~手軽に見られる新作映画のDVD情報~
冬の雨が多いバンクーバーは、夜も冷え込むため外に出るのがめんどうになる。しかしテレビだけでは味気ない。そんな時DVDをレンタル、または購入して自宅のテレビにつなげば即映画が楽しめる。最近のDVDはハリウッドの大作以外に、大人も楽しめるアニメや邦画も含まれている。市内のHMV、Best Buy、Future Shopで購入、またはオンラインのAMAZONなどで気軽にレンタルできるDVDをいくつか紹介したい。
Maleficent (マレフィセント)
真実の愛は存在する
「アリス•イン•ワンダーランド」や「アバター」のスタッフだったロバート・ストロンバーグ監督のデビュー作。「みなさんもよく知っている物語を、私が改めてお話しましょう」と始まる。かつては心優しく強い翼を持つ妖精だったマレフィセントは、幼い頃から慕っていたステファンに裏切られ、冷たい心を持つようになった。王位に着いたステファンの産まれたばかりのオーロラ姫に「16歳の誕生日までに糸車の針に刺されて、永遠の眠りを迎える」という復讐の呪いをかける。これまでのアニメーションとは違う展開で、マレフィセントが実のヒロインだったという新鮮なストーリー。全ての女性が共感できるアンジェリーナ•ジョリーの演技と映像が素晴らしい。
マレフィセント役のアンジェリーナ・ジョリーと幼いオーロラ姫(アンジェリーナの実の娘)©Cineplex
Like Father Like Son(そして父になる)
6年間育てた息子が、他人の子だったら…
昨年のカンヌ国際映画祭で審査委員賞を受賞し、バンクーバー映画祭でも観客賞を受賞した是枝裕和(これえだひろかず)監督の力作。東京の大手会社に勤めるビジネスマン野々宮は、人生の勝ち組で誰もがうらやむエリート街道を歩んできた。そんなある日、病院からの電話で、6歳になる息子が出生時に取り違えられた他人の子どもだと判明する。妻や相手方の夫妻は、それぞれ育てた子どもを手放すことに苦しむが、どうせなら早い方がいいと互いの子どもを“交換”することになるが…。血の繋がりか、6年という年月かー究極の選択を迫られる二つの家族。父親として人生で初めてつまずいた男が自己と向き合い、愛、絆、家族とは何かを問う感動のドラマ。
父親役が好評だった福山雅治©Cineplex
Nebraska (ネブラスカ)
宝くじがもたらした親子の心をつなぐ旅
モンタナ州でお酒ばかり飲んでいる気難しい老人ウディに、宝くじが当たったという手紙が届く。急に大金持ちになったと信じたウディは、当選金を受け取る旅に出ようとする。いつも口論し疎遠になっていた息子ディビッドは、詐欺と知りながらも父親につきあうことにする。 年をとって頑固なウディと、彼の故郷で知らなかった過去を見つけるディビッドの心温まる旅のストーリーは、「ファミリーツリー」と「サイドウェイ」でオスカーを受賞したアレクサンダー•ペイン監督の作品。主演のブルース•ダーンは昨年カンヌ国祭映画祭で主演男優賞を受賞し、息子役の俳優ウィル・フォーテはバンクーバー国際映画祭のレッドカーペットにも参加した。モノクロームの映像が印象的な、本年度アカデミー賞の有力候補。
ブルース・ダーン(左)と息子役のウィル・フォーテ©Cineplex
Beyond Outrage(アウトレイジ ビヨンド)
「バカヤロー」「アホンダラ」で全員悪人?!
「世界の北野」こと北野武監督が手がけた初めての続編。前回の抗争から5年経ち、会長が交代し新体制となった関東の山王会は、勢いよく政治にまで手を伸ばし始める。ヤクザ組織の壊滅を企てる刑事片岡は山王会と関西の花菱会の対立をわざと仕掛けていく。監督の前作「アウトレイジ」はカンヌ国際映画祭、そしてこの「アウトレイジ ビヨンド」は同じくマフィアの多い?イタリアベネチア国際映画祭のコンペティション部門正式上映となった。東日本大震災後、世の中が愛、絆、支えなどを表面的に訴えたのでイライラし、こういう時こそヤクザ映画なんだという監督らしい愛情表現で、出演者も主役、脇役共に関東•関西弁の超ベテラン、豪華キャストを揃えている。コアな映画だが礼儀正しく正義感もあふれているので、ストレスを発散させてくれそうだ。
主役大友役の北野武監督©Cineplex
Lucy (ルーシー)
もし人類の脳が100%覚醒したら…
「レオン」や「ニキータ」などヒットさせたフランスのリュック•ベッソン監督が人気女優スカーレット•ヨハンソンを初起用したアクション•エンターティンメント。ごく普通の生活を送っていた女性ルーシーは、ある日韓国の極悪マフィアに捕まる。体内に物質を埋め込まれ密輸取引に使われる予定だった。しかしその物質がルーシーの体の中で漏れるというアクシデントが発生し、普通なら10%しか機能していないといわれる人間の脳のリミットが外されてしまう。暴走した脳の活性で不思議な能力に目覚めたルーシーがマフィアを相手に立ち向かっていく。世界にルーシー旋風を巻き起こした主演のヨハンソンは必見。
ルーシー役のスカーレット・ヨハンソン©Cineplex
The Face of Love
新しい恋は故人への裏切りなのか
最愛の夫ギャレットを事故で亡くし、未亡人になってしまったニッキーは、悲しみの中一人で生きていこうと決めた。立ち直りかけた5年後、突然ギャレットにそっくりな芸術家で教師のトムが現われる。喜びの中トムと交際を始めるニッキー。しかし、ニッキーはトムが自分の亡夫に似ていることを隠し、またトムもニッキーに対してある事実を告げずにいた。アリー•ポジン監督は、自分の母親がある日亡父にそっくりな男性を見かけ喜んでいたエピソードを映画にしたという。主演2人の演技が素晴らしく、人は幾つになっても恋はできると教えてくれる大人のためのロマンチックコメディー。今年惜しくも亡くなったロビン•ウィリアムズもニッキーに想いをよせる近所の男性を好演している。ラストシーンにはティッシュペーパーのご用意を。
二役をこなしたエド・ハリス(左)とニッキー役のアネット・ベニング©Cineplex
Big Hero 6 (ベイマックス)
優しさで世界を救いたい
少年ヒロ•ハマダは、最愛の兄タダシの死に疑問を持ち、彼が残した看護のケア•ロボット、ベイマックスと一緒に捜査を開始する。歌舞伎の仮面をつけた破壊的な謎の男と遭遇し、彼と戦うためにタダシの友人らと共に集結する。ベイマックスを強く改造しようとしたヒロは、タダシが求めていたベイマックスの真の姿に気付く。そしていつしか自分を命がけで守る一途な彼ををロボット以上の家族と思うようになる。日本とサンフランシスコからインスピレーションを得たという架空都市サンフランソウキョウを舞台に、迫力ある3Dアニメーション、アクション、ファンタジーの映画。子供だけでなく大人も十分満足させたクリスマス映画のDVDは2月に発売予定。
架空の都市サンフランソウキョウと看護ロボットのベイマックス©Cineplex
(取材 ジェナ•パーク)