和風の世界へ
この着物ショーはナショナル日系博物館・ヘリテージセンター(NNM&HC)による「日系秋祭り」(9月24日から10月1日)の一環として行われたもので、コスモスセミナーが主催。同センター理事の五明明子さんによると、今までセンターに来るきっかけのなかった新移住者やローカルのカナダ人にもその存在を知ってもらい、利用してもらいたいというのが今回秋祭りを主催した理由だという。
この日、ロビーでは和風小物や着物、着物からのリメイク・ドレスなどが販売され、センターに足を踏み入れた瞬間から、和風の世界へと導かれた。
関係者の家族、友人がモデルに
ショーの幕開けは、日本から出演した獅子舞の袴田康裕・由美子夫妻(芸名:ヤマトヒロ、あまぐりゆみこ)。巧みな舞いの最後には「エンジョイ・着物ショー」と書かれた垂れ幕を口に挟み、拍手を浴びた。
続くエンターテイメントは、成谷百合子さんを中心とする8人の琴アンサンブルと、西川佳洋師匠による日本舞踊。五木ひろしの『千曲川』に合わせた踊りには、思わず歌詞を口ずさむ人の姿も。
モデルのほとんどが、日系プレースのスタッフやコスモスセミナー会員とその家族たち。友人や知り合いがモデルとして舞台を歩く姿はほほえましく、親近感いっぱいだった。
着付けはJive Jiveヘアーサロンより現役プロや経験豊かなスタッフが担当。ちなみに、着物がしわにならないように、着付け後約4時間座らずにいたモデルなど、このショーにかけた気合いも大きい。
着物の種類や用途を解説
着物ショーをコーディネートしたリトンかおりさんによると、これらの着物、和装小物はすべてローカルで調達。自分の成人式や、母親が成人式に来た着物の袖を短くしたものなど、自前の着物を着たモデルもいた。
モデルが袖を広げると「ビューティフル」と称賛の声や、男性モデルが羽織を脱いで裏地に描かれた見事な海原や富士山の模様を見せると、ためいきさえ聞かれた。
「振袖は結婚前に着るものですが今回は特別に既婚者がモデルです」との説明を受けて登場したのは、若草色の大振袖を着たコスモスセミナー主宰者、大河内南穂子さん。舞台の上で何度もポーズを取ったり観客と目線を合わせるなど、個性的な演出でショーを盛り立てた。
最後は白無垢姿の花嫁、花婿がフィナーレを飾り、多くのボランティアの協力のもとに作り上げられた着物ショーは大成功に終わった。
(取材 ルイーズ阿久沢)