2017年2月23日 第8号

食意識が高いバンクーバー。ベジタリアン、ビーガン、ローフード、オーガニックという言葉はスーパーやレストランに行くと当然のように目に入り、今や生活の一部になっているといっても過言ではないだろう。そして健康食のなかでもここ数年北米で注目されているのが発酵食品だ。オタワで「菌先生」として知られる発酵食品研究家の板橋僚子先生に米麹の作り方、発酵食品について話を聞いた。

 

発酵食ランチ

 

■発酵食品とは?

 微生物の力を借りて発酵させる食物のことを指す。西洋から入ってきたヨーグルトやチーズなどは発酵食品の代表的なものとして知られているが、実はもっと身近なところに日本食を代表する発酵食品がある。日本伝統食である味噌汁を例にあげると、味噌自体が発酵食品である。カナダの日本食レストランで人気の照り焼きチキンにしても、タレの原料となる醤油にみりん、そして酒といった日本独自の調味料は味噌同様、すべて発酵プロセスを経たものである。

 

■発酵するとどうなる?

 微生物がエネルギーを得るために食べ物を分解し人間にとって有益に作用すると「発酵する」ことになる。有害なら「腐敗」と区別され、匂いを嗅いでみたらわかるという。

 発酵食品には食品を柔らかくする作用があったり保存性を強くする作用がある。また旨みや甘みなど、食品をおいしくする作用もある。また腸内環境に作用する善玉菌を多く含んでおり、悪玉菌を抑制し体の中の毒素を排出するので腸内の消化活動を活発にしデトックス(解毒)効果もある。そうすることで腸に栄養がしっかりいく状態になり、免疫力があがるようにもなる。

 僚子先生も「発酵食品を食べ始めてから腸の動きが活発になった」と話す。実際に発酵食品の力はすぐに体に現れ、記者も取材を通してふだん口にしない発酵食(約20種類)を試したおかげで、まる2日間は普段よりも腸内が活発になったのは身をもって体験した。これを機に「痩せたいなー」、「便秘気味だなー」なんて思った際は、発酵食を選ぶことだろう。

 

■僚子先生の『マイグルト』レシピ

米 1合(固めに炊く)
水 500cc
米麹 65〜70g
豆乳ヨーグルト 小さじ1(ヨーグルトでも可)

 これを混ぜ合わせ、冷蔵庫へ入れます。時々かき混ぜてください。7〜10日で出来上がります。(この調理法を低温発酵と呼ぶ)

注意:炊きたてのお米に米麹を入れると、麹菌が死んでしまうので、炊き立てのお米にお水を入れて、ある程度温度を下げてから麹を入れて下さい。

 

■米麹とは

 白米に麹菌を繁殖させたもの。麹菌を使った日本食の代表的なものとしては味噌、酒、甘酒などが挙げられる。またここ数年、おいしいと話題の塩麹や醤油麹といった調味料も米麹さえあれば簡単に作ることが可能だ。

 僚子先生のいちおしは、米麹で作ったマイグルト。マイグルトのマイはお米の「まい」にかけてできたもので、その言葉から想像できるようにお米で作ったヨーグルト。ヨーグルトは動物性乳酸菌なのに対して、マイグルトはお米で作った植物性乳酸菌。低温発酵で酸味が少し入った後味の良い飲み物だ。「動物性の乳酸菌は胃で死滅して腸には届きませんが、植物性乳酸菌は腸まで届くんですよ。死滅した乳酸菌も他の生きてる乳酸菌のエサになるのでその意味では良い働きをしてくれますが、やはり生きたまま乳酸菌を腸に届けたいですね」と僚子先生は話す。

 

■米麹の作り方

 米を水に24時間浸すなど下準備に1日、発酵だけで2〜3日かかる。10合の米を水の中に24時間浸したあと、米をざるにあげて2〜4時間水を切る。その後、米を10〜15分ほど蒸し器にかけ芯が残らないようにする。蒸しあがった米は木の桶に入れて熱を冷ます。40度まで下がったら種麹2グラムをまき、保温庫へ。自宅で作る場合はオーブンを保温庫として利用。発酵すると発酵熱でグングン温度があがるので、20時間後、30時間後、35時間後と3回の手入れで40度以下を保つ。

 

■板橋僚子先生プロフィール

 長年、納豆や味噌、天然酵母パンといった発酵食に興味があって試していた。数年前にCTスキャンを3回受けたことをきっかけに、さらなる発酵の世界へ入る。「3回の高放射線量のスキャンでどれだけの遺伝子が破壊されたのか?癌予防をするには?」という情報集めから「腸は第二の心臓」にいきつき、腸内環境を整えて悪玉菌はデトックスすることの重要性を知る。そうするには発酵食品が一番!

 「日本の長寿は麹菌のお陰ともいわれているので、麹菌を使用した日本の伝統食品をカナダでも大事に継承していきたいと思います」と、ユネスコ無形文化遺産に認定された日本伝統食を今後もカナダで継承していく意向だ。

 

今話題のコンブチャKombucha(日本語では紅茶キノコ)も登場。紅茶を発酵したもの。発酵するとキノコのようなものがお茶に浮かぶのでそう呼ばれるとか。今回発酵サンプルのひとつに登場したのだが、正直これを見てしまった後に、サンプルを飲むのには勇気がいった。「大丈夫よー!おいしいから〜」と笑う僚子先生を前に飲んでみると、ビックリするほどおいしかった。オーガニック食料品店でもよく見かけるお勧めの一品!

 

マイグルト

 

オーブンを保温庫として利用

 

木の桶に入った米麹

 

出来上がった米麹

 

40度まで下がって種麹を2グラムまく僚子先生

 

40度まで下がったら種麹を2グラムまく

 

板橋僚子先生

 

 

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