地球の躍動を感じる イエローストーン国立公園(ワイオミング州)

世界遺産イエローストーン国立公園。関東平野の約半分という敷地の大部分はワイオミング州の北西部にあるが、一部はモンタナ州とアイダホ州にもまたがっている。
グランドティトン国立公園内のジャクソンホール空港からレンタカーという行き方もあるが、時間に余裕があればぜひバンクーバーからのドライブをお勧めしたい。ワシントン州、アイダホ州、モンタナ州、ワイオミング州と移り変わる風景や、フレキシブルな日程変更もドライブ旅行の魅力のひとつ。

地面から噴出す水蒸気と熱水

イエローストーンの名所はなんといっても奇妙な地熱現象だろう。サファイアやエメラルドの熱水の池も美しいが、地面から噴出す水蒸気と熱湯、間欠泉(かんけつせん)は見逃せない。簡単に言えば地下深く浸透した水がマグマ近くで加熱され、沸騰を始め水蒸気の泡が岩盤の割れ目から噴出するというもの。
1870年の発見から現在まで忠実に(Faithful)に準一定の間隔で水蒸気が噴出すことから名づけられたイエローストーンの中で一番有名な間欠泉がオールド・フェイスフルだ。地面からはボコボコと熱水が湧き出し、シューシューと音を立てて水しぶきが。徐々に水蒸気が噴き出し、時間が来ると勢いを増して強くなり、みるみるうちに50-60メートルの高さまで吹き上がる。まさに自然が創り出す驚異のアトラクション! 約4万リットルの熱水が上昇したあとはまたしぶきが小さくなり、地面付近でのボコボコ状態に戻る。

 

4人の大統領  ラシュモア山国立記念公園(サウス・ダコタ州)

14年かけて彫った巨大な胸像

マウント・ラシュモアと聞いてぴんとこない人でも、岩盤の歴代大統領と言えば思い出すあの岩山。標高1745メートルの山の頂上側面に彫られた4人の大統領は初代ジョージ・ワシントン、3代トーマス・ジェファーソン、26代セオドア・ルーズベルト、16代アブラハム・リンカーン。
ビジターセンターでは、作業の様子を写した映像が見られる。政府から委託された彫刻家ガットスン・ボーグラムが作業員400人を動員し、硬質の岩盤をダイナマイトで砕きながら、額から顎まで18メートルの巨大な胸像を彫った。幸いなことに1927年から14年の歳月をかけた作業中は無事故。
遊歩道プレジデント・トレイルを歩けば近距離から見あげることも出来る。夏の夜にはライトアップされ、野外劇場でのセレモニーも見る価値あり。
近くの岩盤では、白人と戦ったラコタ・スー族の英雄クレイジー・ホースの巨大な彫刻が制作中で、こちらも見学可。

ドライブ旅行の日程

1日め
バンクーバー市内を朝8時に出発。国境を超えI-5からI-90に入りモーゼズレイク(ワシントン州)でランチ後、東へ3時間走り夕方ミゾーラ(モンタナ州)着。
2日め
I-90を東へ5時間。ランチのあと南下し、午後イエローストーン国立公園ウエスト・ゲート着。入場料(乗用車7日分)25ドル。予約しておいたキャニオン・ビレッジのキャビンに2泊(ワイオミング州)。
4日め
イエローストーン・レイクでモーターボートに乗ったあと、イースト・ゲートを出発。侵食した岩山を左右に走行。山越えの途中で工事のため通行止めに遭い、引き返し大回りして山を越えシェリダン(ワイオミング州)泊。
5日め
I-90を東へ平原や荒野を走行すること4時間。ラシュモア山のふもとの町キーストーンで2泊(サウスダコタ州)。
6日め
車で1時間、開拓時代を装った町ウォールへ。ミサイル基地跡と空軍基地を見学。
7日め
『4人の大統領』散策。入場料はなく駐車場代のみ。付近には家族向けアトラクションも。野外劇場での式典を見たあとカスターへ移動し2泊。
8日め
鉱山ツアー。
9日め
ブラック・ヒルズを抜け、ホットスプリングスのマンモス博物館へ。南へ大回りしネブラスカ州経由で西への戻りを開始。走行時間合計5時間。キャスパー泊(ワイオミング州)。
10日め
西へ5時間走行しワイオミング州の西端ジャクソン・ホールへ。町の広場でカウボーイショーを見る。
11日め
スキーリゾートを散策したあと、映画『シェーン』のロケ地グランド・ティトン国立公園を横目に北上。アイダホ・フォールズ泊。
12日め
1時間半走行しクレーターズ・オブ・ザ・ムーンへ。散策後、北上を開始。山のふもとを走り小さな町チャリス泊(アイダホ州)。モーテルとレストラン数件以外、あるのは山だけ。
13日め
山や牧場を超えモンタナ州でランチ。I-90に入りアイダホ州北部のリゾート地レイク・コーダレーン泊。湖畔のリゾートホテルではサラダバーが充実。走行時間合計6時間半。
14日め
I90を北上し、ベルヴュー泊(ワシントン州)。
15日め
買い物をして午後バンクーバー着。

読者の皆様へ

これまでバンクーバー新報をご愛読いただき、誠にありがとうございました。新聞発行は2020年4月をもちまして終了致しました。