2018年9月27日 第39号

カナダの日本料理レストランで食べるおすしって、とってもおいしいですよね!あんなおすしが手軽に作れたら、うれしくありませんか?パーティーなどでお友達やご家族に出したら、きっと喜ばれることでしょう。だけど、見た目の派手さにちょっと自分にはむずかしい、と思ってしまうのも事実。でも、ご安心ください!カナダに住んで25年、ジャパニーズ・レストランに勤め、カナダ人の好みも熟知し、おすしを作ることにも長けているシェフ、宍戸裕(ししどゆたか)さんに誰でも作れるように、わかりやすくご紹介していただきます。

今回は、ハロウィンパーティーにオススメな、オレンジ色のヤムアボロールの作り方をお伝えします。

 

きっとあなたでもできる!おいしい巻きずしの作り方をお伝えします

 

宍戸裕さん
東京都出身。和食、洋食など4つのレストランでシェフとして活躍し、現在はウィスラーで3店舗並びで営業する原宿(居酒屋)、大山(ラーメン屋)、フジマーケット(日本食スーパー)のマネージャー。フジマーケットではお持ち帰りのおすしが人気で、その中でも今回紹介するヤムアボロールは人気ナンバーワン。
「おすしはカナダでは大人も子供も大好物、少し準備することはありますが、ランチからディナーパーティーまで幅広く喜ばれるおすし!これを機にぜひ挑戦してみて下さい!」
所在地: 4000 Whistler Way, Whistler
Phone: (604) 962-6251 

今回おすしの巻き方を教えてくれた裕さん。ワーホリの若い方に教えてきたので、説明の仕方もとても上手!

 

大山ラーメンは昭和の佇まいを持つ店内で、地元のお客さんから「インスタ映えする!」と評判が高い。豚骨ベースの味噌ラーメンやヘルシーなビーガンラーメンが大人気

 

すし飯をおいしく作りたい!

 おいしいおすしを作る前に大事なこと。それは、すし飯を作ることです。多くのすしシェフは、「おすしはすし飯が決める!」とまでいいます。ご飯を炊く時の水の量は、ちょっといつもより少なめにしましょう。通常よりちょっと硬めのご飯がすし飯には合います。  

 次に肝心のすし酢。すでに市販で販売しているものでも良いですが、ちょっとこだわりたい方は、自分で作ってみませんか?なんといってもすし飯の味が、おすしの味を決めるぐらいですから。  

 すし酢の材料はシンプル。塩1に対し、砂糖2、そしてお酢が4です。1:2:4の割合を覚えておくといいですね。それに、できればだし汁用の昆布を入れると最高においしいすし酢ができます。  

 すし酢を早く作りたいときには、お鍋で材料を入れて弱火で混ぜていきましょう。 加熱し過ぎると、お酢の酸味が飛んで台無しになってしまうので、弱火にしてください。時間があるときには、そのまま材料を入れてよくかき混ぜて、だし汁昆布を入れておけばOKです。ご飯とすし酢の割合は、炊けたご飯3合に対してすし酢100mlです。  

 ご飯が炊けたらすぐに、ボウルなどにご飯を移し、適量のすし酢を入れてください。ここが肝心なポイントです!

 ご飯を混ぜるときは、こねるのではなくしゃもじで切るようにします。すし桶でなくボウルを使った場合には、すし酢が中央に落ちてしまうので、真ん中のところからよくかき回しましょう。

 熱いご飯のままだと、すし飯が手にくっつきやすく、おすしが作りにくいので、ひと肌ぐらいに冷まします。

 

炊き上がってすぐにすし酢を入れることで、ご飯がすし酢をよく吸収します

 

ごはん粒を潰さないようにシャリを切るイメージで!

 

 

巻きすをラップで包む

 一般的にカナダの巻きずしは、海苔が外側でなくご飯が外側のインサイドアウトロールと呼ばれるものが主。ご飯が外側の場合、巻きすにくっつきやすいので、事前にラップで包むようにします。

 慣れていないと、巻きす全体にラップするのがむずかしいですが、なるべく大きなテーブルを使って行うと作業しやすいです。

 

巻きすにピタッとラップがうまくくっついていないと、おすしを巻きにくくなってしまうので、ちょっとセロテープで補強するのも手です

 

 

ヤムアボロールの作り方

 いよいよ、ヤムアボロールの作り方を説明していきましょう!用意するのは、ヤムの天ぷらとアボカドです。ヤムの天ぷらは、5ミリほどスライスしたものを天ぷらにしてください。衣が多いと、巻きにくいので衣は薄めがいいでしょう。  

 海苔は大きな1枚を半分に切って使います。海苔は艶がある方が表にくるものなのですが、この巻きずしの場合、どちらにしろ中に入ってしまうので、表裏にこだわる必要はありません。  

 ご飯は、70グラムほど、小さな野球ボールほどの量を手に取ります。この時、手が温かいとくっつきやすいので、冷たい水でよく手を洗っておくこと。ご飯を海苔の上に伸ばす時にも、ちょっと濡れている手の方が、ご飯がくっつかなくて伸ばしやすいです。

 

慣れないとむずかしい作業ですが、最初はゆっくりと丁寧にご飯を広げていきましょう

 

 一面にのせたすし飯を裏返して、海苔が上にくるようにします。 海苔の上にヤムとアボカドを適量のせて、巻いていきます。  

 

最後に切った時、おすしのネタが爆発しないように、最初は締める意識を持って巻くようにしましょう

 

 巻きずしの最もむずかしいところなのですが、巻くとき、なるべく隙間なく巻くこと。かといって、強く巻き過ぎると、すしの味が損なわれます。

 ネタをまるで「の」の字を描くように巻いていったら、最後にちょっと巻きすで形を整えましょう。

 普通のインサイドアウトロールのおすしは、ここでほぼ完成ですが、ハロウィンパーティーにオススメなヤムアボロールは、さらに外側にヤムを付けます。  

 

ヤムの天ぷらはちょっと硬くて巻きにくいので軽く叩いてならします

 

 この時にヤムの天ぷらをちょっとやわらかくするために、包丁の背で軽く叩くといいでしょう。

 あとは、8つに切れば、ほぼ完成です!

 

ヤムをのせて、

 

さらに巻きすで形を整えます。ちょっと強引な感じで、天ぷらのヤムからバリバリ音がするくらい形をしっかりと整えます

 

 こうした巻きずしを作るのは、意外に簡単です。というのも、よくみなさんが知っているかんぴょう巻きなどの海苔が外側にくる細巻きは、ネタの量やご飯の量の調整がうまくいかなくて、作ったあとに爆発してしまったりするもの。だけど、このインサイドアウトロールは、そういった失敗がまずありません。しかも、このヤムアボロールの場合、ご飯がうまく均等に伸ばせていなくても、最終的にヤムが外側に付くので、ここで伝えたことを実践してもらえれば、きっとどなたでも上手に作れることでしょう。

 

最終的な仕上げには、ちょっと色付けのために刻んだネギを加えたり、味付けのために照り焼きソースをかけたり。あなたのお好みで仕上げましょう!

 

 今回紹介したヤムアボロールを作ることができれば、様々なカナダ風の巻きずしを作ることができます。よく見かけるダイナマイトロールは、エビの天ぷらにレタスやきゅうりを入れたもの。BCロールは、サーモンの皮をBBQしたものに、きゅうりやアボカドを入れたもの。そう、ヤムアボロールが作れれば、いろいろなすしを巻くことができます!

 ぜひ、いろいろなおすし作りを試してみてください。

 

巻き方の基本を覚えれば、サーモン、アボカド、レモンなど添えて作るレインボーロールも作れるでしょう!

 

(取材/写真 飯田房貴)

 

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