VSOバンクーバー交響楽団

創立97周年を迎えたVSOが9月26日・28日に今シーズン開幕コンサートを開催。いよいよ芸術の秋、シンフォニーの季節がやってきた。 1月以来不在だった楽団社長のポジションに、11月16日付けでシアトル・オペラ事務局長のケリー・ツイードデールさんの就任が発表されたばかり。新たな体制で、年間150以上のコンサートが予定されている。

 

VSO音楽監督ブラムウェル・トーヴィー指揮者

 

オペラ『ばらの騎士』組曲で開幕

 オープニング・コンサートのソリストは、アメリカやヨーロッパの主要オーケストラと共演しているヴァイオリストのミリアム・フリード。ベートーベンの『ヴァイオリン協奏曲ニ長調作品61』を情緒豊かに演奏した。

 現代曲紹介として、ビエネール美術展の展示作品からインスピレーションを受けたというジュノー賞受賞作曲家ヴィヴィアン・ファングさんの新作をVSOが世界初演奏。同時にそれらのアートがスクリーンに映し出される趣向も。

 後半ではブラムウェル・トーヴィー指揮者がウィットに富んだトークでオペラ『ばらの騎士』のストーリーを解説し、オーケストラがリヒャルト・シュトラウスの美しい旋律を奏で、会場から大きな拍手が沸いた。

 

VSO終身名誉コンサートマスター長井明さんによる 今シーズンのハイライト

 VSO終身名誉コンサートマスターの長井明さんにとって、今年はシーズン40周年め。「健康には充分配慮して、シーズンを全うしたいと思っています。ステージの上から多くの方々にお会いできることを期待しております。お友達をお誘いの上、ご来場をお待ちしております」と話す長井さんに、今シーズンのお勧めを聞いた。

 

ヴァイオリン・コンサート

イツァク・パールマン(3月2日)

 大御所イツァク・パールマンが、ブルッフのヴァイオリン協奏曲を演奏します。難病ポリオを克服して世界の聴衆を魅了してきた彼は70歳になりました。どんなブルッフを演奏してくれるのか楽しみです。

サラ・チャン(12月5日、7日)

 エネルギッシュな彼女にぴったりなドボルザークのヴァイオリン協奏曲を演奏します。

オーグスティーン・ハデュリッヒ(1月16日、18日)

 バンクーバー聴衆にはすっかりおなじみになったオーグスティーン・ハデュリッヒが、チャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲を演奏します。彼の素晴らしいテクニックと暖かい音色で聴衆を魅了するでしょう。

イザベル・ファウスト(4月30日、5月2日)

 秋山和慶さんの指揮で、最近名を上げてきているイザベル・ファウストがバルトークの難曲に挑戦します。楽しみ!

ニコラ・べネデッティ(5月20日、21日)

 イタリアの若手美貌奏者・ニコラ・べネデッティが、モーツァルトのヴァイオリン協奏曲第5番を演奏します。若手なイタリア人のモーツァルト? とても楽しみですね。

チャド・ホーペス(6月11日、13日)

 話題の若手テクニシャンのひとり、チャド・ホーペスが、華麗で美しいアメリカの作曲家サミエル・バーバーのヴァイオリン協奏曲を演奏します。大いに期待できるコンサートです。

ジェームス・エネス(5月9日)

 VSOと一緒にグラミー賞に輝いたジェームス・エネスがVSO伴奏なしのヴァイオリン・リサイタルをします。彼の演奏をじっくり聴きたいという方々には絶好のチャンスです。今シーズンで一番推薦するヴァイオリン・コンサートです。

 

カナダとアメリカのピアニスト

アンジェラ・チャン(10月17日)

ベートーヴェンのピアノ協奏曲第1番。

ルイ・ローティ(1月30日、31日、2月1日)

サン=サーンスのピアノ協奏曲第5番。

 私はこのカナダ人のピアニストたちがデビューしたときから知っています。今はカナダの音楽界を背負う巨匠クラスにまで成長しました。

スティーブン・ヒューグ(11月14日)

 アメリカを代表するピアニストが久しぶりにVSOと共演し、シューマンの素敵なピアノ協奏曲を演奏します。

 

合唱好きには

ストラヴィンスキーの詩篇交響曲とフォーレのレクイエム (11月21日、23日)

 あまりにもきれいなこのレクイエム、泣かされます!

マーラー編曲のベートーベンの第9交響曲(4月9日)

ブラームスの荘厳なドイツレクイエム(4月16日)

 スプリング・フェストで演奏されます。見逃せない名曲です。

バッハのマタイ受難曲全曲(3月19日)

 イースターを前にバンクーバー・バッハ合唱団主催、VSO共演で演奏されます。

 

レベルアップしたVSOの演奏に注目  

 最近腕を磨き、演奏レベルがどんどん上がってきているVSOの演奏にも注目してください。

バルトークのオーケストラの為の協奏曲(11月14日)

マーラーの交響曲第6番(6月4日、6日)

ショスタコヴィッチの交響曲第5番(6月11日、12日、13日)

 これらすべてをVSO音楽監督のトーヴィーさんが指揮されます。

シューマンの交響曲第2番(4月22日、23日、25日)

ドボルザークの交響曲第7番(4月30日、5月1日、2日)

 名誉指揮者の秋山和慶さんが指揮します。オーケストラにとってとてもチャレンジングなこの2曲を秋山さんがどうさばくか、期待の大きいコンサートになりそうです。

ジェームス・ボンド50周年(11月27日、28日)

 ポップスコンサートのひとつ、007映画でヒットした名曲の数々です。お早目に切符購入をお薦めします。

ヴィヴァルディの四季(12月18日、19日)

 クリスマス時期の人気投票第1位。今回はロシアの巨匠ヴァディム・グーズマンがチャレンジします。スケールの大きい、がっちりした四季をお楽しみください。

   このほか、キッズコンサート・シリーズ、ポップスコンサート・シリーズ、トラディショナル・クリスマスなど、家族で楽しめるコンサートがラインアップ。希望のコンサートを選ぶMake Your Ownパッケージも可能。各コンサートの詳細はパンフレットほか、電話で問い合わせを。

チケットはwww.vancouversymphony.ca    

または604-876-3434

(取材 ルイーズ阿久沢 / 写真提供VSO)

 

ストラヴィンスキーの詩篇交響曲とフォーレのレクイエムに出演するフィーニックス室内合唱団

大御所イツァク・パールマン

ドボルザークのヴァイオリン協奏曲を演奏するサラ・チャン

バルトークの難曲に挑戦するイザベル・ファウスト

グラミー賞に輝いたジェームス・エネス

モントリオール出身のルイ・ローティ

久しぶりにVSOと共演するスティーブン・ヒューグ

VSO終身名誉コンサートマスター、長井明さん

 

読者の皆様へ

これまでバンクーバー新報をご愛読いただき、誠にありがとうございました。新聞発行は2020年4月をもちまして終了致しました。