいあいとした雰囲気の中、知的好奇心を満たす話題がたくさん出てきた。来年こそはと思う人は、ぜひバンクーバー新報に掲載される告知をチェックしてほしい。

(取材 大島多紀子)

 

気軽な雰囲気で科学について語る

 

今年度も充実の内容で参加者たちも楽しんだ様子

 

 

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