2018年12月20日 第51号

天皇陛下は12月23日に85歳の誕生日を迎えられる。それに先立ち、12月11日、在バンクーバー日本国総領事が主催する祝賀レセプションが、バンクーバー市のコースト・コール・ハーバー・ホテルで開催された。ブルース・ラルストンBC州雇用・貿易・技術大臣、デービッド・ビング在ビクトリア日本国名誉総領事をはじめとするBC州議員や政府関係者が来賓として招かれた。また、日加ビジネス・教育・文化関係者、日系団体関係者など、約300人が出席した。

 

たくさんの人が訪れ、歓談の時間もにぎやかに

 

羽鳥隆在バンクーバー日本国総領事によるスピーチ

 レセプションは、NAVコーラスによる国歌「君が代」と「O Canada」斉唱で幕を開けた。始めに羽鳥隆在バンクーバー日本国総領事が挨拶に立った。29年前に即位された天皇陛下は、2019年4月30日に退位され、その翌日には皇太子さまが新天皇として即位される。今回が、今上天皇在位中、最後の誕生日祝賀レセプションとなる。

 今年は日本とカナダの修好90周年を迎えた。貿易、ビジネス、観光、教育、文化、人的交流といった分野における両国の強く永続的な関係は素晴らしいものだといえる。今後も新たな機会が生み出されることが期待される。

 BC州と日本の経済的な関係も堅調である。今年、日本の富士通がバンクーバーの1Qbit社と共同でAI(人工知能)センターをバンクーバーに設立、ロボット工学、AI、量子計算を通して新しい道を拓いていくだろう。天然資源の分野では、ジョン・ホーガンBC州首相率いる現BC州政権による尽力のおかげで、BC州におけるLNG産業は高い競争力を保っており、LNGカナダによる投資の決定につながっている。また、日本は常に自由貿易を支持しており、CPTPPが実現したことは喜ばしいことである。これは、戦略的に重要な自由貿易協定であり、日本やカナダを含む参加国の間で、これまでにないほどの市場アクセスが可能となる。今年12月30日に発効されるCPTPPによって、日本とカナダ間の投資活動が活発化されると期待している。

 本年3月12日に、デービッド・ビング氏がビクトリア駐在日本国名誉総領事に任命された。BC州の首都ビクトリアにおいて、日本の存在感をより高めるとともに、BC州と日本の関係をさらに促進するだろう。

 バンクーバーは素晴らしい自然と気候に恵まれたBC州に位置し、世界でもトップレベルの都市であり、この地に赴任したことをうれしく思っている。当地ではすでにさまざな絆が結ばれており、それらを基に日本とBC州とのあらゆる面での関係を築いていきたいと考えている。

 

ラルストン大臣および門田氏による祝辞

 次にブルース・ラルストンBC州雇用・貿易・技術大臣がスピーチを行った。まず、約1カ月前に就任した羽鳥総領事に向けて、日本の政府と人々にとって任務をしっかりと果たしてくれるだろうと期待の言葉を述べた。続いて、ジョン・ホーガンBC州首相からの天皇陛下への祝辞を述べた。2009年に天皇皇后両陛下がBC州を訪問しているが、その56年前、天皇陛下が皇太子だった頃の1953年、ビクトリアを皮切りにカナダを電車で横断された。また、陛下の魚の研究はよく知られており、学術誌に論文を発表するなど功績を残されている。BC州と日本との関係の歴史は長い。1887年に横浜とバンクーバーを結ぶ蒸気船が就航した。1889年には日本国総領事館がバンクーバーで開設された。これはカナダで設立された最初の日本政府機関であった。また、日系カナダ人は、カナダの歴史において大切な役割を果たしてきている。今後も総領事館と共にBC州と日本との関係をより強いものにしていきたいと考えている。

 次にスピーチを行ったゴードン門田氏は、1953年に当時皇太子であった天皇陛下がカナダを訪れた際の思い出を語った。バンクーバーに滞在の折には、スタンレーパークにある日系カナダ人戦没者追悼碑も訪れている。また、バンクーバーからモントリオールまでは鉄道で移動、移り変わる景色を眺めながら、カナダは広いと感想を述べられた。そして停車駅ごとに、たくさんの人が会いに来てくれたことが、非常にうれしかったと感想を話されたという。天皇陛下は戦没者追悼、被災地の慰問などで、常に日本国民と同じ目の高さで歩まれてきた。2009年に天皇皇后両陛下がBC州をご訪問された際も、言葉を交わす人と目を合わせて誠実にお話される姿に、感銘を受けたと話した。そして、天皇陛下が退位後も長く健勝であられることを祈念して、乾杯の音頭を取った。

 会場ではビュッフェスタイルの食事がふるまわれた。特に、新潟のコシヒカリを使用したすし、日本酒には人気が集まっていた。会場を埋めた出席者たちは、おいしい食事や飲み物を楽しみながら、話の花を咲かせていた。その他、BC州の各都市との姉妹都市を持つ三重県、長野県、京都府の名産品や観光案内パンフレットを並べたテーブルや、エアカナダ、日本航空、全日空もテーブルを出し、日本の魅力をアピールしていた。また、この日は羽鳥総領事の就任レセプションも兼ねており、多くの人が総領事とユジュ夫人に挨拶をするために長い列をつくっていた。

(取材 大島多紀子 / 写真提供 斉藤光一)

 

左から、ティナ・フー氏、ジェシカ・マッキロイ氏、アンジェラ・ギラード氏(3人ともノースバンクーバー市議)、デービッド・ビング氏、ラルフ・スルタン氏(BC州議員)、ブルース・ラルストン大臣、羽鳥隆総領事、ゴードン門田氏、アンドリュー・ウィルキンソン氏、ベン・スチュワート氏、マイケル・リー氏(3人ともBC州議員)

 

羽鳥隆在バンクーバー日本国総領事

 

ブルース・ラルストンBC州雇用・貿易・技術大臣

 

ゴードン門田氏

 

NAVコーラスによる国歌斉唱

 

左から、エアカナダ・セールスマネジャーの橋本マークさん、日本航空バンクーバー支店長の安部省志さん、日本航空アカウントマネジャーの小林美和さん、全日空アシスタントマネジャーのアンデン加菜さん

 

羽鳥ユジュ夫人(後列右から4番目)とJWBA(日系女性企業家協会)のメンバー

 

天皇皇后両陛下のご活動を紹介するパネルも注目を集めていた

 

会場とは別コーナーを設けて、日本に関する雑誌、パンフレットなどを展示し、自由に持ち帰れるようになっていた

 

三重県、長野県、京都府の観光や名産品案内のパンフレット等を眺める人々

 

読者の皆様へ

これまでバンクーバー新報をご愛読いただき、誠にありがとうございました。新聞発行は2020年4月をもちまして終了致しました。