2018年2月1日 第5号

2016年に日系プレース基金主催のファンドレージング・ガラに出演した中孝介さんのデビュー曲『それぞれに』。その作詞・作曲者が江崎とし子さんである。

これまで20年近くシンガーへの楽曲提供ほかテレビCMや劇伴、国内外商業施設向けの楽曲を多数担当しつつソロ活動をこなしてきたが、昨年、活動拠点をバンクーバーに移した。国境を越えた新たなアプローチに挑戦するToshiko Ezakiワールドとは。

 

江崎とし子さん(写真提供 江崎とし子さん)

 

ポケモンの歴代シンガー

 高校時代より音楽創作を始め、地元で結成したバンドをきっかけに作詞・作曲とボーカルに本格的に取り組んだ。地元京都でソロアルバム『Apple Tea』を発表したあと、1999年活動拠点を東京へ。その後アニメ『ポケットモンスター』の歴代シンガーとなり、主な作品に『ポケットモンスター エンディングテーマ そこに空があるから』(ボーカル担当)、『スマイル』がある。

 ポケモンといえば20年を超えるロングセラー作品。ネットへのファンの書き込みによると「幼稚園のころに見ていたポケモン。この曲を聴くと涙が流れます」「あのときは何も思わなかったけど、今聴くと切なくなります」など、視聴者に与えたインパクトは大きい。

 

ライブでは涙を流す人も

 ゆったりとしたバラードからアップテンポのポップス、ボサノバのリズムに乗ったラテン系、ジャズなど作風はさまざまで、透き通るような声が色彩豊かに広がっていく。ライブでは涙を流す人が続出するという。

 「誰しもが経験するであろう心の葛藤や痛み、また感謝の気持ちや感動をおぼえる風景を歌うことが多いので共感する方が多いのではないでしょうか。私自身も、自分のためにただ歌っているというより皆さんに語りかけるよう、心に届くように1フレーズずつ丁寧に歌うことをいつも心がけています」

 初めて体験したときには涙があふれ出たという水晶から作られた楽器クリスタルボウル。現在ではクリスタルボウルを用いたサウンドによる演奏と癒しも手がけている。

 

「歌」という楽器が人の心へ

 音楽の世界でグローバルに表現していきたいと、次の可能性を考えていたその延長線にあったのが“移住”だった。

 10年来連れ添うパートナーはカナダ人。「私、日本が大好きなんですけど」と微笑む江崎さんにとって、日本を離れるにあたり不安やストレスがあったことも事実。ファンとの交流を続けるためにも、半年に1回は日本に戻りライブを開く予定だ。

 これまで続けてきた歌詞のないボーカリーズでのパフォーマンスにライブペインティングを加えてみるなど、国境を越えたアプローチも思案中。

 「アンビエントな世界は歌詞がない分、繊細な部分からダイナミックな部分まで表現ができ、声で絵を描くような、はたまた自由に空を舞っているような…。そんな感覚で、心の赴くままに表現しています。歌詞がないから伝わらないということでもなく“歌”という唯一無二の、何にも代えがたい楽器が人の心に印象づけると確信しています」

 まずは2月17日にバンクーバーで初のライブを開く。

 「日本からアコースティック・ギターの下谷淳蔵(しもがいじゅんぞう)さんが参加し、バンクーバーのブラジリアン・ギター奏者、中島有二郎さんも加わります。私の全部を見て聴いてもらいたいと思っています」

 

江崎とし子:京都出身のシンガー・ソングライター、プロデューサー。自身の活動をする傍らシンガーへの楽曲提供、テレビCM、劇伴、国内外の商業施設への楽曲等も手掛けている。また、アニメポケモンの歴代シンガーでもあり3作品に参加。ヒーリング分野ではクリスタルボウルの演奏や、歌詞のないボーカリーズでの歌のパフォーマンス、アンビエント世界の表現、またボイストレーナーとして後進の指導など、活動は多岐にわたる。ライブでは涙を流す人が続出。「デトックスライブ」と評され、幅広い年齢層から人気がある。
現在、活動拠点をカナダに構え、国境を越えた新たなアプローチに挑戦している。
http://toshiko-ezaki.com

江崎とし子 カナダ・デビューコンサート
2月17日(土)8PM-11PM
Cottage Bistro (4470 Main Street, Vancouver)
チケット20ドル(要予約)
オンライン購入:https://www.eventbrite.caよりToshiko Ezaki Canadian Debut Concertで検索。
問い合わせ:電話 (778) 751 3303 This email address is being protected from spambots. You need JavaScript enabled to view it.

(取材 ルイーズ阿久沢)

 

 

ライブにて(写真提供 江崎とし子さん)

 

ライブにて(写真提供 江崎とし子さん)

 

水晶から作られた楽器クリスタルボウルを用いたサウンドによる演奏と癒しも

 

ボディーペイントをしてもらったところ(Art work:023 Photo by Tomoyo)

 

読者の皆様へ

これまでバンクーバー新報をご愛読いただき、誠にありがとうございました。新聞発行は2020年4月をもちまして終了致しました。