メジャー級のサッカーに酔いしれる

ホワイトキャップスの見どころは、何と言ってもメジャー級のサッカーを観戦できること。世界中から自国代表級の選手を集め、魅力あふれるチームに仕上がっている。
対戦相手はこれまですでにMLSで戦ってきたチームばかり。ここまで借金4とは言え、2部リーグ時代とは、ひと味も、ふた味も違うワンランク上のサッカーを見せてくれる。開幕戦の4-2の圧勝、4月2日のアディショナルタイムに入っての2得点同点ゴール。全身に鳥肌が立つような見応えのある試合だった。
ファンも、メジャーに昇格したキャップスをこれまで以上に熱く、優しく、見守るように応援する。
バンクーバーのキャップスファンはとにかくロイヤル。忠誠心にあふれている。雨が降っても、12試合連続勝ち星なしでも、とにかく熱い。
そんな彼らと共に、今年はキャップスを楽しもう。MLSを楽しもう。ヨーロッパやJリーグにも負けない世界トップクラスの白熱した戦いを楽しもう。
今年は、キャップスが、MLSが面白い!!

 

キャップス、苦戦の前半戦を振り返る

キャップスのMLSデビュー戦は、とにかく華々しかった。一足先にMLSに昇格した、2部リーグ時代からのライバルトロントFC相手に4-2と快勝したこの試合は、キャップスの明るい今季を占っているかのように思えた。
しかし、メジャーはそれほど甘くはなかった。それから、キャップスはとにかく勝てない時期が続いた。無勝記録は14試合まで伸びた。負けないのだが、勝てない。相手が、格上でも、格下でも、結果は同じだった。理由はいろいろ考えられた。選手のケガ、国際試合に参加する選手の欠場、過密スケジュール、移動距離の長さなどなど。しかし、プロスポーツ球団として、これらのハンデは想定内のはず。これを言い訳にするようではプロ球団として失格。キャップスもそれは心得ている。
途中で監督交代という事態も起こった。MLSに昇格して1年目に監督交代を行うほど、球団関係者はこのMLSデビュー年での成績にこだわっている。
辛抱のサッカーが続く中、ようやく2勝目を挙げたのは、6月18日。実に3月19日の開幕戦初白星からちょうど3カ月が経っていた。
勝負はこれからだ。ハスリやチュミエントなど、得点に絡む素晴らしいプレーだけでなく、ファンを魅了する選手も揃っている。苦戦を強いられた前半戦から学び、一回り大きくなったキャップスのサッカーが、花開く時はこれからだ。
熱いファンと共に、メジャー1年生のキャップスを市民全体で盛り上げたい。

 

これを知れば、キャップス観戦がさらに楽しくなる!!

ここで注目選手を紹介しよう。勝ち負けも重要だが、各選手たちの魅力あふれる個人技もサッカーの魅力。それを知るためにはまず選手を知ること。
MLSデビュー年を支える、魅力あふれる“キャップスたち”を紹介しよう。

FW エリック・ハスリ(#29)
チームの得点王。相手チーム監督に「リーグトップの実力」と言わしめた選手。そのため、相手チームのマークも厳しく、時にはイライラをフィールドで爆発させ、イエローカードを受けることもしばしば。最近は特に調子が上がっている。

FWカミロ(#37)
ハリスとのFWツートップ。同じくこれまで4得点し、少数得点のチームを支えている。

MDダビデ・チュミエント(#20)
キャップスの攻撃の要。すべての得点に絡むように貪欲にボールを追いかけるその姿に、ファンもすっかり魅了され、その活躍にひときわ大きな声援と拍手を送る。彼の動きがキャップスの得点を左右すると言っても過言ではない。にもかかわらず、チーム第1の姿勢は徹底していて、5月14日の試合で初ゴールを挙げた時も、記者からの質問にもはにかみながら答えていた。

DFジェイ・デメリット(#6)
イングリッシュ・リーグでの経験を買われてキャプテンに抜擢された、ベテラン選手の一人。開幕してすぐ国際試合で負傷し、戦列から離れていたが、5月18日ようやくファンの前にフル出場で復活した姿を見せた。

GKジェイ・ノリー(#18)
2008年からキャップスのゴールを守っている、文字通りキャップスの守護神。これまで何度もキャップス最優秀選手を獲得している。

FWオマー・サルガド(#17)
キャップス期待の大型新人。今年のドラフト1位。若さと長身を生かした攻撃力に期待がかかる。すでに、キャップスとしてフル出場も果たし、監督の「徐々になじんできた」という言葉にも期待がにじみ出る。

これからの注目試合

前半戦をほぼ終えたとはいえ、この先も注目の試合は続く。これからキャップスを応援しに行きたい!!という、ファン必見の注目試合をピックアップ。

7月30日 LAギャラクシー戦

やっぱりこれは外せない。LAギャラクシーといえば、元イギリス代表デイビッド・ベッカムを擁する現在西カンファレンス1位を独走しているチーム。同チームは数年前にも親善試合でバンクーバーを訪れている。しかし、今回は正真正銘ライバルチームとして相対する。サッカーファンならずとも見たい必見の試合。

10月22日 コロラド・ラピッズ戦。

ラピッズは去年の優勝チーム。それだけではない。現在MLSで唯一の日本人選手、木村光佑選手が所属しているチームでもある。MLSの舞台で活躍する日本人選手に、大きなエールを送りたい。

キャップスは1973年12月のチーム創設から、すでに38年が経っている。これまで、メジャーリーグ、カナディアンリーグ、北米2部リーグと、北米、カナダを取り巻くサッカー環境に翻弄されながら、それでも、バンクーバー・ホワイトキャップスとして、バンクーバーの人々の愛され続けてきた。
バンクーバーのサッカーファンの期待を一身に背負って船出したMLSキャップスを、応援しないわけにはいかない。
バンクーバーはこれから爽やかな真夏の青空が広がる季節となる。屋外フィールドとして復活したエンパイアフィールドで、思いっきりキャップスを応援しよう!!

(取材 三島直美)

読者の皆様へ

これまでバンクーバー新報をご愛読いただき、誠にありがとうございました。新聞発行は2020年4月をもちまして終了致しました。