2017年9月14日 第37号

MUJIメトロバンクーバー1号店が、ブリティッシュ・コロンビア州バーナビー市メトロタウン・メトロポリスに8月26日オープンした。この日の開店前には1500人以上が長蛇の列を作り、周囲を驚かせた。オープン後も連日多くの人が来店し、話題になっている。

8月25日には関係者を招待したオープニングセレモニーが行われた。出席した株式会社良品計画代表取締役社長松﨑曉氏に話を聞いた。

 

 

「みなさんの期待が高いのでしっかりやりたい」と松﨑社長。8月25日バーナビー市メトロタウンMUJI店内で

 

国内最大規模で満を持して

 2014年にカナダ1号店がトロントにオープンして約3年。「ようやく」バンクーバーに1号店がオープンした。

 「もうちょっと早くバンクーバーには出したいと思ったんですけども」と松﨑社長。「でも、トロントにカナダ1号店を出しまして、そこである程度の事業規模になってから、そういう意味では満を持してバンクーバーに出たという感じですね」と笑った。

 バンクーバーでは、今年1月にポップアップストア(期間限定店)を約1カ月間オープン。日本を紹介するイベント“Japan Unlayered”の一環で、ダウンタウンのパシフィック・リム・ホテルのロビーの一角に出店した。2月には良品計画代表取締役会長金井政明氏が同ホテルで講演。「今年の秋までにはバンクーバー1号店をオープンします」と告知し、「お待たせしました」と笑ってあいさつした。

 それほどバンクーバーでは期待されたオープンだった。ポップアップストアでは、150平方フィートの狭い店内を考慮して予約制での販売。それでも品切れ続出で、今回のオープンはバンクーバーのMUJIファンにとっては待ちに待ったという感がある。

 「私はこのマーケットは、トロント1号店以上に爆発するんじゃないかなって思っていまして」。まさにその通りになった。「トロントに出した時も、バンクーバーのお客さまのメールがすごかったんですよね。『いつ来ますか?』っていう問い合わせが相当ありました」。

 その期待に応えるため、メトロタウン店は国内最大規模となっている。店舗面積は7770平方フィートと、トロントにオープンしている4店舗のどこよりも広い。品揃えも約4千アイテムで、国内ではここにしか置いていないアイテムもある。海外店の中でもアイテム数は多い方だという。

 社長に就任する前は海外事業部で世界中を飛び回っていたという松﨑社長。アメリカへの進出が2007年、カナダは2014年。「そういう意味では、ようやくここに来たかなっていう感じですよね」と笑った。

 

MUJIの熱烈なファンに感謝

 国内最大のメトロタウン店は、アメリカを含めた北米店の中でも大きい方だという。「そういう意味ではバンクーバーの位置づけというのは、MUJIの世界観を出しているお店っていう風に考えていますね」。

 今年、無印良品は海外店舗数が国内店舗数を超えた。日本国内は年間15から20店舗を新規出店しているが、海外は60店舗のペースで展開しているという。つまり今後は、その数はますます開いていくわけだが、それでもカナダは特別だという。

 「海外ではスタート段階では年間1店舗ずつしかしないんですけども、ここはドライブをかけてまして」と松﨑社長。2014年11月29日のトロント1号店開店からまだ3年経っていない。今年は7月22日にトロント4号店をマークビルにオープン。8月26日にはバンクーバー1号店をメトロタウンに、そして年内にはバンクーバー2号店をダウンタウンにオープン予定だ。

 国内で年間3店舗というハイペースの理由に「カナダは極めて好調」ということがある。7月にMUJIカナダ社長秋田徹氏に話を聞いた時にも「トロント3店舗の売り上げは非常に好調(4号店オープン前)」ということだった。それにバンクーバーでのポップアップストアでの人気ぶりを考えれば力が入るのも当然だ。

 カナダで好調の理由について、「アジアの方がMUJIの大変なファンでして、どこに行っても相当の数のアジアの方がMUJIの固定客になってくれているんですね。それは非常にうれしいですね。カナダ在住の方にもMUJIに対する熱烈な支援というのがあります」。

 アジアからの移民が多いバンクーバーでは、その傾向が特に強い。8月26日の開店前に長蛇の列ができたのもうなずける。さらに国内最大店にもかかわらず、品切れが続出しているという。それだけ待っていた人が多かったということだろう。

 

「MUJIの世界観を日本と同じ環境で最新のMUJIをバンクーバーのファンに」

 バンクーバーでMUJIを期待する声として、松﨑社長が入国審査の時に、MUJIのオープンに駆け付けたと言うと「Great(グレイト)」と言われたり、スタッフがオープンのためにバンクーバー入りしてホテルにチェックインする時にMUJIのスタッフだと分かると「待ってました」と言われたりといったエピソードを紹介した。期待の大きさはバンクーバー入りして肌で感じている。

 期待に応えるために完成したメトロタウン店にも満足している。天井が高い店舗はMUJIの商品をより引き立てる。商品は、環境と情報と三位一体で提供している。売り場のプレゼンテーションにも配慮する。「そういう意味では、自分の会社のことを言ってなんなんですけど、うまくまとまっているな…と」と笑った。

 MUJIがカナダで受け入れられている理由を「シンプルで、機能が優れている、要は必要な機能を提供するというモノづくりがやっぱり支持されていると思うんですね」と松﨑社長。「長くお待たせいたしましたので、しっかりとしたMUJIの世界観を、日本と同じ環境で最新のMUJIをバンクーバーのファンに提供しますので、期待をしていただきたいと思います」とファンに向けメッセージを送った。

 

ダウンタウン店は北米・欧州最大規模に

 さて、ますます期待のMUJIバンクーバー2号店はダウンタウンのロブソン通り(1125 Robson Street)に今冬オープン予定。予定店舗には、すでに無印良品のロゴが貼られている。

 売り場面積は、バンクーバーでの反響を考慮し当初の計画よりも大幅に拡大して、約1万5千平方フィートと北米・欧州で最大規模。北米の旗艦店と位置づけられている。

(取材 三島直美 / 写真 野元千恵)

 

 

7770平方フィートの国内最大バーナビー市メトロタウン店の店内

 

 

約4千アイテムと品揃えも国内最大。バーナビー市メトロタウン店

 

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