2019年4月25日 第17号

寒い冬が終わって、暖かい春の日差しが心地良い日には、外に出て散歩してみたいもの。しかし、ただ散歩するよりも、何か目的を持った方が楽しいかも!

そこでオススメしたいのが、この季節に楽しめる山菜採りだ。

特に狙いたいのは、口に含むと一気に春の香りが広がっていくタラの芽。日本では数多くの山菜の中でも王様といわれる食材だ。日本のものとはちょっと見た目が違って、もっとトゲトゲがある。正式にはカナダではデビルズ・クラブ(Devil's Club)と呼ばれている。そういった意味では、タラの芽もどきと呼んだ方がいいかもしれないが。

しかし、その味は素晴らしく、天ぷらにすると最高の食感だ。

タラの芽の他にも、コゴミやワラビについても紹介するので、写真を参考にぜひ山菜採りに出かけてみよう!

 

春は山菜採りが楽しい季節!今まさにチャンスの時期だ

 

タラの芽 採れる場所・摘み方

 タラの芽(デビルズ・クラブ)は、4月末から5月に特に湖や小川などきれいな水辺の近く、比較的に日陰なようなスポットで採れやすい。

 成長が早く、先日まで小さな蕾だと思っていたら、一気に葉が開いたりするので、時期になったら頻繁にチェックしていきたい。カナダ人は、山菜を採る習慣がないので、タラの芽スポットを見つけたら、食べ頃を見定めてピックアップできるだろう。

 タラの芽はトゲがあり素手で採るのはむずかしいので、作業用の手袋などで採ることをオススメしたい。軍手でも採れないこともないだろうけど、痛いトゲが軍手を通して刺さることもあるので、できれば皮手袋を使いたい。摘む時は、おいしそうな芽の部分から、手でポキッと折ってみよう。来年も採れるように、枝を折らないように気を付けて。

タラの芽の食べ方・下処理

 下の部分のハカマを取り、水洗い。水分を取ったら、ぜひ天ぷらでいただくことをオススメしたい。いろいろな食べ方を試してみたけど、天ぷらが一番おいしかった。特に塩をかけていただくのが最高!

 

コゴミ 採れる場所・摘み方

 シダ植物のクサソテツ、その若芽の部分をコゴミと呼ぶ。カナダでは、観葉植物としても人気があるので、写真を見れば「ああ、あれか!」と思う人も多いだろう。もちろん住宅地などに植えてあるものを採るのはご法度。ハイキングしながら山菜採りで見つけたものをいただこう。

 コゴミの先のクルクルしたところは、まるでバイオリンの頭の形のようで、地元ではフィドルヘッドと呼ばれている。ローカルのスーパーでも売られているところを見たことがあるが、基本的にカナダ人にとって好んで食べられる食材ではない。ちょっと森の中に入ったら、どこでも採れるような印象があるが、比較的に水辺でよく見かける。ついでと言ってはコゴミに失礼かもしれないが、タラの芽を探している間に見つけることがある。

コゴミの食べ方・下処理

 下ごしらえは水洗いでオーケー。採りたてのコゴミは、そのままいただくという方もいるほどだから感覚的には生野菜に近い。だけど、さすがに自然で採れたものを、そのまま生でいただくのは抵抗感があるので、火を通すのがオススメ。タラの芽のように強烈な香りを漂わせることはなく、とても食べやすい食材だ。和え物や炒め物を含め、どんな料理にも合う。この季節、食卓の春の演出として、ちょっと料理に添えるといいだろう。

 

ワラビ  採れる場所・摘み方

 ワラビがよく採れるのは、すでにタラの芽が採りにくくなった5月から6月の時期。日当たりの良いところで見つけることができるので、わざわざ森の中に入らなくても、自然豊かな道端のようなところで見つけることができる。

 見つけたら、根本からポキっと折れるようなところから上を採取しよう。葉が開き始めると硬くておいしくないので、先っぽがクルクルした若芽のものを採るといい。カナダのワラビは元気が良くて、かなり大きいサイズのものもあるけど、根本から上の部分をゆすって、いかにも食べ頃という感じのものを選ぼう。

 一度、ワラビを見つけると、あたりは一面ワラビだらけになっているところがよくある。それこそキリがないほど採取が可能だ。ある程度の期間、保存することもできるけど、また気軽に来れる場所ならその日いただく分に、ちょっと明日のプラス分だけ採るといいかも。自然の恵みに感謝しながらいただこう。

ワラビの食べ方・下処理

 ワラビはあくが強く、あく抜きが必要。採って来たワラビは、まず水洗い。そして重曹(ベーキングソーダ)を振りかけ、その上から熱いお湯をかける。それから、待つこと8時間程度で、あくが抜けるのでそしたら再び水洗いをする。

 気を付けなくてはいけないのは、ワラビには毒性があることだ。食べ過ぎはおなかを壊すことにもなるし、しっかりとあく抜きしたものをいただこう。食べ方は、ワラビの風味が楽しめるお浸しがオススメ。天ぷらや油いためにも最適だ。

 

熊に気を付けよう!

 春になると、冬眠から覚めた熊が現れる。特に山菜採りが楽しめる自然のスポットは、ちょうど熊が出て来そうな人里であることが多い。熊に出くわさないように、鈴などを付けて、「人がここにいますよ。近づかないで!」というサインを送るようにしよう。万が一、目の前に熊が現れた時には、その方向には決して近寄らないこと。予定していたルートを変更しても、熊を避けるようにしよう。

 山菜採りをしていると、熊以外にもウサギなど様々な動物に出くわすことがあるが、そんなアクシデントも山菜採りの楽しみかな。自然の恵みに感謝しながら、春の味を満喫しよう!

 

※私有地での植物の採取は禁止されている場合があるので、ご注意ください。

(取材 飯田房貴)

 

 

痛いトゲトゲがあるので、採る時には怪我しないように気を付けよう

 

頭の先が特徴的なコゴミ。春の散歩中に見つけることも

 

タラの芽を採っている時に、ついでに(?)発見できるコゴミ

 

その特徴的な形さえ押さえておけば比較的に見つけやすいワラビ

 

春ならではの味わい。ワラビのお浸しで夕食の彩も華やかに!

 

山菜が出る頃は森のクマさんも活動的になるので、くれぐれも気を付けましょう!

 

読者の皆様へ

これまでバンクーバー新報をご愛読いただき、誠にありがとうございました。新聞発行は2020年4月をもちまして終了致しました。