2017年6月15日 第24号
「日本にあるハワイ」とも呼ばれる沖縄。年間平均気温が22度と恵まれた気候に加え、人口約144万人(2017年5月1日現在-沖縄県統計)と、ハワイ州の平均気温25度、人口約142万人(2016年現在-ハワイ州統計)と似ている。でもやはりここは沖縄!ハワイと違って、日本本州からも近く、安く、時差もない。そして何よりも、沖縄にしかない歴史や文化、自然や料理に触れることができる。今回は日本へ里帰りした際に、思い切って、大人ひとりで5歳児と7歳児を連れ、4泊5日沖縄ツアーに参加してみた。
波が穏やかで子供に最適な残波ビーチ
まずは情報集めから
「沖縄は車がないと移動が難しい」すでに沖縄へ4回遊びに行っている弟や、実際に住んでいる方からのアドバイスだった。カナダでの運転歴17年に比べ、日本での運転歴6カ月。正直、日本での車の運転には自信がない。だからレンタカーはナシで考えていたのだが、周りからの「小さな子供がいるからこそ車は必須!」に押され、しぶしぶレンタカーを借りる方向へ。
大手格安旅行ウェブサイトで、ホテル、飛行機、レンタカーと別で検索するが、全て込みのツアーのほうが断然お得だということに気づき、パッケージツアーで申請した。ツアーというが、ツアーガイドがいるわけでもなく、同じツアーに申し込んだ人たちに遭遇するわけでもなく、最初から最後まで自由。自分たちのペースで行動できるのが魅力的だった。
レンタカー
一般的に沖縄へのパッケージツアーを使用する際は、レンタカー会社が那覇空港までバスで送迎してくれるシステムになっている。空港からレンタカー会社に連れて行ってもらい、そこからレンタカーの手続きをして、各々目指すホテルへ行くことになる。私の場合(カナダ国籍)、レンタカー会社の規定により国際運転免許証が必要となったので、CAAで国際運転免許証(25ドル)を取得した。レンタカーを借りる際は、前もってレンタカー会社に国際免許の有無等を問い合わせてみるのもよいかもしれない。
CAA(Canadian Automobile Association)
http://caaneo.ca/travel/you-go/international-driving-permit
読谷村へ
今回選んだのは、那覇から車で1時間ほどでアクセスできる沖縄中部にある読谷村(よみたんそん)。一番の決め手は、数あるビーチのなかでも読谷村にあるビーチは波が穏やかで子供に最適だということ。そして那覇空港から1時間という距離も、車で迷った場合は何とかなる距離である。
沖縄のビーチは3〜4月に海開きする。私たちが行ったのは4月下旬。海で泳いだり、浜辺でヤドガニやヒトデを探したり、のんびり外で遊べたのが楽しかった。ビーチやリゾート周辺を散歩すると、見たこともない巨大なバッタやパイナップルに似たアダンと呼ばれる植物、また石灰岩でできたトレイルなどに遭遇し、読谷村の自然を満喫できたのは、この5日間での一番の思い出だ。
残波岬
読谷村にある残波岬。ここは沖縄最西端にあり、夕日が最後に沈む場所として知られている。東シナ海に面しており、白い灯台を背景にきらきら光る海はとてもロマンチック。夕日の絶景スポットとしてカップルに人気だと聞いていたが、子供たちは残波岬一面に広がるゴツゴツした石灰岩の上を歩くのがうれしかったようだ。この岬から残波ビーチまでは石灰岩でできたトレイルが残っており、青や赤の目をしたヤドガニを探しながら、舗装されていない自然な状態のトレイルを歩くのがちょっとした冒険となった。
また残波岬のすぐ隣には、公共施設「残波岬いこいの広場」がある。ここは日本一の大きさを誇る巨大なシーサー(残波大獅子)が目印となっていて、大きなプレイグラウンドが併設されている。ビーチで遊ぶのに飽きたころに寄るには最適の場所となった。
琉球村
さすがに観光産業が沖縄県を支えるだけあり、雨の日のアクティビティーで困ることはない。数あるアトラクションのなかからも、いろんな人から勧められた琉球村に行ってみた。
琉球村は、明治末期ごろの沖縄を再現した体験型テーマパーク。築80年以上の赤い瓦の琉球古民家が立ち並び、有形文化財として登録されている古民家もある。ここでは当時の衣装を着た人たちが生活模様を再現しているので、歩いているだけでタイムトリップした気分にも。村ではエイサーや宮廷舞踊の披露があったり、シーサーの色付け教室があったり、サーターアンダーギー(沖縄ドーナツ)や、ぽーぽー(黒砂糖を使った沖縄風クレープ)といった手作り伝統菓子が販売されていたりと、沖縄の文化や歴史を楽しく学べる場所だ。
琉球村
https://www.ryukyumura.co.jp/
読谷村漁業組合
読谷村には、捕れたてのシーフードを目の前で天ぷらにして売っている場所があると、どこかで読んだ。「ローカルの間で人気です」とホテルのスタッフも話してくれたので、早速、この天ぷらを目当てに読谷村漁業組合に寄ってみた。 本組合は海に面していて、駐車場に車を止めるなり、魚の塩っぱい匂いが漂う。駐車場付近では、小麦色に焼けた若い漁師さんたちが、ウエットスーツを半分着たまま、捕ってきた魚を分類している姿が印象深かった。
同組合に併設する「いゆの店(海人食堂)」で、噂の天ぷらを発見。こちらは2階建ての建物で、2階が食堂、1階が魚屋さんとなっている。魚屋さんでは珍しい魚がずらりと目の前に陳列されている。巨大なイカをふたつ購入しているローカルの姿や、私たちのようにシーフードの天ぷらを待っている観光客などで、昼間は人で賑わっていた。イカ、ゲソ、白身魚、モズクといった天ぷらはひとつ80円から。モチモチした衣が揚げパンのようで、ひとつ食べただけでお腹がいっぱいに。予想通りおいしかった!
読谷村漁業組合
http://yomigyo.shimatabi.jp/
ぜひ沖縄へ!
カナダに住んでいると、ビーチバケーションといえばハワイ、あるいはキューバやメキシコなどの中米に注目しがちになるが、沖縄はそれに匹敵する、いやそれ以上のバケーション地になると自信を持ってお勧めする。
エメラルドグリーンの透き通ったビーチを前に、亜熱帯の珍しい植物や虫たちに囲まれながら、ミミガーやチャンプルーといった沖縄郷土料理をいただいたり。町に出れば、どこの家も屋根や玄関にシーサーが堂々と飾ってあったり。それを不思議に思う子供たちは、その意味を調べ、実際に作ってみたり。そして一日の疲れをホテルの温泉や露天風呂でしっかり落としたり。
初めての沖縄は、ひとりで子供たちを連れての旅行だったので不安もいっぱいだったけど、沖縄の自然、食べ物、文化に触れ、また本州とは違う日本の一面を経験でき、大満足だ。次回、日本に里帰りすることがあれば、必ず行きたい場所になった。
(取材 小林 昌子)
沖縄で夕日が最後に沈む場所として人気の残波岬
浜辺では赤や青の目をした珍しいヤドガニを探して大喜びするこどもたち
パイナップルに似たアダンと呼ばれる植物。読谷村ではよく見かけた
残波岬から残波ビーチまでの自然トレイルを歩く。ゴツゴツした石灰岩の上を歩くのが楽しかった
日本一の大きさを誇る巨大なシーサー(残波大獅子)。沖縄に来たことを感じる
琉球村では当時の衣装を着た人たちが生活模様を再現
琉球村では赤い瓦の琉球古民家が立ち並ぶ
読谷村漁業組合にある「いゆの店(海人食堂)」。とりたてのシーフードを目の前で天ぷらにして販売すると話題。1階の魚屋さんにて