2018年10月25日 第43号

ナイアガラからケベックシティーをつなぐ約800kmの紅葉ルート「メープル街道」。日本の旅行業界で名付けられた本街道近辺には、ナイアガラ、トロント、キングストン、オタワ、モンテベロ、モントランブラン、モントリオール、ケベックシティー など、人気観光都市がずらりと並ぶ。紅葉真っ盛りの今の時期(9月下旬〜10月中旬)、秋の東海岸は、カナダ国内や隣国アメリカ合衆国を始め、日本や韓国そして中国といったアジア圏からの観光客でいっぱいだ。本紙では、その中でも特に人気のあるケベックシティーを紹介する。

 

シャトーフロンテナック

 

◆ケベックシティー

 ケベック州の州都。人口約80万人(2016年時点のメトロポリタン圏内)、国内第7位(メトロポリタン圏内人口)。もともと先住民アルゴンキン族がこの地域を「ケベック」と呼んでおり、「川が狭まるところ」という意味がある。1608年に、フランスの探検家サムエル・ド・シャンプランがこの地域を定住植民地として開拓し、そのままケベックの名称を使用することに。

 ケベックシティーは、大きく分けて、旧市街と新市街に分かれる。見所は、旧市街(Vieux-Québec)で、1985年にユネスコの世界遺産として登録され、「旧市街の歴史地区」と呼ばれる。この旧市街は、アッパータウンとロウワータウンに区別されている。小さな街なので、半日もあれば全て歩いて回ることは可能だが、美しい街並みに歴史的建造物やお店がずらりと並ぶので、旧市街を堪能したければ少なくとも2日は欲しい。

 新市街は、城壁の外に広がる市街地。オフィスビルや住宅地、レストランなどが並ぶ。観光客で賑わう旧市街に疲れたら、新市街に足を延ばすのも良いだろう。城壁を出てすぐなので、歩いて行ける範囲だ。記者が訪れた感謝祭のロングウィークエンドは紅葉ピーク時期だったので旧市街のレストランはどこも観光客で混み合っていたが、新市街のグランド・アレ東通りやセント・ジョン通りに出れば、観光客の姿も少なく、レストランにしても待つことなく入れたことがうれしかった。

 

◆ケベックシティの象徴シャトー・フロンテナック

 開業してから今年で125年を迎えるシャトー・フロンテナックは、611の客室を持つ高級ホテル。旧市街観光スポットの中心地にあり、セントローレンス川を見下ろす高台にあるので眺めが良い。第二次世界大戦中の秘密軍事会合であるケベック会談が行われたり、ヒッチコックの映画の舞台になったり、アンジェリーナ・ジョリーやレオナルド・ディカプリオといったハリウッドスターが滞在したりなど、歴史に名を残す著名人たちがここに滞在している。ホテル内のDufferinレストランでは、セントローレンス川と対岸の紅葉を眺めながら、ケベック特有の朝食ビュフェが楽しめる。クレープ、ベーコン、チーズ、スモークサーモン、豆料理などローカル食材を使っているのがうれしい。また地下階にはケベックシティーと本ホテルにまつわる歴史展示物が並び、博物館のようである。お城のような外観、便利な立地、美しい客室、気が利くスタッフ、おいしい食事、そして引き継いできた歴史・伝統と、ケベックシティーに来たからには、やはりここに滞在してケベック旅行を満喫したい。

 

◆アッパータウンを歩く

 シャトー・フロンテナック(以下シャトーと略称)の目の前に、「総督の散歩道」と呼ばれる広い散歩道がある。シャトー内にあるスターバックス・コーヒーを片手に、美しい紅葉を見ながら、この散歩道を歩くのは贅沢なひと時である。散歩道をまっすぐ西に進んで行くと、英仏が対立した7年戦争の決め手(1759年)となった戦場公園(アブラーム平原)や、当時を詳しく解説するアブラーム平原博物館にたどり着く。地図を見ると遠く感じるが、シャトーから徒歩10分ほどの距離(注1)である。

 またアッパータウンで有名なのはノートルダム大聖堂(1647年)だろう。前述したフランス人探検家であり「ヌーベル・フランスの父」と呼ばれるシャンプランや、ヌーベル・フランス総督であったフロンテナック伯爵のお墓もある。サン・ジョン通りに出れば、カフェやレストランまた本屋や服屋など、モダンな店がずらりと並び、ショッピングに最適だろう。

(注1)戦場公園やアブラーム平原博物館は、旧市街のアッパータウンではなく、新市街になる。

 

◆ロウワータウンを歩く

 アッパータウンから「首降り階段」と呼ばれるケベックシティー最古の階段(1635年)を下りたら、目の前は北米最古のダウンタウンで知られるプチ・シャンプラン地区に続く。狭い石畳の通りには、17世紀のフランス建築スタイルを色濃く残した石造りの建物がずらりと並び、レストランやカフェ、またお土産などを売っている店が目立つ。 フランス人探検家シャンプランが、北米で初のフランス人居住地を築いたというロワイヤル広場(1608年)や、北米で最古の石造りの教会である勝利のノートルダム教会(1688年)も見ておきたい。

 またロウワータウンに隣接する旧港であるオールド・ポート(Vieux Port)には、ローカルたちで賑わうファーマーズマーケットがある。ロウワータウンから徒歩5分ほどで行ける範囲だ。メープルシロップやデザート、ローカル野菜にフルーツなどが販売されている。小さなフードコートもあるので、ローカルになった気分でここに寄ってみたい。

 

◆食事

 旅行に行く楽しみの一つに食べ物がある。今回は、ケベックシティー出身の友人やホテルのスタッフにオススメのレストランを紹介してもらった。

 ケベックシティー発祥のファミリーレストランCochon Dingueは、ローカルに人気で、カジュアルなケベック料理を提供している。ケベック料理にはメニューの横にサインが。Lapin Sauteはウサギ肉を出すことで有名なレストラン。両レストラン共に旧市街のロウワータウンにある。またコスパを考えると、シャトーフロンテナックの朝食ビュフェは、ケベック伝統料理が楽しめ、眺めもサービスも良いのが魅力的。子供料金が設定されているのもうれしい。また新市街のグランド・アレ通りにあるお洒落なパブLes 3 Brasseurs は、観光客からの喧騒から逃げたいときに。ケベック州とオンタリオ州に店舗をたくさん構える人気パブ。トレンディーなメニューが揃う。

 

◆最後に

 カナダの歴史がぎっしり詰まったケベックシティー。歴史建造物が多いので、ここに来る前に、ちょっと街の歴史を知っていると、街歩きがさらに楽しくなることだろう。

(取材 小林昌子)

 

シャトーフロンテナック客室

 

シャトーフロンテナックの Dufferinレストランの朝食ビュフェ

 

「総督の散歩道」を歩いて、対岸側の紅葉を楽しむ

 

英仏戦争の歴史が学べるアブラーム平原博物館

 

英仏戦争の歴史が学べるアブラーム平原博物館

 

ノートルダム大聖堂

 

北米最古のダウンタウンで知られるプチ・シャンプラン地区

 

17世紀のフランス建築スタイルを色濃く残した、 石造りの建物がずらりと並ぶ

 

ファーマーズマーケット

 

ケベックシティー発祥のファミリーレストラン Cochon Dingue

 

ケベック料理を出してくれるファミリーレストラン Cochon Dingue

 

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