北米では滅多に鑑賞できない日本から出展される作品の数々に注目したい!

 

デンデラ(Dendera)監督 天願大介(119分)

70歳を迎えた斎藤カユ(浅丘ルリ子)は、村の掟に従って息子に背負われ参り場へ。そこでは、村への復讐を誓う三ツ星メイ(草笛光子)、冬を生き延びるために食糧を蓄えるべきだと主張する椎名マサリ(倍賞美津子)、狩猟のエキスパートで現実主義者の浅見ヒカリ(山本陽子)、カユの唯一の親友で元々体が不自由だった黒井クラ(赤座美代子)など、カユよりも前にお参り場へ捨てられた老女たちがいた。様々な感情が渦巻く奇妙なコミュニティを形成する共同体のデンデラでは、ある者は穏やかな死を願い、ある者は生きながらえたことを喜び、ある者は自分を捨てた村を恨んでいた。深沢七郎の小説を基に、一度は死ぬために捨てられた老女50人が生み出すドラマを描く。

 

僕らの未来(Our Future)監督 飯塚花笑(76分)

高校生の優は、あることを抱え苦しんでいた。それは、性同一性障害。男として生きることの許されない環境に苦しむ優。そんなある日、想いを寄せる真澄との手紙をクラスメイトに読まれてしまうのだった。そして、クラスメイトによる優への嫌がらせがエスカレートし…。優は女である自分に絶望しながらも、幼馴染とのやりとりの中で、困難で厳しい現実をどう受け止めるかを考えさせられるのだった。一体、優の決めた人生選択とは?自分が自分であることの勇気とは何なのかを考えさせられる。

 

ハラがコレなんで(Mitsuko Delivers)監督 石井裕也(109分)

妊娠9カ月で臨月の原光子(仲里依紗)。お腹の子供の父親は元カレの可能性が高いものの、行方知らず。所持金もつきた光子は、幼少時代を過ごした長屋に戻るが…。そこでは、幼馴染の陽一とその叔父・次郎が昔と変わらず住んでいた。人のことなど構っていられないはずだが、義理人情を重んじる光子は、2人の営む食堂が経営難と知るとすぐさま助けの手を差し伸べるのだった。自分のことはさておき、他人のために奔走する光子が繰り広げる義理と人情をヒューマンコメディで描く。

 

マイ・バッグ・ページ(My Back Page)監督 山下敦弘(141分)

週刊東都の新米記者である沢田(妻夫木聡)。新左翼運動の取材を通して、活動家たちに共鳴しながらも、自分がジャーナリストとしての立場を踏まえ、客観性を保たなければいけない現状に葛藤していた。そんなある日、沢田の前に現れた青年、梅山(松山ケンイチ)。活動家と言う梅山は、自分が京西安保の幹部で、武装決起を起こすと語るのだった。宮沢賢治を愛読し、ギターを弾く梅山に親近感をおぼえる沢田。学生仲間で赤邦軍という組織を結成し、自衛隊基地を襲撃して武器を奪う計画を立てる梅山に対し、独占取材をさせてくれるよう頼むが…。実在の事件を基にした衝撃のドラマ。

 

タツミ(Tatsumi)監督 エリック・クー(98分)

劇画の父として、日本マンガを芸術へ昇華させた功績で称えられる辰巳ヨシヒロ。カンヌ映画祭常連でシンガポール映画界の奇才エリック・クーが監督。辰巳ヒロシの自叙伝的マンガ作品「劇画漂流」と短編作品5話を原作とした長編アニメは、日本の戦後史と重ね合わせながら物語る。劇中で6名の全く異なるキャラクターを対話式で演じるという極めて難しい大役を試みた別所哲也。舞台は敗戦直後の大阪、10代からマンガを投稿し始めた辰巳が、貸本マンガを経て、劇画という新ジャンルを開拓するまでの歩みとは?

 

Recreation監督 永野義弘(78分)

舞台は福岡。いくつかの実在した少年犯罪事件を基に描く青春・犯罪ドラマ。盗撮から始まり、衝撃的な結末を迎えるこの映画には、少年だけが出てくる。場所は福岡、出演者も福岡の俳優、そして福岡弁と福岡で福岡の人間が福岡の映画を生み出した。大人に救いを求めても、子供の現実を知らない。少年犯罪は本当に些細なことがきっかけで始まることが多い。高校生の夏、浸潤する不穏な熱気に包まれ、少年の心の弱さから引き起こしてしまう事件を浮き彫りにする。

 

 

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