2018年4月19日 第16号

ことし9回目の開催となったサクラデイズ・ジャパンフェア(メディアスポンサー:バンクーバー新報)が、バンクーバー市のバンデューセン植物園で4月14日と15日に開催された。バンクーバー・チェリーブロッサム・フェスティバル(VCBF)の一環でもあるこのジャパンフェアには、両日合わせて約1万人が訪れ、さまざまなプログラムを楽しんだ。

 

バンクーバー日系ガーデナーズ協会は日本庭園を展示したほか、ヨーヨー釣りを出していた

 

天気にも恵まれて大盛況

 曇りがちではあったものの、終了間際まで雨は降らずにすんだ初日14日、広い芝生エリアに設置されたチェリーステージで開会式が行われた。VCBFエグゼクティブディレクターのリンダ・プールさんが最初に挨拶に立ち、ジャパンフェアは、実行委員会がすべてボランティアで企画運営して開催されていることに触れた。続いて、岡井朝子在バンクーバー日本国総領事が、VCBFやジャパンフェアが日本の花見のコンセプトをバンクーバーに紹介し広めてきたことに感謝の意を示し、会場でさまざまな和のテイストを楽しんでほしいと述べた。そして、JTBインターナショナル(カナダ)取締役社長の舘澤利典さんが、来場者に対し、いつか日本を訪れて実際に日本の文化に触れてもらえたらうれしいと話した。最後にジャパンフェア実行委員長の塚本隆志さんが、ベンダーやパフォーマーの数が年々増えていること、今年も200人を超えるボランティアが支えてくれていると述べた。その後、鏡割りが行われ、楽一による獅子舞が披露された。

 開会式後の弊紙インタビューで岡井総領事は、今回日本から参加する4つのグループによるパフォーマンスや実演などを見ることを楽しみにしていると述べた。また、バンクーバーに赴任前、VCBFについて日本のニュースで報道されたのを見て、桜を愛でる催しが大々的に行われていることに感激したといい、「こういったことが日本とバンクーバーの人たちをつなぐきっかけになっているのはうれしいですね」と語った。

 

見る・味わう・体験する

 会場入り口近くのビジターセンターでは、バンクーバー生け花協会による生け花の展示や、和風小物、ジュエリー、お菓子など多数のベンダーが出店。また、裏千家淡交会バンクーバー協会による茶道デモンストレーションにもたくさんの人が訪れた。建物外の広場では、建友会が行う木工作業の実演のほか風車作りのコーナーも人気だった。チェリーステージでは武道、合唱、日本舞踊、沖縄太鼓、アイドルショーなど、両日とも多彩なパフォーマンスが繰り広げられた。また、エクスペリエンス・ジャパン・テントでは、けん玉や和楽器のワークショップなどが行われた。たくさんの家族連れが訪れるチルドレンズ・テントでは、折り紙などのクラフトを楽しんでいた。毎年大人気の浴衣着付け体験コーナーでは、コスモスセミナーのメンバーが着付けに大忙しだった。今年もたくさんのプログラムやアクティビティが提供され、終日めいっぱい楽しめる内容になっていた。

 

日本からの参加も大好評

 今回は日本から4つのグループが参加してジャパンフェアを盛り上げた。神奈川県小田原市からの「北條手作り甲冑隊」は、段ボールなどを使って甲冑を手作りし、お祭りに参加するなどの活動を行っている。甲冑装着体験や記念写真に応じたり、ステージでも居合などを披露、喝さいを浴びていた。甲冑に身を包んだ20人近くが列をなして歩いていくさまは来場者の目をひいていた。名古屋から参加した箏と尺八のアンサンブル「美卯の会」の皆さんは、初日のステージで一番最初に出演。透明感のある美しい音色にみな聞き惚れている様子だった。

 アルバータ州カルガリーで日本の刃物を取り扱う「Knifewear」は、日本の包丁鍛冶職人の山本将史さんによる包丁鍛冶の実演を行った。熱されて赤くなった鉄を叩き刃を作り上げていく様子に、多くの人が興味深く見入っていた。カルガリーから訪れたKnifewearの藤本直人さんによると、バンクーバー市メインストリートにも店舗を展開しているという。

 ステージの目玉ともいえる和楽器パフォーマンスには、和太鼓奏者の金刺敬大さんと津軽三味線奏者の本田浩平さんが登場。金刺さんは2年前にもジャパンフェアで演奏し好評を博した。本田さんは今年4月1日に開催された津軽三味線コンクール全国大会で優勝、その際に演奏した『津軽じょんがら節』をステージでも披露した。力強い和太鼓と三味線の演奏に会場からは歓声が沸いた。最後の曲ではアルスビン・リュウゼン・ラモスさんの尺八、中島有二郎さんのウクレレ、金刺さんと本田さんのカナダツアーを企画実行した沖朋奈さんと音響担当の梶野泰範さんが三味線で参加して盛り上げた。

(取材 大島多紀子)

 

 

「美卯の会」による箏と尺八のアンサンブル

 

コスモスセミナーの浴衣着付け体験コーナーは今年も大人気

 

工作などを楽しめるチルドレンズテント

 

持っているだけで腕が疲れそうな大きなけん玉も(右端)

 

フードベンダーには長い行列が

 

山本将史さんによる包丁鍛冶の実演

 

メンバーは高校生が中心だという和太鼓グループ、ロクシチ太鼓

 

開会式であいさつをする岡井朝子在バンクーバー日本国総領事

 

バンクーバーの合唱団や有志が集まったVancouver Sings One Song

 

観客のほうにも積極的に近づいて楽しませた獅子舞

 

裏千家淡交会の茶道デモンストレーション。桜の木を背景に飾り、お菓子も桜をイメージしたものを提供

 

連れて帰りたくなるかわいいアニマルパン

 

「北條手作り甲冑隊」の皆さんのパフォーマンス。身に付けているものは着物以外、手作りだという

 

和太鼓奏者の金刺敬大さん(左端)と津軽三味線奏者の本田浩平さん(右端)の公演。後方右からアルスビン・リュウゼン・ラモスさん、中島有二郎さん。前方右から沖朋奈さん、梶野泰範さん(写真提供  由起子・オンリーさん)

 

 

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