2017年4月13日 第15号

4 月8日、9日の2日間にわたって、バンクーバー市内バンデューセン植物園で恒例のSakura Days Japan Fair(SDJF)が開催された。両日合わせて、約8 千人(実行委員会調べ)もの入場者が訪れ、日本の文化、芸能、食べ物を楽しんだ。

 

鏡割り。左から、岡井朝子在バンクーバー日本国総領事、マイケル・ウィーブさん(バンクーバー・パーク・ボード理事長)、リンダ・プールさん(VCBF エグゼクティブディレクター)、塚本隆志さん(ジャパンフェア実行委員長) 

 

毎年楽しみにしている人も多いイベント

 このイベントはジャパンフェア実行委員会(JFAV)とVancouver Cherry Blossom Festival (VCBF) の共催で開催されている。毎年3月末から4 月末にかけて、バンクーバー各所で桜を楽しむ企画を運営するVCBF の中でもメインイベントの1つといえる。今年は約180 人のボランティアがイベントを支えた。

 初日8日は終日雨模様で時折強く降る中、正午から開会式が行われた。VCBF エグゼクティブディレクターのリンダ・プールさん、バンクーバー・パーク・ボード理事長のマイケル・ウィーブさん、岡井朝子在バンクーバー日本国総領事、ジャパンフェア実行委員長の塚本隆志さんが挨拶に立った。続いて、この4 人による鏡割りが行われた。

 SDJFについて岡井朝子総領事は、「植物園の広々としたスペースで桜を楽しみながら日本文化を楽しめる非常にいい企画だと思います。桜とは日本らしさを象徴する花だと思います。すでに8 世紀には万葉集に桜の歌が詠まれているほど、日本の歴史に根づいた花なんですね。春の到来と共に誰でもが美しいと思う桜を愛でるということが、日本の伝統として意識されることは非常にうれしく思います。バンクーバーではVCBFによって桜を愛でるイベントが行われていて、日本の花見とクロスオーバーさせる取り組みといえますので、ぜひ応援していきたいと思っています」と述べた。

 

多彩な内容のパフォーマンス

 植物園の中心に設置されたチェリーステージでは、空手、少林寺拳法、獅子舞、日本舞踊、書道と和太鼓のコラボ、アニメのコスプレショー、能楽、詩吟、沖縄太鼓、合唱、尺八の演奏と多彩なラインナップで来場者を楽しませた。

 今年は日本から津軽三味線奏者の山口ひろしさんとパーカッショニストの石川智さんが来加、バンクーバー在住のブラジリアンギター奏者中島有二郎さんと「Kizuna」というトリオ名で演奏した。8日の1回目のステージでは、降雨のため三味線を演奏することができず(三味線は湿気に弱く皮や糸が切れる可能性もあるとのこと)、山口さんはボーカルで参加。2回目のステージでは三味線も登場、ラテン音楽と日本の民謡が溶け合った素晴らしい演奏を披露した。また、バンクーバー・メトロポリタン・オーケストラの弦楽器とピアノのアンサンブルは、ジブリ作品の音楽やJ-Popもとりまぜて美しい音色を響かせた。

 9日には、うずめ太鼓とサウス・アジアン・アーツとのコラボもあり、日本の伝統的音楽と他国の文化との融合をステージ上で展開した。

 

見どころたくさん

 入口近くのビジターセンターでは、バンクーバー生け花協会による生け花の展示があった。また、アクセサリー、お茶、和風小物、ポストカードなどのベンダーが、ビジターセンター内および屋外に出店、たくさんの人たちが買い物を楽しんでいる様子が見られた。今年初めてのVanKoji Foods による塩麹を使ったレシピの紹介をするクッキングセミナーも人気だった。8 日は、雨のため芝生がぬかるんでいる悪条件の中ではあったが、多くの来場者がラーメン、ぎょうざ、たこ焼き、焼き鳥などおいしい食べ物を楽しんでいた。

 日本の文化を体験するコーナー、エクスペリエンス・ジャパンでは、けん玉、尺八ワークショップ、書道、バンクーバー日本語学校による紙芝居や、山口ひろしさんによる三味線ワークショップなど盛り沢山の内容となっていた。企友会のメンバーが担当するチルドレンズテントでは、折り紙やけん玉などを子どもたちが楽しんだ。今年SDJF での初めての企画であるランタンパレードで使う桜色のランタン作りも、ここで行われていた。また、コスモスセミナーが提供する浴衣の着付け体験には、雨模様だった初日でも150 人を超える人が訪れたそうだ。浴衣を着せてもらった来場者が傘や桜の造花などの小道具を持って写真撮影を楽しんでいた。

 いつも大人気の裏千家淡交会による茶道デモンストレーションには、今年もチケットを求める行列ができていた。参加者は茶道の一通りの流れを見た後、お菓子と抹茶を楽しんでいた。BC 州日本酒協会に属する4 社が提供する酒サロンにも、たくさんの人が訪れていた。日本酒の試飲ができるほか、日本酒についての基礎知識と合わせる食事について学べる酒トークも好評だった。ビジターセンターの外のテントでは建友会による風車作りと、木工作業のデモンストレーションが行われた。風車作りは、子どもだけでなく大人も思わず熱心に取り組んでしまう楽しい作業だ。SDJF 初日の最後を飾るのは、ランタンパレード。平野弥生さん率いるバンクーバー音頭とエイサー太鼓のみなさんが先導し、来場者も参加してチェリーステージからビジターセンターまで、にぎやかにパレードして初日を締めくくった。9 日は天気も回復し、前日を超える来場者を迎えて盛り上がった。(取材 大島 多紀子)

 

昨年初夏に赴任しジャパンフェアには今年初めて訪れた岡井朝子総領事 

 

雨でも頑張るSDJF のボランティアたち 

 

VAN48 には熱心な親衛隊が大声援を送っていた 

 

バンクーバー・メトロポリタン・オーケストラの演奏 

 

津軽三味線の山口ひろしさん、パーカッションの石川智さん、ギターの中島有二郎さんによるバンド「Kizuna」 

 

建友会のテントで行われていた風車作り

 

糸東流空手道正晃会による空手のデモンストレーション

 

楽一による獅子舞

 

春の歌を披露したさくらシンガーズのみなさん(Photo by Patrick Li)

 

書道家姫洲さんとロクシチ太鼓のコラボ

 

コスモスセミナーのボランティアに着つけてもらった浴衣姿で記念撮影

 

在バンクーバー日本国総領事館のブース

 

音羽流による日本舞踊

 

カナダの150 年の歴史の間に存在した3 曲の国歌などを歌ったNAV コーラス

 

裏千家淡交会による茶道デモンストレーション

 

チルドレンズテントでランタンを作った子どもたち

 

8 日の最後に行われたランタンパレード終着点

 

ヤヨイ・シアター・ムーブメントは舞台「Okuni」から一部を再演

 

エクスペリエンス• ジャパンでも、けん玉の技を披露したテラ・ケンダマ

 

ちらし寿司やお茶漬けを提供していた晩香坡櫻會のみなさん

 

日本酒のテイスティングは大人気

 

VanKoji Foods による塩麹を使ったレシピの紹介

 

俳句を楽しむコーナー「Hands-on-Haiku」

 

日系ガーデナーズ協会による日本庭園

 

鯉のぼりを元にデザインされたオブジェに俳句や絵を鱗に見立てて飾られている

 

読者の皆様へ

これまでバンクーバー新報をご愛読いただき、誠にありがとうございました。新聞発行は2020年4月をもちまして終了致しました。