VSOシーズン幕開け 

 

創立96周年を迎えたVSOが9月27日・29日にオープニングコンサートを開催。イノン・バーナタンのテクニックたっぷりのピアノに続き、SF映画『2001年宇宙の旅』でお馴染みのシュトラウスの交響詩『ツァラトゥストラはかく語りき』で幻想的な世界へと聴衆を導いた。秋の深まりと同時にシンフォニーの季節到来。今シーズンのコンサートの中からいくつかを紹介する。

 

VSO音楽監督 ブラムウェル・トーヴィー氏 

 

オープニング・コンサート

 オタワ在住の作曲家ケリーマリー・マーフィー氏の『A Thousand Natural Shocks』で幕開けした今年度のVSO。同作品は2000年にブラムウェル・トーヴィー氏がVSO音楽監督に就任した際に依頼されて書き下ろしたもので、今シーズンのオープニングで再び演奏された。この日、舞台に立ったマーフィー氏は「エネルギッシュにドラムが響き、ミステリアスな部分もあります。後半部分を作曲しているときに子どもが生まれた思い出深い曲です」とエピソードを語った。

 イスラエルのピアニスト、イノン・バーナタンがブラームスの『ピアノ協奏曲第1番ニ短調』を確かな技術力と深みのある音色で演奏し喝采を浴びたあとは、SF映画『2001年宇宙の旅』のテーマ曲に使われたシュトラウスの交響詩『ツァラトゥストラはかく語りき』。高鳴るトランペットとともに幻想的な世界へと聴衆を導いた。

 

ランランやヨーヨー・マも

 ランラン、ヨーヨー・マといった世界的演奏家は、やはり見逃せない。

 

ランラン 

 

 根強い人気の天才ピアニスト、ランラン。今回はモーツアルトが書いた中で最も美しい作品のひとつとされる『ピアノ協奏曲第17番ト長調』を演奏する(3月18日)。「繊細かつダイナミックな音色」「抜群のテクニック」「すばぬけた感性」など多くのファンを魅了する一方、その演奏パフォーマンスは、聞き手によって好き嫌いがはっきりするのも事実。この機会にぜひ、ライブでランランを。

 

ヨーヨー・マ 

 

 VSOとは久々に共演するヨーヨー・マ。4歳でチェロを始め、5歳のときにはリサイタルを開いたというパリ生まれの中国系アメリカ人。ドヴォルザークの『チェロ協奏曲ロ短調』を演奏する(5月1日)。

 ランラン、ヨーヨー・マはどちらもスペシャル・コンサート。チケット完売の前に、早めの購入を。

 

ジャパン・ナイトに諏訪内晶子

 今年のパシフィックリム・セレブレーションのテーマは『日本』。在バンクーバー総領事館開館125周年記念行事の一環として開催される『ジャパニーズ・セレブレーション』のゲストはヴァイオリニストの諏訪内晶子だ(3月1日)。

 

『ジャパニーズ・セレブレーション』のゲストに諏訪内晶子 

 

 1990年、史上最年少(18歳)でチャイコフスキー国際コンクールで優勝した世界的演奏家アキコ・スワナイがベートーベンの『ヴァイオリン協奏曲』でVSOと初共演。

 琴奏者の成谷百合子さんほか日系合唱団も出演予定。

 

ビートルズやサーカスで気軽にVSO

 バンクーバーのエンパイア・スタジアムでの公演から50周年を記念し、VSOが贈るビートルズ・メドレー。ビートルズのトリビュート・バンド『クラシカル・ミステリー・ツアー』を迎え、ゴードン・ジェラードが指揮する(10月8日)。

 

『Cirque Musica』 

 

 スリルたっぷりのサーカスとライブ・ミュージックのコラボは『Cirque Musica』(10月11日)。クラシック・ファン以外の人にぜひお勧め。

 

五嶋龍、五明カレンなど日系も

 日系演奏家では、五嶋みどりの弟の五嶋龍がブラームスの『ヴァイオリン協奏曲ニ長調』を演奏する(12月6日・8日)。

 

五嶋龍 

 

モントリオール育ちの ヴァイオリニスト、五明カレン 

 

 日本生まれ、モントリオール育ちのヴァイオリニスト、五明カレン。一昨年よりウィスラーほかの公演で、VSOファンにはすでにお馴染みのアーティスト。今シーズンはメンデルスゾーンの『ヴァイオリン協奏曲ト単調』を演奏する(5月29日・30日)。

 

長井明氏(VSO終身名誉コンサートマスター)の お勧めは?

 「スプリング・フェスティバル。今年はモーツァルト特集です」。

 映画『アマデウス』より(4月10日)、モーツァルトとサリエリ、交響曲39番(4月11日)、ドン・ジョヴァンニ、交響曲第40番(4月13日)、モーツァルト最後の交響曲第41番『ジュピター』(4月16日)、モーツァルトの死により作品は未完のまま残されたミサ曲『レクイエム』(4月18日)。

 

VSO終身名誉コンサート マスター長井明氏 (写真提供 長井明) 

 

 「マスターワークス・コンサート。ブラムウェル・トーヴィーさんの指揮で豪華版歌手によるバーンスタインのオペラ、ステージヴァージョンの『キャンディーデュ』です」。

 トレーシー・ダール(ソプラノ)、UBCオペラ・アンサンブルほか(6月6・8日)。

 「シーズン・エンディング・コンサートはマーラーの交響曲第5番です。楽しめそうですね」。VSO音楽院のコンクール優勝者も演奏予定(6月13・15日)。

 

 

各コンサートの詳細はパンフレットほか、電話で問い合わせを。 希望のコンサートを選ぶMake Your Ownパッケージも可能。

チケットはwww.vancouversymphony.caまたは604-876-3434

 

(取材 ルイーズ阿久沢 / 写真提供VSO) 


 

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