2018年3月15日 第11号

今年で30回目となるBC州日本語弁論大会が、3月3日、ブリティッシュ・コロンビア州バーナビー市にあるサイモン・フレーザー大学(SFU)のハルパーンセンターで開かれた。高校生部門8人、大学生・一般部門19人が出場し、自分たちにとって母国語ではない日本語を使って堂々と自分の考えを発表した。

 

高校生部門オープン1位、ピン・シュアン(ジェイシー)・チェンさん

 

日本語学習の成果を示す

 始めにブリティッシュ・コロンビア大学(UBC)の日本語プログラム・ディレクターのレベッカ・チャウ博士が開会の挨拶をし、「毎年、たくさんの人の前で発表する度胸と熱意、そして洞察力にとても感心させられます。今年もみなさんの発表を聞くのが楽しみです」と激励した。午前の部は高校生部門。チャウ博士の冒頭の説明によると、カナダの日本語弁論大会で高校生部門を設けているのはBC州のみである。初級で1位に選ばれたのはノッパウイット・シリクルパッタナフォンさんの「独り立ち」。タイから単身でカナダに留学、バーナビー市の高校に通うようになって、自分で決めたことを実行する独立心が養われたという。これからもしっかりと目標に向かって進んでいく決意を語った。中級の1位はタミー・マクさんによる「忘れられない事故」で、自分が思いもかけなかった交通事故に遭った話だ。そのことで心身ともに強いストレスを感じたが、周りのサポートで回復した。人生では予想もしなかったことが起きると痛感し、今あるものを大切にしたいと思ったと話した。オープン1位はピン・シュアン(ジェイシー)・チェンさんの「伝えよう。今の気持ちを」。人生には予測できない別れがたくさんある。自分の祖父が亡くなった時、もっと話をしておけば良かったと後悔したという。相手に思いを「いま伝える」ことの大切さを語った。高校生部門の審査員5人からは「今年は出場者数が少なかったが、トピックの選択は身近な問題から社会問題まで幅広く、出場者のスキル、内容の質ともに高かった」という総評が与えられた。

 午前の部の最後には、カケハシ・プロジェクトで今年1月に訪日した高校生を代表して、デリック・モウさんとウイリアム・ユーさんが、広島で現地の学生たちと交流したり、日本の文化や食を体験したことをリポートした。

 

気持ちのこもったスピーチ

 午後は大学生・一般部門。初級の1位はショニ・コイルさんの「日本語と私の心の旅」。社会的不安障害を抱えていた自分が日本語に出合い、ものごとに対して違う見方ができるようになってきた。家族のサポートと日本語のおかげで、社会へ出ていくことへの恐怖感を少しずつ克服していった過程を語った。中級1位となったシウイー・リウさんは、「墨の香りの中で」というスピーチの中で、祖父から教わった書道の魅力を語った。墨の香りをかぎ、筆を紙に下ろすと心が落ち着き、バランスの取れた心を持つことができると話した。上級の1位はジャック・フワンさんの「無関心は幸せをもたらさない」。日本人の若者の政治的無関心について取り上げた。政治に無関心であることは自分や周りの人の幸せにつながらないと警鐘を鳴らした。なお、大学生・一般部門で1位となったこの3人は、3月24日にアルバータ州エドモントンのアルバータ大学で開かれる、カナダ全国日本語弁論大会に出場する予定だ。大学生・一般部門の審査員5人を代表して、ランガラカレッジの林長司氏が総評を述べた。林氏は「発表者は誠意をもって伝えることで聴衆の心に訴えかけることができるということを、今日の出場者から感じられた。心と気持ちを込めることで言葉は力を持ちます。出場者たちは日本語の知識だけでなく、心からの言葉を伝えようとしていたと感じました」と語った。どの部門でも出場者たちの発表は質が高く、審査も予定より時間がかかっていたようだ。

 プログラムの締めくくりはカケハシ・プロジェクトに参加したUBCの学生たちによるスピーチ。シンシア・カーティーさん、ジャック・フワンさん、ジェレミー・シットさんは日本の文化や歴史などについて学んだことを発表した。また日本人との交流を通して、より日本への親しみを深めたと話した。ジョエル・リーさんとアリス・ジャウさんは、日本のポップカルチャーを探索。マンガ学部がある京都精華大学の学生と交流したり、京都国際マンガミュージアムを訪れた話をした。

 授賞式では、岡井朝子在バンクーバー日本国総領事が挨拶に立ち、全出場者への賞賛と共に、日本語を学ぶことで日本への理解を深め、さまざまな側面に対する見識を広げていってほしいと述べた。最後にSFUの大前典子氏は、コンテストの優勝者だけでなく入賞を果たせなかった出場者にも、結果よりも過程が大事であるとして出場者全員の努力を称えた。そして、現在この弁論大会の実行委員会はUBCとSFUの日本語の教授が中心となっているが、もっと他の機関からも参加してもらい、さらに発展していくことを期待すると述べた。母国語ではない日本語を使って自分の考えをまとめ、発表した出場者による気持ちのこもったスピーチは、聴衆の心にも強く響いたことだろう。

(主催:BC州日本語弁論大会実行委員会 協力:在バンクーバー日本国総領事館ほか メディアスポンサー:バンクーバー新報)

(取材 大島多紀子)

 

 

大学生・一般部門1位を獲得したみなさん。左からジャック・フワンさん、シウイー・リウさん、ショニ・コイルさん

 

UBC日本語プログラム・ディレクター、レベッカ・チャウ博士。日本語弁論大会の共同実行委員長

 

SFU日本語教授の大前典子氏。チャウ博士と共同で日本語弁論大会の実行委員長を務めた

 

岡井朝子在バンクーバー日本国総領事

 

カケハシ・プロジェクトに参加した学生によるプレゼンテーション

 

出場者、審査員、大会主催者の記念写真

 

 

 

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