2019年4月18日 第16号

4月13、14日、バンクーバー市のバンデューセン植物園で、サクラデイズ・ジャパンフェア(SDJF)が催された。バンクーバー・チェリーブロッサム・フェスティバル(VCBF)の一環でもあるこのイベントは、今年で10回目の開催となる。雨模様となった初日だが2日目は天気もやや回復、2日合わせて約8千人が来場して春の祭りを楽しんだ。(メディアスポンサー:バンクーバー新報)

 

鏡割り。左から羽鳥隆在バンクーバー日本国総領事、羽鳥ユジュ夫人、スチュアート・マッキノンさん、ポール・シェレンバーグさん、舘澤利典さん、塚本隆志さん

 

 13日に行われたオープニングセレモニーでは来賓として招かれた、羽鳥隆在バンクーバー日本国総領事、VCBF暫定エグゼクティブディレクターのポール・シェレンバーグさん、バンクーバー・パーク・ボード理事長のスチュアート・マッキノンさん、JTBインターナショナル(カナダ)取締役社長の舘澤利典さんがそれぞれ挨拶した。そして、塚本隆志SDJF実行委員長による挨拶の後、鏡割りが行われた。

 会場の中心に設置されたチェリーステージではさまざまなパフォーマンスが披露された。合唱、武道デモンストレーション、日本舞踊、和太鼓、書道パフォーマンスなど、多彩な内容が楽しめるのも、このイベントの醍醐味の一つだ。

 今年、日本から参加したパフォーマーは3組。目玉となったのは、津軽三味線デュオの輝&輝(Kiki)と、和太鼓奏者の金刺敬大さん。初日の一番初めのステージを飾ったDahazaとBushidoによる和楽器演奏にも飛び入り参加して会場を盛り上げた。輝&輝の武田佳泉さん、白藤ひかりさんはバンクーバーに来るのは初めてとのこと。SDJF前々日におこなった隣組でのコンサートについて、「日本の民謡を知っている方も多くて一緒に歌って盛り上げてくださったのでうれしかったです」という。また前日に開催したUBCでのワークショップについては、「初めて三味線を持った人もいましたが、結構弾けてましたね。とても興味を持っていて積極的に取り組んでくれたので、私たちも一緒に楽しくできました」と話す。バンクーバーに来るのは3回目となる金刺さんは、「懐かしさと同時に新たな発見もあって楽しいですね」という。やはり前日に開催されたスティーブストン仏教会でのコンサートでは、ギタリストの中島有二郎さんとも共演。金刺さんは昨年に続いての再共演を楽しんだとのことだ。

 日本の総合演芸である太神楽(だいかぐら)を披露したのは、鏡味味千代(かがみみちよ)さん。傘に毬や升などを乗せてくるくると回したり、顎に乗せた台座の上に板や茶碗などを積み重ねていったりする曲芸に、観客からは驚きと感嘆の声があがっていた。太神楽という芸について、「見ている方々の笑顔を見るとすごくうれしく思います。海外でも、もしも言葉があまり通じなくても、見て楽しんでいただける芸であるところも魅力だと思います。また、太神楽はおめでたい芸ですので、日本の『おめでたい』という雰囲気を海外に伝えるようなこともしたいです。日本文化を広められるツールであるとも思いますね」と語った。

 「バンクーバー音頭」を作曲し、2015年に来加してカナダデーパレードにも参加した園田容子さんは、長年の友人である平野弥生さんと、フルート奏者の小西千恵子さんと共にステージに登場した。懐かしい気持ちを呼び起こすアコーディオンの音色に、澄んだフルートの音が重なり、平野さんのパントマイムが華を添えて、温かい雰囲気のパフォーマンスを披露した。終了後、園田さんは「直前までドキドキしていたんですが、みなさんがとても温かくてうれしかったです」と感想を語った。また園田さんは、SDJFのために「サクラデイズ・ジャパンフェア音頭」を作曲、峰岸了子さんが作詞、平野さんが振り付けを担当して、13日にはこの曲に合わせてパレードが行われた。園田さんはこの曲について、「うれしく楽しくなるような曲を意識して作りました」と話す。作詞をした峰岸さんは、残念ながら今回の初披露を待たずに逝去されたという。桜が満開の頃の晴れやかな気分が続きますようにという思いがこもった歌だと説明した。この日は、朝から雨が降ったり止んだりしていたが、園田さんたちがステージに立った頃から晴れ間が出始め、青空のもとでのパレードでにぎやかに締めくくった。

 日本の食べ物や和雑貨など、たくさんのベンダーが出店した他、日系の各種団体がテーブルを出して活動内容の紹介などをしていた。今年も見どころ満載の催しとなった。 

 SDJF10周年を記念して、今年はスタンプラリーを開催。園内の10カ所にあるステーションを巡り、簡単なクイズに答えた後スタンプをゲット。10個集めた人のうち各日先着500人に景品が贈られるというものだった。初日は冷たい雨が降る中、ボランティアスタッフがスタンプラリーステーションで待機している姿も見られた。各所に設けられたゴミ箱にもボランティアがついてゴミの選別を手伝ったり、子供テントやエクスペリエンスジャパンのテントを手伝う人など、全部で200人以上のボランティアがイベントを支えていた。 ※写真は全て4月13日撮影

(取材 大島多紀子)

 

 

挨拶をする羽鳥隆在バンクーバー日本国総領事

 

輝&輝と金刺敬大さんによるパフォーマンス。観客にも「うどん、天丼、カレーうどん」など日本の食べ物の掛け声で参加してもらう一幕も。ユニークなだけでなくダイナミックな演奏で盛り上げた

 

鏡味味千代さんの太神楽。英語と日本語両方での流暢なトークをしながらの演技に感嘆

 

左から、小西千恵子さん、園田容子さん、平野弥生さん。雨空を一気に晴らした女性3人組のステージも温かく観客に迎えられていた

 

イベント初日最後のSDJF音頭が青空を運んできた

 

建友会のテントでは角材の早切りコンテストも開催

 

雨の中でもフードベンダーは元気に営業!

 

子供テントではSDJFうちわの裏側に自分でデザインして楽しむコーナーも

 

酒テイスティングコーナーも毎年人気

 

裏千家淡交会バンクーバー協会による茶道デモンストレーション。参加者もお菓子と薄茶をいただけるのも魅力的

 

Ms. Fumiko Horanが主催するゆかた着付け体験。着つけてもらった人たちは写真を撮るなどして楽しんでいた

 

NAVコーラスのステージは、以前カナダ国歌だった「Maple Leaf Forever」なども取り混ぜたラインナップ(写真提供:NAVコーラス)

 

さくらシンガーズによる美しい合唱

 

在バンクーバー日本国総領事館のテーブルで紹介されていたロボットの赤ちゃんアザラシのパロ。日本の産総研(AIST)によって、高齢者施設などでのセラピーロボットとして研究開発された。癒し効果抜群のかわいらしさ

 

アトリウム・ディスカバリー・ルームで行われていた生け花の展示

 

読者の皆様へ

これまでバンクーバー新報をご愛読いただき、誠にありがとうございました。新聞発行は2020年4月をもちまして終了致しました。