神田真澄さんインタビュー

 

 

真の健康で生きていく意義! 

立ち止まって自身の今の状態を見つめ直す『キッカケ』のお手伝いを!

 

東洋の英知である武医の養生法(健康法)から「正食」、「正体」、「正想」という3つのコンセプトを掲げ「日本文化」、「伝統」、「体質」と融合し、万人が学べる健康長寿法のチーゴン・メソッドを考案した武道家であり東洋医学家、自然食医学家の神田真澄さん。 伝説の太田道場で総師範を務めた後、日本の新しい氣の武道として「明光武道」を創始。それまで門外不出とされてきた秘伝を守りつつも、その基礎メソッドを人々の健康のために広めることを責務と考えている。チーゴン・メソッドに基づいた瞑想法や太もも運動、そして食事法は免疫を高めるだけではなく、アンチエイジングにもつながる健康長寿法として、TV・ラジオ出演も多くメディアからも注目されている。日本拳法チャンピオンの元格闘家として、アスリートたちの指導や後進育成にも勤しむなど、さまざまな方面で活動している神田さんに話を聞いた。

 

東洋式キックボクシングである、Sanda(サンダ) 

 

―「氣」―

 「氣」は人が持つ根本的な力で、東洋医学の「生命エネルギー」。生きている限りこの生命エネルギーである「氣」は體(カラダ)を巡っています。見ることはできなくとも感じることはでき、確かに存在する人の力。東洋医学では「氣・血・水」の3要素の調和がとれているとき、人は健康で元氣に活動していると考えます。特に、氣は100以上ある體の中の経絡(ツボ)上を流れ、各内臓、各細胞レベルで活性化を促します。細胞レベルで活性化すると、體を若く保つことができ、免疫が充実しているため病も寄せつけません。いわゆる自然治癒力が高まってる状態。氣が充実している=若々しい(アンチエイジング)=健康、ということになります。元々は人が持つ根源的な力なので正しい訓練しだいでいくらでも高めることは可能です。

  

講演の様子 

 

サンダのトレーニングの様子 

 

―チーゴン・メソッド―

 チーゴンとは氣功のこと。東洋武術史上で、最も大成した拳法と賞賛され、『大成拳』という別名を持つ「意拳(いけん)」。この意拳のメソッドは、武的に実践すれば心身を強健に高める武技となります。養生的に、つまり健康法として実践すれば心も體も健康を高め、自然治癒力(免疫)を高めることができます。そのメソッドを日本人で初めて伝授されたのが、鍼灸医であり少林寺拳法家であった太田光信師。彼から唯一の弟子としてその真髄を伝授され、日本に伝え広めたのが私です。日本に伝えるにあたり、中国武術と日本武道の伝統の違い、体力や食文化、氣候・風土の違い等を考え融合し、新しい日本の武道として創始しました。それが「明光武道」であり、その根幹は武医同術である「意拳(尤氏意拳)のチーゴン」です。

 例えば、食一つとっても大陸の中国と四方を海に囲まれた島国の日本では、氣候・風土やできる作物も違えば、そこから作られる腸内環境(腸内細菌)も違います。日本人に合った理をもって対応していかなくては、真の健康などありえないのです。

 

チーゴン・フィットネススタジオ 

 

―瞑想法―

 チーゴンの瞑想は、源流が武術・意拳なので、宗教的な要素が少なく、純粋に自分自身を高めるための正統な(武術式の)瞑想法。自分自身を見つめ直す、頭や心をリセットする、何もしない貴重な時間として、ブレない自分自身を構築するメソッドです。最近では、脳を活性化させ、潜在能力を開発する効果も各大学や機関で実験、実証されています。体温が上がることで免疫力アップ、心臓強化、自律神経を整えることで、高血圧症、ストレス軽減などの改善効果、精神安定や症状の回復、アンチエイジング効果など医学的効果も実証されています。自分のリセット術、そして脳のストレッチとして、贅沢な時間を得ることができます。混沌とした現代だからこそ瞑想をライフスタイルに取り入れてみましょう。

 

椅子式モーニング・リフレッシュ(六本木ヒルズでの朝瞑想イベントにて)


静坐式モーニング・リフレッシュ(六本木ヒルズでの朝瞑想イベントにて)

  

―現代において、何をどう伝授したいか―

 これは、現代医学に一石を投じたい内容。現代医療(西洋医学)は対症療法で、その根本的原因を解消するのではなく、今あるその痛みと症状に対してのみアプローチし、とりあえずその炎症を抑える。つまり患者がいったん喜ぶことを主としている。だが、根本原因が改善されなければ、すぐに再発し2回目、3回目と症状は酷くなり強い薬や治療が繰り返される。永遠に終わりのない治療で生き地獄。これに対し東洋医学は、根本原因治療であり、その炎症や症状がなぜ発症しているかにアプローチして正していく。

 「木をみて森を見ず」は、現代人にとって病だけでなく、基本的な考えにも当てはまります。チーゴンを実施することは、自分を見直すキッカケに、體の声を聞くキッカケになります。常に物事のうわべではなく、本質を捉えて欲しいです。それは自身の仕事や生活、人生でも同じことですね。

 

―著書『立つだけ!医者いらずの太もも力』―

 門外不出の秘伝武術であった意拳・チーゴン。この著書では、その基礎から、万人が実践できて効果の高いメソッド「正体:正しい體を創る運動法」、「正想:正しい心をつくる瞑想法」、「正食:食べたものが血となり肉となることを基本とした、日本人のための正しい食事法」を簡略化し、概論的に書いてあります。幅広い世代が理解し実践できる内容であり、真の医学や東洋の哲学・武術などを説明しています。今までの一般常識からみると驚くような、現在の医療業界や食品業界の裏を垣間見ることができます。これからの健康のためにぜひ一読していただき、できることからまずは実践して欲しいです。

 

著書「立つだけ!医者いらずの太もも力」

 

―太もも運動―

 太もも(大腿筋)は「第2の心臓」といわれ、人が持つ最大の筋肉群です。大腿四頭筋を特に重要視し、この筋肉を鍛えれば、筋肉群に張り巡らされた血管を刺激、ポンプ運動が促されます。結果的に心臓に負担をかけることなく、全身に血流をうまく巡らせることができる画期的な運動法。太ももがもう一つの心臓の役目をしてくれるといっても過言ではない。血流が全身によく巡るということは、それだけ各内臓、細胞が活性化するということ。つまりアンチエイジングにも繋がります。各細胞レベルで血流が充分にいきわたれば、免疫細胞も充分に働き、老廃物と栄養物の交換も盛んになります。排毒と栄養補給が充分に行われ、體の自然治癒力が高まり、病氣にならず医者知らずとなります。健康の理は実は非常にシンプルなのです。

 

―SANDA(サンダ・散打)―

 元々は中国武術の組手。それを基に中国内で統一したルールのもと新しい格闘スポーツとして確立されたのがSanda。米国、中国を中心にヨーロッパにもプロ団体がある東洋式キックボクシングです。この動きを有酸素・全身運動のフィットネスに取り入れました。筋肉を連動させながら体幹を無理なく鍛え、ダイエットとしても非常に効果が高いことを確信しました。  チーゴンフィットネスは、前半に「静」である瞑想やゆっくりとした運動の氣功エクササイズをします。ゆっくりとした運動で成長ホルモンが分泌され、中性脂肪の分解、代謝の高い筋肉増強、細胞の再蘇生が行われ、血中に溶けた脂肪を燃焼させます。後半では「動」のサンダボックスでミットを実際にパンチ・キックしてストレスを発散。「ダイエットの黄金公式」として効率の良いメソッドです。

 

―今後の目標―

 「武医同術」の観点から、人々の健康について道場活動をはじめ、TVなどのメディア出演や、執筆・講演活動を通して「真の健康で生きていく意義」について伝えていきたいです。混沌とした社会で疲れきり、さまざまなウソを刷り込まれてどうしようもない状態におかれ、無理に走り続けている人が多い現代。そのような皆さんに、立ち止まって自身の今の状態を見つめ直す『キッカケ』のお手伝いができればと願っています。それが武道であれ、食養であれ、健康法であれ、瞑想であれ、あらゆるメソッドをお伝えすることで、みなさんが「見つめ直すこと」ができるならば!と活動を続けています。一人でも多く、本当の自分らしいスタイルで、健康に幸せな人生を歩んで頂きたいです。

 「これを読まれているカナダでもこのメソッドを伝えたいので、ぜひ皆さんで私を呼んで下さい!」と笑顔で付け加えた神田さん。生命の根本原理が見えれば、自ずと正しい道なども見えてくるのかもしれない。

    

 

神田真澄さん

 

神田真澄 プロフィール

明光武道 深雪曾グループ 創始

尤氏意拳協会 明光武道 深雪館 主宰

Qi gong Fitness Studio (表参道、自由が丘、銀座) 総師範

SANDA CLUB Mz 総師範

食制体型研究所 主幹

(取材 門利容子)


 

読者の皆様へ

これまでバンクーバー新報をご愛読いただき、誠にありがとうございました。新聞発行は2020年4月をもちまして終了致しました。