3月30日に羽田からバンクーバー空港に到着した全日空の飛行機

 


世界最高品質のサービスを提供

全日空がカナダ線を就航することで、最も快適さを実感できるのは、やはりサービスの質の高さだ。

全日空グループは、イギリスの航空業界の格付け会社スカイトラック社が発表する「エアライン・スター・ランキング」で、2年連続となる「5スター」を獲得。今年は3月17日時点で5スター認定は全日空を含む4社のみ。空港から客室、機内サービスと、一貫したサービス品質の高さが世界的に認められている。これは、バンクーバー線だけでなく、国内外全路線を通した評価であり、これまで全日空を利用したことのある人はうなずける事実だろう。

世界が認めた最高品質のサービスをバンクーバーからの国際線でも利用できるということに、快適な空の旅への期待は大きい。

今回実際に利用してみて、バンクーバーから羽田、羽田から国内線の利用、国内線から羽田での国際線への乗り継ぎを通して、「快適」という言葉がぴったりとあてはまる気持ちの良いサービスが印象的で、期待を裏切らない心地よさがあった。

 

バンクーバー空港に到着した第一便は、放水シャワーで迎えられた

 

拡張されたANA LOUNGE。ゆったりとした空間で、国際線出発までくつろげる



利便性が高い羽田空港への昼間時間帯枠での乗り入れ

実際バンクーバーから羽田空港に降り立つと、すでに東京という実感はかなり大きい。成田空港からも東京都心への交通網は整備されているし、使い慣れていればそれほどの不便は感じないと思うが、国際線から羽田に到着する利便性は、利用してみると体感できる。

しかも、昼間時間帯枠の就航のため、到着時間が午後7時で、都心へのアクセスがいい時間帯というのも便利だ。羽田空港は、都心への交通網が充実していて選択肢も多い。首都圏が目的地ならば、このアクセスの良さは思っている以上に便利なことが体感できる。

羽田空港の利便性の高さが際立つもう一点は、国内線との乗り継ぎ。国内線専用空港として長く利用されていたため、羽田発着の国内路線は充実している。その中で、最大の国内線ネットワークを有しているのが全日空。今回のバンクーバー羽田線就航で、バンクーバーと国内41路線(コードシェア運航を含む)が羽田でつながったことになる。

さらに、羽田空港内の国内線ターミナルと国際線ターミナルの移動をスムーズに行うサービスも、3月30日の増便に合わせて開始した。

羽田空港は国内線専用空港というこれまでの特徴から、国内線のターミナルが航空会社別に2つに分かれている。そこに国際線専用ターミナルが設置された。そのため、国際線利用の場合、空港内での国際線・国内線ターミナル間移動が必須となる。

そこで、新サービスとして「ANA国際線乗り継ぎバス」の運行を開始。これまでは、一度ターミナルの外に出て、空港ビル会社が運行するターミナル間無料連絡バスか、モノレールなどの公共交通機関を使って移動する必要があったが、この専用バスを使うと、ターミナルを出ることなく移動できる。

 

羽田空港ANA国際線乗り継ぎバス。15分〜20分間隔でターミナル間を移動。
バス乗り場までは、係員が案内してくれる

 

羽田空港ANA国際線乗り継ぎバス乗車票

 

今回、実際に利用してみたが、これは結構面白い。便利なのはもちろんなのだが、空港敷地内をバスで移動するため、駐機している飛行機の近くを通ることが多い。そのため、飛行機を間近で、しかも下からのアングルで見られるのだ。飛行機は普段ターミナルや展望デッキなど上から見ることがほとんど。しかし、このサービスを利用すると、スムーズに移動できるだけでなく、飛行機を間近で見られるという楽しみまで付いてくる。全日空羽田線を利用する楽しみがひとつ増えて得をした感じだった。

 

 


:バンクーバー・羽田線NH116便ビジネスクラス機内食。
和食は銀座の懐石料理店「馳走啐啄(ちそうそったく)」とのコラボメニュー


左下:バンクーバー・羽田線NH115便ビジネスクラス機内食、
洋食コースのアペタイザー。ビジネス、エコノミークラスともに、
「ザ・コノシュアーズ」がプロデュースする充実の内容


右下:ANAオリジナルデザート

 

 

選択肢の広がりが魅力

こうして全日空を利用する利点をあげてきたが課題もある。その一つが、バンクーバーからの羽田到着が午後7時のため、国内線同日乗り換えができる便が非常に少ないこと。この点については、初就航の式典で地元メディアからも質問が出ていたので、やはり気になるところだろう。

全日空バンクーバー支店長松橋慶典氏は「現在の運航ダイヤでは、バンクーバー発115便の羽田到着が19時ですので、同日接続でご利用頂ける都市が、千歳、秋田、関西空港、神戸等に限られてしまいます」と認識していて、今後の改善点として努力していきたいと語った。

復路は「21時55分発の116便に、全国各地からの乗り継ぎが可能です」との松橋支店長の言葉通り、時間に余裕があるため羽田の利便性を最も実感できるところ。複数便ある国内路線を利用する場合、早めに到着して充実した羽田空港国際線ターミナルを堪能したり、地方でゆっくりと過ごして国際線出発に合わせたりと選択肢が広がる。

選択肢が多いということは、利用者にとって最も魅力的だ。日本の高いサービスを誇る、全日空の羽田線就航ということで、その魅力はさらに増す。これからバンクーバー・東京間の空の旅がますます楽しみになる。

(取材:三島直美)

 

全日空の787便。日本で最初に全日空が導入した同機は、国内外線で活躍している。
バンクーバーにお目見えする日も近い?!

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