こども英語落語寄席&ワークショップ@UBC

落語は400年の歴史を持つ日本伝統芸能です。噺家は座ったまま、道具は扇子と手ぬぐいだけで何役もこなすスーパーエンターテーナーです。たった一人で観客を笑わせ、時にはほろっとさせるエンターテーメントである落語と英語教育を合体させたら、どうなるでしょう? 
子供にとって、英語で日本の伝統文化を、しかも観客を前にしてパーフォーマンスするというのは、動機づけにもなり、また学習効果の高い教育方法でもあります。このような教育的ビジョンに基づき、2009年2月にこども英語落語協会が発足しました。
8月21日、UBCアジア学科、在バンクーバー日本国総領事館、バンクーバー新報、国際表現言語学会の協力を得て、こども英語落語協会と英語落語の第一人者、林家染太師匠によるこども英語落語寄席とワークショップがブリティッシュコロンビア大学(UBC)アジアセンターで開催されました。小さい子供から年配層まで、また日本語を解する人、そうでない人など、様々な文化的背景を持つ50名ほどの観客を相手に、5人の子供噺家さんと染太師匠は大熱演。会場は笑い声と笑顔であふれていました。観客参加のワークショップでは、染太師匠直々に落語の指導を受けたり、南京玉すだれを実際に手にとっていろいろな形を作り出したりなど、珍しい体験を見る側も、する側もともに楽しんでいました。芸達者な染太師匠は津軽三味線や紙きりの芸も披露するといったように1時間半の催しながら、盛りたくさんのお楽しみを提供し、観客を満足させてくれました。
前日のリハーサルも拝見する機会がありました。協会主宰の池亀葉子先生のきびしい指導に応える子供たちの真剣でプロフェッショナルな態度に感銘を受けました。子供たちの稽古を見ていて、人の前で演ずるということの難しさ、またうまく出来たときの快感、達成感がひしひしと伝わってきました。本番で目を見張るほど上手になっていたのには感動しました。たった一人で観客を笑わせ、時にはほろっとさせるエンターテーメントである落語と英語教育を合体させたこの試みが成功するのも、指導者と子供たちが真剣に取り組んでいるからであるというのがよく理解できました。
一人の観客としてすべての演目を楽しんだということももちろんですが、それ以上に同じ言語を教える者として素晴らしい言語教育実践例を間近に見学することができたことは、この上もない喜びでした。
イベント終了後も観客は残って、こども噺家さん、染太師匠、こども英語落語協会関係者と楽しくおしゃべりをするほど素晴らしいものでした。多くの観客がもっと多くの人に見てもらったらよかったのに、と残念がっていたのが印象に残りました。近い将来、是非バンクーバー再訪を計画してほしいと切に願っています。 (国際表現言語学会事務局長 野呂博子)

 

グラッドストーン日本語学園の子ども達が「こども英語落語寄席」の日本文化に触れる

8月22日、ナショナル日系博物館・ヘリテージセンターのロビーで、日本の子ども達と、グラッドストーン日本語学園のサマースクールの子ども達との交流を図り、こども英語落語寄席が行われた。会場には、子供たちと、保護者、教員、ホーム、新さくら壮のご老人を合わせ、約80人が集まった。
午後一時、こども英語落語協会の池亀葉子さんの挨拶で始まり、林家染太師匠に落語で使う扇子と手ぬぐいの使い方を学んだ。そして会場全員で、落語定番の扇子を使ってうどんを食べる仕草に挑戦した。また、グラッドストーン日本語学園の幼稚園児が舞台に上がり、みんなの前で扇子で上手にうどんを食べてみせた。
続いて、5人のこどもによる英語落語が始まった。最初の演目は、がめら亭心笑の『ice cream』。「I Scream!」といい、大きな声を出して会場を笑いに包んだ。また、がめら亭笑蘭の「Up Stairs」、帰らんとっ亭ばれえの「The Zoo」、そして、帰らんとっ亭悠悟の「Sushi Shop」と続いた。ばにぃ亭悠笑の、日本で有名な怪談をモチーフにした「Dish Of Okiku」が最後で、活き活きと堂々とした素晴らしい落語だった。
こども英語落語の後、林家染太師匠による南京玉すだれのパフォーマンスが行われた。南京玉すだれで、ライオンズゲートブリッジやキングサーモンなど、カナダにちなんだものを次々と作ってみせ、会場をわかせた。また、グラッドストーン日本語学園の幼稚園児が南京玉すだれに挑戦してみせ、会場が盛り上がり、こども英語落語寄席が終了した。
こどもたちの英語落語を通じ、日本の文化、また「心と言葉を合体」することの大切さを学んだ、楽しいこども英語落語寄席だった。(グラッドストーン日本語学園)

読者の皆様へ

これまでバンクーバー新報をご愛読いただき、誠にありがとうございました。新聞発行は2020年4月をもちまして終了致しました。