鮭の生態
このアダムズ川で孵化して育った鮭は、アダムズ川からフレーザー川に、そして太平洋まで出ていく。なんと往復4,000㎞以上に及ぶ道のりを遡上するのだ。到底たやすい道のりではない。そのため、生まれたアダムズ川に成魚になって産卵に戻ってこられるのは、ほんのわずかな数の鮭に限られる。このたぐい稀なる鮭の遡上、そして、産卵の模様は、BC 州の内陸部にあるアダムズ川付近で見ることができる。遡上する鮭の種類は、サッカイ、チノック、コーホーがメインだが、後期にはピンク・サーモンもやって来る。
鮭の一生
遡上した鮭の産卵はアダムズ川の浅瀬で行われる。一対の成魚が約4000個の産卵をするのだが、アヒルやその他の野鳥の餌となる確率が高い。正常に孵化するのは約800匹に過ぎない。わずか20%の確率である。60日くらいで孵化し、その後、50日ほどで腹部の卵嚢の栄養分を吸収し終わると浮上し、プランクトンなどを主とした捕食を開始する。この稚魚の段階で多くの鮭が命を失い、難を逃れて太平洋へ移動した鮭は1~3年ほどの海洋生活で成魚となり母川へ向けて回帰する。その間に大型魚や鳥類などの天敵からの攻撃を受けて死に絶える鮭が少なくない。そのような環境の中で孵化した鮭の10匹ほどが成魚として母川への遡上に向かえる。これだけではない、遡上の途中で捕獲される鮭もいるので、母川に産卵をしに遡上できる鮭は産卵された4000個の魚卵から、たったの2匹にしかならない。アダムズ川で目にすることのできる鮭は、そんな稀少な鮭なのである。
産卵の様子
鮭の産卵は激しい流れを避けた暖流で行われる。まず雄が産卵場所に向かい、雌がその後を追って浅瀬を掘り返す。そして、そこに尾をばたつかせて卵を産み落とすのである。虎視眈々と狙う雄たちの中の勝者が、そこに魚精をかけて受精させることができるのである。この模様を見届けるには、つがいの鮭を見つけ、浅瀬でじっと観察しながら待つことになる。川岸にはその光景をとらえようとカメラを構えた人々が待ち受けている。
鮭を狙う動物たち
アダムズ川周辺には、白尾ジカ、大ジカやアメリカ黒クマ、灰色グマなどが生息している。これらが産卵期の鮭を常食としているので、隣接する地域からもアダムズ川にたくさんの熊が集まってくるのだ。多くの動物は観光客が去った夜半に行動している。
鮭を見学するには
アダムズ川沿岸に位置するロデリック・ヘイグ・ブラウン州立公園。ここには鮭の一生のプロセスの写真を展示する案内板や、鮭をかたどったさまざまなクラフト品が並ぶ売店があり、お土産を買うには最適だ。設置された展望台から川をのぞき込んでみよう。運が良ければ浅瀬につがいの鮭がいるのが見える。この州立公園内にはシュスワップ湖からアダムズ川を通ってアダムズ湖まで続いている6つのトレイルがあり、すべて歩いたら丸1日はかかりそうだ。
遡上に先駆けたイベント
毎年9月の最終日曜日はBCリバー・デイに制定されている。この日はBC州の河川や水路の重要性の認識を深めるために作られ、レクリエーションのクラブ、環境保護組織、地域団体、学校および地方自治体が州内でさまざまなイベントを開催する。今年のリバー・デイは9月30日(日)で、アダムズ川の鮭の遡上に関連するイベントも予定されている。
アダムズ川パドル
カヌーやカヤック、パドルボートを持ち寄って川遊びをした後、アダムズ河口でランチを楽しむイベント。
2012年9月30日(日)10:00-12:30
開催地:アダムズ川河口、ロデリック・ヘイグ・ブラウン州立公園、リー・クリーク、シュスワップ湖など
問い合わせ:Blair Acton (This email address is being protected from spambots. You need JavaScript enabled to view it. または250 - 675-2977)
アダムズ・リバーへの行き方
太平洋から400 kmほど北東に流れるアダムズ川からアダムズ湖までの間で鮭の産卵が行われる。バンクーバーからはHWY #1でHope、HWY#5でCoquihara経由でKamloops へ。そのままHYW#1を北上し、Chaseを通り越し、Squilax方面へ右折。Squilax Bridgeを渡ってロデリック・ヘイグ・ブラウン州立公園へ。ChaseあたりからHWY際に鮭の絵の看板が点在しているので、これらを目印にすると運転しやすいだろう。
州立公園内でのサーモン・ツアー
10月中は地元のエコ・ツーリズム・ガイドのクリスティーナ・レプソさんによる 1時間の鮭の遡上鑑賞ツアーが催行されている。
要予約:This email address is being protected from spambots. You need JavaScript enabled to view it.
また、一般ビジターは、先着順により10月の水曜日と日曜日の10 am、12:30 pm、および3pmにプログラム・コーディネーターであり、考古学者でもあるシーリア・ノールさんによるツアーに参加できる(参加費はドネーション)。すべてのツアーはロデリック・ヘイグ・ブラウン州立公園内駐車場にあるログ・キャビンのアダムズ川サーモン協会に集合。
協会HP:www.salmonsociety.com
その他の鮭の遡上鑑賞地
①.バンクーバー島のゴールドストリームにある州立公園では10月後半から12月までチャム、コーホー、チノック鮭の遡上が鑑賞できる。鮭の遡上鑑賞時には同島に生息するカモメや白頭ワシの姿も見られることだろう。
バンクーバーからはトワッセンよりフェリーにてビクトリアへ。ゴールドストリームは、Hwy#1の16km北西に位置している。デイ・ユースの入り口は、Hwy 1とフィンレイスン・アーム・ロードの交差点にあり。
問い合わせ: 250-391-2300
②.ベールモントのジョージ・ヒックス・パークでは毎年8月中旬から9月中旬まで太平洋までのおよそ1300㎞を泳ぎ切ってきたチノック鮭の遡上が鑑賞できる。
ベールモントはYellow Head HWYの#5と#16のジャンクション近く。バンクーバーからはHWY #1でHope、HWY #5Coquihara経由でKamloopsへ向かい、Yellow Head HWYの#5を北上。