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多彩な内容で楽しませるコンサート
会場のPlayhouse Theatreには、主賓として招かれた在バンクーバー日本国総領事館の内田晃首席領事を始め、約500人もの観客が訪れた。
ちび太鼓の創設者である本間しのぶさんがステージに現われ、和太鼓の前で呼吸を整える。張りつめた空気が「どーん」と太鼓を一打する音で破れ、迫力のある太鼓の音が会場を包み観客も皆、ひきこまれていくのがわかる。
今年20周年を迎えたちび太鼓には現在9歳から25歳まで20人以上のメンバーがいる。パウエル祭、桜祭り、カナダデーなどのイベントや、日系センターでの各種行事など一年を通して様々なイベント会場で演奏し、好評を得ている。本間さんは「太鼓を打つテクニック的な部分だけでなく、協調性やリーダーシップ、責任感や精神力の強さなど『ソフトスキル』を磨くことも重要だと考え、日々稽古に励んでいる」とグループの指導指針を説明する。
赤と青のはっぴ姿にねじり鉢巻きのちび太鼓のメンバーによる太鼓演奏で幕を開けたステージ。「Matsuri」という曲ではメンバー全員が太鼓や鐘などの楽器を使って跳ねるようなお祭りの雰囲気を表現していた。年少のメンバーが緊張気味に演奏している様子も、ステージには慣れていて貫録を感じさせ始めていてる年長のメンバーからも、太鼓の演奏を楽しんでいる様子が伝わってくる。
続いて、シアトルで活躍する和太鼓演奏グループ、「Inochi Taiko」から4人のメンバーが前半のゲストとして登場した。バチを空中に投げて回転させたり、腕の振り方などの動きもダイナミックで、見ているほうも太鼓の音に合わせて踊りだしてしまいそうな躍動感あふれる演奏を披露した。特に、3人の打ち手が太鼓の周りを移動しながら動作を合わせて太鼓を打っている姿など、華麗なパフォーマンスを存分に発揮して観客を魅了した。コンサート後、「Inochi Taiko」のTyrone Nakawataseさんは「ちび太鼓のメンバーとは17年以上もの付き合いとなります。20周年記念コンサートにゲスト出演できたことをとても光栄に思っています」とコメントを寄せてくれた。
凛々しいポーズも決まってカッコいい!
迫力のある太鼓演奏に観客も息をのむ
20周年を華々しく飾るパフォーマンスの数々
15分間の休憩をはさんで後半は、ちび太鼓による演奏に続き、「鼓童」のメンバー、藤本吉利(よしかず)、容子夫妻が登場。長年、ちび太鼓のメンバーに太鼓演奏だけでなく、踊りや歌などのワークショップの機会を提供してきたお2人が、今回のコンサートのために日本から訪れたという。「帆柱起し音頭(ほばしらおこしおんど)」という曲では、吉利さんの歌に合わせて観客も手拍子をし「ヨイサ!」と掛け声をかけ、会場が一体となって盛り上がった。また、容子さんがアカペラで美しい歌声を響かせてじっくり聞かせた「江差追分(えさしおいわけ)」も印象的だった。さらに、吉利さんによる和太鼓のソロは、一打一打に魂が込められているような力強い演奏で圧倒的なパフォーマンスを見せた。
最後はちび太鼓による4曲が披露された。中でも、肩から下げる桶胴太鼓はリズミカルで弾むような曲調にマッチして会場も楽しい雰囲気に。ちび太鼓のアーティスティックダイレクターを務める本間さんが作曲した「Freedom Taiko Dance」では、ちび太鼓のメンバー全員が踊るようにして太鼓の間を縫い、太鼓を打ち鳴らすというフィナーレにふさわしい曲で締めくくった。コンサートの間中、観客からは大きな拍手と喝采が送られ、最後はスタンディングオベーションで迎えられたちび太鼓のメンバーの、やり遂げたという満足げな表情が素敵なコンサートだった。
本間さんは今回のコンサートについて「開催までの準備はとても大変でしたが、メンバーの家族や友人だけでなく、初めて太鼓演奏を見たという一般の方々からもお褒めの言葉や激励を頂いたことを嬉しく思います。(「鼓童」の)藤本さんからもプログラムの内容がバラエティに富み、曲の構成も良く、とても感銘を受けましたという感想を頂きました」と語ってくれた。
スピード感あふれるステージを披露した Inochi Taiko
「鼓童」の藤本吉利さんと容子さん
Inochi Taikoとちび太鼓のアンサンブルも
(取材;大島多紀子 写真:松永眞奈美)