2018年3月1日 第9号

UBCで学ぶイェニー・リーさん(メゾ・ソプラノ)とピアノ天才児ライアン・ワングくんがVMOと協演

バンクーバー・メトロポリタン・オーケストラ(VMO)が3月11日に『岡部守弘記念コンサート』 (メディアスポンサー:バンクーバー新報)を開催する。

今回のソリストはブリティッシュ・コロンビア大学(UBC)で声楽を学ぶメゾ・ソプラノのイェニー・リーさんと、5歳のときから世界で演奏し、2013年にはテレビ番組『The Ellenショー』に出演したピアノ天才児ライアン・ワングくん。注目の若手とオーケストラが協演する。

 

バンクーバー・メトロポリタン・オーケストラ(写真提供:VMO)

 

15周年記念にエロイカ

 15年前、若手の演奏家の育成を目的に、プロと同じ設定で演奏の機会を提供することを目的に結成されたトレーニング・オーケストラ、バンクーバー・メトロポリタン・オーケストラ(VMO)。

 VMO音楽監督・首席指揮者のケン・シェさんがこのコンサートのために選んだのは、恩師・故岡部守弘指揮者から最後に教わったベートーベンの交響曲第三番『英雄』。イタリア語の原題に由来して『エロイカ』とも呼ばれ、フランス革命に共感したベートーベンがナポレオンに捧げる予定で書いた作品としても知られている。

 

歌から勇気を与えられて
イェニー・リーさん

「歌」でいじめから解放され

 現在UBCでオペラを学ぶイェニー・リーさんは韓国生まれ。大学1年を終了し、2013年にカナダへ。クワントレン・ポリテクニカル大学で英語を学んでいるとき、声楽のデール・スローネス教授と出会い、教授の勧めでUBCの音楽学部に入学した。

 「14歳のときに引っ越したのですが、転校生の私は、みんなからいじめを受けました。でも学園祭でKポップを歌ったところ、受け入れられたのです。大勢の前で歌うなんて勇気がどこにあったのか覚えていませんが、歌い出したらそれまで嫌な目つきで私を見ていた人たちの顔が驚きと尊敬に変わり、仲間に入れてもらえたのです。それから舞台で歌うのが好きになりました。客席とコミュニケートすることを大切にしています」

 釜山高校の芸術科に進学し、本格的に歌を始めた。

 尊敬するのは韓国出身のソプラノ歌手、スミ・ジョーさん。「この世のものとは思えない歌声と、アジア人としてオペラ界に進出した初期の歌手であることも尊敬する理由です」

モーツアルトのオペラ 『皇帝ティートの慈悲』

 イェニーさんが歌うのは、モーツアルトのオペラ『皇帝ティートの慈悲』のアリア『私は行く、でも愛しいあなたよ』。

 「私の役はセスト。皇帝ティートの親友(男性)でもあり、裏切りものでもあります。美しいガウンやドレスを身に着けることの多いソプラノと違い、メゾ・ソプラノの役どころはズボン姿の男性役、主人公の母親役とか、敵や召使いなどです。スポットライトを浴びることは少ないのですが、それなりにアリアもあります。周りとの調和、バランスを考えながら歌うことが大切だと思っています」

 「ケンさんが指揮したベートーベンの第九がとてもよかったので、今回この美しいモーツアルトのオペラで協演することを楽しみにしています」

 

『エレン・ショー』に出演
ライアン・ワングくん

 4歳でピアノを始め、5歳のときにカーネギーホールで演奏し、テレビ番組『エレン・ショー』に出演し、上海交響楽団と協演。またたくまにピアノ天才児として注目されたライアンくん。TVパーソナリティー、エレンからの質問に「楽譜が自然に頭の中に入って指が動く。大勢の前でピアノを弾くのが好き」と答え、みごとな演奏で観客を驚かせた。

 現在10歳。バンクーバー音楽院でリー・カムシン先生について学ぶライアンくんがベートーベンのピアノ協奏曲第二番でVMOと協演する。

 

VMOバンクーバー・メトロポリタン・オーケストラ
岡部守弘記念コンサート

3月11日(日)2:00 PM開演(1:30 PM開場 コンサートトーク)
マイケルJ.フォックス・シアター 7373 Macpherson Avenue, Burnaby, BC
指揮:ケン・シェ
ソリスト:イェニー・リー(メゾ・ソプラノ)ライアン・ワング(ピアノ)
モーツアルトのオペラ『皇帝ティートの慈悲』よりアリア
ベートーベン・ピアノ協奏曲第二番
ベートーベン交響曲第三番『英雄(エロイカ)』

チケット:$30(一般)、$45(オーケストラ席)、$55(VIP席) (学生・シニア5ドル割り引き、要ID提示)
電話(604)876-9397 
オンライン購入:www.vmocanada.com

読者プレゼント
バンクーバー新報では3月11日のVMOコンサートのチケットを抽選で読者のみなさんにプレゼントします。
詳細はパート1、7ページまで。

(取材 ルイーズ阿久沢)

 

 

UBCオペラ学科で学ぶイェニー・リーさん(写真提供:VMO)

 

VMO音楽監督・首席指揮者ケン・シェさん

 

ピアノ天才児ライアン・ワングくん(写真提供:VMO)

 

恩師・故岡部守弘指揮者にこのコンサートを捧げる ケン・シェさん(写真提供 VMO)

 

2016年に演じたジャン・カルロ・メノッティのオペラ『領事』で母親役。右端がイェニー・リーさん (撮影:Tim Matheson)

 

2月21日にはVMO主催のレセプションが行われ、VMOのストリングス・メンバーが ポップバンドSpencer & The Dream Continuesと協演。 VMO団員たちにとって新しいジャンルでの演奏経験となった

 

 

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